畠山健二著「本所おけら長屋」が、おもしろい。
江戸時代の長屋を中心とした市井もの。
第十巻を読んだ。
棒手振りの八百屋の金太は、今でいう知的障がい
者だが、長屋の住人とお客に助けられ生活してい
る。理想的な姿だ。
そこへ素行不良の草履屋の跡取り息子が、修行の
ため、おけら長屋に住むことになり、なんと金太
の棒手振りのあとにつくことになった。
結果は読んでから・・・
まさに落語の世界で、落ちもついている。
時代小説は、作家が自由に想像できる世界だ。
とりわけ市井ものは、義理と人情の世界が描きや
すい。
私は、この「本所おけら長屋」のお話は、現在の
日本の新自由主義と対極の位置にあるのではない
かと思う。
「生産性がない」と切り捨てた女性の国会議員が
いたが、庶民の生活がわからない人だとつくづく
思った。
資本の論理、資本の魂に乗っ取られないように、
私たちは気を付けなければ。
新型コロナウィルスが、世界を席巻しているが、
まさに新自由主義の政策転換こそ求められている。
それを「本所おけら長屋」が教えてくれるのでは
ないか。