「タイミーさん」と呼ばれる人たちがいる。
「タイミーさん、1番のレジに入って」
「タイミーさん、こっち手伝って」
月間全労連4月号に、ジャーナリストの藤田和恵さんが記事を書いている。
いわゆるスマホを使った「スキマバイト」のプラットホーム。
「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングする「スキマバイト・サービス」というマッチングアプリが広がっている。
いくつかあるが、その代表的な企業が「タイミー」である。
700万人が利用しているといわれる。
他にもシェアフルなど検索するとたくさんの会社がある。
確かに学生や主婦など短時間での小遣い稼ぎとしては便利だ。
問題は、スキマバイトだけで生計を維持している人たちが出てきていることだ。
欠勤や病気などで休んだり、契約以外の仕事を命じられ苦情を言うと、そのうち「出禁」になるという。
プラットホームから相手にされなくなることだ。
だからどんな理不尽なことでも従わざるをえない。
バイトは、企業側の人件費削減にマッチしているわけだが、働く側から見れば「不安定雇用」の最たるものだ。
藤田和恵さんの記事では、アニメ映画「千と千尋神隠し」と関連させ、千尋が名前を奪われ「せん」にされてしまったように、スキマバイトでは「タイミーさん」と呼ばれ、実際の名前を呼ばれないケースを取材している。
スマホに何社ものスキマバイトのアプリを入れ、今日の仕事は何があるか、その都度決めている。
これだけで生計を維持しているのは、ほんとうに辛いことだ。
そしてこのような形態は、昔に禁止された「日雇い派遣労働」の形を変えた復活ではないかと思った。
「日雇い派遣労働」、ワンコールワーカーのあまりにも悲惨な労働実態から、国会でも問題にされ、2012年に禁止された。
当時、「今日しか来ない人間だから」と手いっぱい働かせ、名前も呼ばず怒鳴るなどムチャクチャナな働かせ方だった。いわば人間の使い捨て。労働現場でのひどいモラルハザードが起きていた。
同じようなことがスキマバイトで起きている??
労基署に訴えても、厚労省が認めているからと相手にされないと。
働く人たちの誇りが持てるように、安定した労働になれるように、早急な改善が必要だ。
過去、タイミー社のアプリで、愛知県知事リコール運動での違法署名のバイト採用が行われた。
悪用される危険があるわけだ。
タイミー社が行った利用アンケートでは、7割が長期就業を望んでいるという結果がでた。
さまざまな社会問題が起きている。
スキマバイトが不安定雇用の非正規労働の中心にならないように、また採用側のモラルハザードが起きないように、早急な改善が求められている。
また背景に「ジョブ型」労働を推進する安部元首相の政策があることを指摘したい。
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