◆政界には、いつの時代にも「絵描き」がいる。といっても、油絵や水彩画、ましてや墨絵のことではない。政権盗りや政局の展開について、どうなるかを描くことを得意とする政治家や仕掛人のことである。2007年10月下旬から11月初めにかけて、当時の福田康夫首相民主党の小沢一郎代表との党首会談で話し合われたという自民党と民主党の「大連立構想」というのも、絵描きが描いた政界絵図であった。この構想の自民党側の絵描きは、中曽根康弘元首相、森喜朗元首相、民主党側は、小沢一郎代表、民間からは、読売新聞社の渡辺恒雄会長の関与が取り沙汰された。しかし、小沢代表が福田首相に「公明党を切ってもらいたい」と申し込んだのに対して、福田首相が、「できない」と言ってこれを断り、民主党執行部が「大連立構想」に反対したことから、「幻の絵図」に終わってしまった。
◆ところが、2008年9月に福田首相が突如政権を投げ出し、麻生太郎首相が誕生し、その直後、自民、民主両党がそれぞれ独自に世論調査をした結果、「次期総選挙では、自民、民主両党ともに、単独過半数の議席を獲得できない」という「御託宣」が表れてきた。このため、両党は、生き残りをかけて、「大連立構想」に傾き始めたのである。不発に終わったはずの「大連立構想」が息を吹き返し、以後、水面下で実現に向けての画策が進められてきたという。今度の絵描きは、中曽根康弘元首相、森喜朗元首相、小沢一郎代表、読売新聞社の渡辺恒雄会長らに加えて、民主党の菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長、国民新党の綿貫民輔代表、亀井静香代表代行らの名前が、囁かれていた。
新しい絵図は、「選挙結果の如何にかかわらず、小沢一郎首相、与謝野馨副総理という布陣で挙国一致内閣を樹立する。この政権に国民新党が加わり、『反麻生』を鮮明にして自民党を離党した渡辺喜美元行革担当相が復党して、元のサヤに収まる。小沢一郎代表が新進党解党以来、強い不信感を抱いている公明党については、大連立からは外し、2010年6月をメドに景気を回復させる」という絵模様である。麻生首相の処遇については、「7月8日から10日までイタリアのマッダレーナ島で開催される先進国首脳会議(G8)出席を花道とし、衆議院の解散・総選挙を断行させて、退陣させる」というシナリオを描いていた。だが、自民党最大派閥・町村派世話人代表のひとり中川秀直元幹事長が大連立政権樹立の暁に主導権を握ろうと多数派工作に動き、これを押さえにかかった森喜朗元首相と対立を深めるなど、この「大連立シナリオ」が、スンナリ進むかどうか、予断は許されない状況になった。
◆そのうえに、またまた「大連立構想」が、雲散霧消しかねない不測の事態が発生してきた。一つは、中川昭一財務・金融担当が、ローマで開かれた先進7か国財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で「あのう、ふう、オ・バ・マ・・大統領が・・」と酔態によると思われる見苦しい姿を世界にさらし、辞任に追い込まれた。その話題の熱気が覚めやらない最中、今度は、小沢代表の公設第一秘書・大久保隆規容疑者が、政治資金規正法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕され、小沢代表が、「もはやこれまで」と失脚寸前に立たされ、検察を敵に回して、強気の姿勢でこのピンチを何とか切り抜けようともがいている。
◆振り返ってみると、小沢代表の師匠・田中角栄元首相がロッキード疑獄事件で東京地検特捜部に逮捕・起訴されて、有罪判決を受け、脳梗塞により半身不随・言語障害のまま無念の死を遂げ、親戚でもある竹下登元首相がリクルート疑獄事件を捜査していた東京地検特捜部に嫌疑をかけられて失脚し、キングメーカーとして院政を敷いたものの、「悪徳政治家」のイメージを払拭できないまま、この世を去り、その前に、親戚であり後見人だった金丸信元副総理が、やはり佐川急便事件がキッカケで巨額脱税が東京地検特捜部にバレてしまい、逮捕・起訴され、寂しく人生を終えている。
小沢代表の右腕だった中西啓介元防衛庁長官は、ドラ息子の不祥事を苦にして自殺、左腕と言われた山口敏夫元労相は、東京・協和の二信組事件がキッカケで背任、詐欺、偽証罪などにより、東京地検特捜部に起訴されて有罪判決を受けて、刑務所暮らしを続けている。
小沢代表の政敵も、政治家としての頂点を極めていながら、天寿を全うできないまま他界している。自民・自由・公明連立から離脱を宣言した直後、小渕恵三首相は脳梗塞で倒れて直ぐに死去、橋本龍太郎元首相は、日本歯科医師会会長が切った一億円記載の小切手の処理をめぐり東京地検特捜部が捜査していた政治資金規正法違反事件にからみ、心筋梗塞で倒れて急死している。東京地検特捜部に睨まれた小沢代表を取り巻く政治家たちは、ことごとく政治生命を失うか、生命を縮めている。
言うなれば、小沢代表は、「ブラックホール」のような政治家である。小沢代表自身が、この偉大なる「ブラックホール」に吸い込まれて、バラバラに破壊されてしまうのか。自業自得のごとく塀の向こうに転落して政治生命を失ってしまうのか。国民の多くが、注視している。それにしても、東京地検特捜部の政治的背後関係が、かなり気になるところではある。
板垣英憲マスコミ事務所
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◆ところが、2008年9月に福田首相が突如政権を投げ出し、麻生太郎首相が誕生し、その直後、自民、民主両党がそれぞれ独自に世論調査をした結果、「次期総選挙では、自民、民主両党ともに、単独過半数の議席を獲得できない」という「御託宣」が表れてきた。このため、両党は、生き残りをかけて、「大連立構想」に傾き始めたのである。不発に終わったはずの「大連立構想」が息を吹き返し、以後、水面下で実現に向けての画策が進められてきたという。今度の絵描きは、中曽根康弘元首相、森喜朗元首相、小沢一郎代表、読売新聞社の渡辺恒雄会長らに加えて、民主党の菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長、国民新党の綿貫民輔代表、亀井静香代表代行らの名前が、囁かれていた。
新しい絵図は、「選挙結果の如何にかかわらず、小沢一郎首相、与謝野馨副総理という布陣で挙国一致内閣を樹立する。この政権に国民新党が加わり、『反麻生』を鮮明にして自民党を離党した渡辺喜美元行革担当相が復党して、元のサヤに収まる。小沢一郎代表が新進党解党以来、強い不信感を抱いている公明党については、大連立からは外し、2010年6月をメドに景気を回復させる」という絵模様である。麻生首相の処遇については、「7月8日から10日までイタリアのマッダレーナ島で開催される先進国首脳会議(G8)出席を花道とし、衆議院の解散・総選挙を断行させて、退陣させる」というシナリオを描いていた。だが、自民党最大派閥・町村派世話人代表のひとり中川秀直元幹事長が大連立政権樹立の暁に主導権を握ろうと多数派工作に動き、これを押さえにかかった森喜朗元首相と対立を深めるなど、この「大連立シナリオ」が、スンナリ進むかどうか、予断は許されない状況になった。
◆そのうえに、またまた「大連立構想」が、雲散霧消しかねない不測の事態が発生してきた。一つは、中川昭一財務・金融担当が、ローマで開かれた先進7か国財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で「あのう、ふう、オ・バ・マ・・大統領が・・」と酔態によると思われる見苦しい姿を世界にさらし、辞任に追い込まれた。その話題の熱気が覚めやらない最中、今度は、小沢代表の公設第一秘書・大久保隆規容疑者が、政治資金規正法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕され、小沢代表が、「もはやこれまで」と失脚寸前に立たされ、検察を敵に回して、強気の姿勢でこのピンチを何とか切り抜けようともがいている。
◆振り返ってみると、小沢代表の師匠・田中角栄元首相がロッキード疑獄事件で東京地検特捜部に逮捕・起訴されて、有罪判決を受け、脳梗塞により半身不随・言語障害のまま無念の死を遂げ、親戚でもある竹下登元首相がリクルート疑獄事件を捜査していた東京地検特捜部に嫌疑をかけられて失脚し、キングメーカーとして院政を敷いたものの、「悪徳政治家」のイメージを払拭できないまま、この世を去り、その前に、親戚であり後見人だった金丸信元副総理が、やはり佐川急便事件がキッカケで巨額脱税が東京地検特捜部にバレてしまい、逮捕・起訴され、寂しく人生を終えている。
小沢代表の右腕だった中西啓介元防衛庁長官は、ドラ息子の不祥事を苦にして自殺、左腕と言われた山口敏夫元労相は、東京・協和の二信組事件がキッカケで背任、詐欺、偽証罪などにより、東京地検特捜部に起訴されて有罪判決を受けて、刑務所暮らしを続けている。
小沢代表の政敵も、政治家としての頂点を極めていながら、天寿を全うできないまま他界している。自民・自由・公明連立から離脱を宣言した直後、小渕恵三首相は脳梗塞で倒れて直ぐに死去、橋本龍太郎元首相は、日本歯科医師会会長が切った一億円記載の小切手の処理をめぐり東京地検特捜部が捜査していた政治資金規正法違反事件にからみ、心筋梗塞で倒れて急死している。東京地検特捜部に睨まれた小沢代表を取り巻く政治家たちは、ことごとく政治生命を失うか、生命を縮めている。
言うなれば、小沢代表は、「ブラックホール」のような政治家である。小沢代表自身が、この偉大なる「ブラックホール」に吸い込まれて、バラバラに破壊されてしまうのか。自業自得のごとく塀の向こうに転落して政治生命を失ってしまうのか。国民の多くが、注視している。それにしても、東京地検特捜部の政治的背後関係が、かなり気になるところではある。
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