「企業・団体献金の全面禁止」に踏み切れば、業界・団体と政治家との「贈収賄体質」は解消できる

2009年03月20日 19時14分48秒 | 政治
◆民主党の小沢一郎代表が、「企業・団体献金の全面禁止」を表明したことから、自民党が、蜂の巣を突付いたように大騒ぎしている。民主党内でも「企業・団体献金を全面禁止されたのでは、干上がってしまう」と右往左往している国会議員が少なくない。実に見苦しい限りである。
 自民党の場合は、国民政治協会への個人献金だけになれば、おそらくは、たちまちのうちに財政ピンチに陥るに違いない。私はいまから24年前、当時、国民協会と称していたころ、機関紙編集部から依頼されて、「政治献金を個人献金中心にできるか」というテーマを与えられて、調査し原稿にした経験がある。自民党の長崎県連あたりまで足を伸ばして、地元銀行の頭取にも取材した。
その結果、個人献金を集めることがいかに大変かを教えられた。県連の担当者が、自民党支持者を個別に回り、献金を依頼する手間隙、すなわち時間と費用のコストがかかり、担当者の人件費やいわば「営業コスト」を稼ぐのが精一杯で、費用対効果を計算すると、割に合わないという結果が出た。これに比べれば、企業・団体からまとまった金額の献金を受けるほうが、効率的である。何しろ、日本には、「個人献金の風土」がなく、アメリカのようには、ならない。
また、今回、西松建設OBが中心となっていた二つの政治団体からの小沢代表の政治資金管理団体「陸山会」への政治献金が、検察当局ないし報道機関で「違法献金事件」と断定する形で情報が流されているけれど、刑事訴訟法上、「推定無罪」の原則が適用されているはずの事件を、「政治資金規正法違反容疑事件」と正確に表現するのであるならまだしも、「判決」が確定しない段階から「違法献金事件」と決め付けて、しかも、「任意捜査」を省き、いきなり強制捜査に踏み切り、関係者を逮捕するなどというのは、憲法無視も甚だしい。検察当局が「野党弾圧」と批判されても当然であろう。こんな捜査が恒常化すれば、「検察ファッショ」の闇黒社会となる。
◆それは、さておき、小沢代表が決断したように、「企業・団体献金の全面禁止」は、これからの日本の民主主義を熟成させるためには、必要なことである。
自民党国民政治協会はもとより、個々の政治家の政治資金管理団体、あるいは「その他の政治団体」まで、「企業・団体献金の全面禁止」すべはである。
そうすれば、どういうことなるかは、容易に想像できる。日本経団連や全国銀行協会など業界団体からの政治献金が禁止されれば、自民党が、大企業優先の政策をしなくて済むようになる。日本医師会や日本歯科医師会、日本薬剤師会など医療関係団体の政治連盟からの政治資金提供がなくなれば、医療・福祉政策が医療界よりにならなくなるに違いない。今回、ゼネコンばかりが批判の矢面に立たされているけれど、個々の企業に限らず、どの業界団体も、見返りをアテにして献金していることには変りはない。日本経団連は、産業政策を有利に立案し、法人税も安くして欲しいからこそ、献金する。日本医師会や日本歯科医師会は、「医師の診療報酬のアップ」を期待しており、日本薬剤師会は、薬価基準の引き下げ幅を極力低くして欲しいから、献金しているのである。自民党政治家たちは、これらに広い意味で「便宜」を図ってきているのであって、基本的に「贈収賄鵜体質」になっている。ゼネコンだけの体質ではない。
◆ならば、個人献金中心にしたらどうなるであろうか。個人は、献金する相手である政治家が、「入学」や「就職」などに「口利き」をしてくれることを期待する。その見返りがあるからこそ、献金する。従来、こういったケースが少なくなかった。個人献金といえば、「政治家とカネ」とが浄化されると思い込むのも間違いである。
もう一つ、政党政治をいかにも理想的な政治であるかの如く喧伝するのも、大きな間違いである。政党支持者よりも「無党派層」「無関心層」「無関係層」が、有権者の40%以上もいる現状をどう考えるか。どの政党にも投票したくない有権者は、無所属の候補者に投票かも知れないけれど、無所属候補者は、政党が持っているような広報版を設置することができず、政党助成金も支給されない。これは明らかに差別である。日本の民主主義が「個人の意思尊重」を原則する憲法の立場から見て、政党などという団体を中心にしたいまの公職選挙法は、明らかに憲法違反である。この際、差別的である政党助成金制度は、廃止すべきである。
◆いずれにしても、「悪の権化」のように悪し様に批判されている小沢代表が決断したように、「企業・団体献金の全面禁止」に踏み切り、取りあえずは、「個人献金中心」に切り換えたらよかろう。日本には、すでに所得税法上、「政党寄附金特別控除」制度があり、税金を納める代わりに政治献金すれば、きちんと控除される。納めた税金を、公務員に無駄使いされるか、好きな政治家を大きく育てるために使うか。どちらを選ぶかは、納税者が選択できる。これをもっと拡充する必要がある。
板垣英憲マスコミ事務所

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