紅夜叉は利用された

あの～写真撮っときましたけど・・とカメラマンが首を傾げ報告する。
予想外の展開に放心状態の宍倉は、ああ・・ありがとう・・と呟き項垂れた。
全女川崎大会はメインで豊田・山田組が関西・尾崎組を激戦の末破り幕を閉じた。
全日本女子が一番だ！　山田の叫びが響き渡る中、神取らは会場を後にした。

「尾崎達強くなってたね」
風間は努めて明るく振舞った。
「そうだな。あいつらもがんばってるなぁ。こっちも負けてられないよな」
神取が関西達の激闘を思い出しながらつぶやいた。
しばらく歩くと、三人を見つけて宍倉がやって来た。
「お疲れ様でした。しかし土屋たちも怪我してるのなら無理して出なければよかったと思うんですけどね」
「でも、あれだろ。あいつらが今日出なかったら、週プロに一切載せないとかいってなかったか？」
「あれはうちの編集長得意のハッタリですよ。僕がそんなこと絶対させませんよ」
「いずれにしても潔く負けを認めたあいつらは立派だったと思うよ。うん」
神取は宍倉の方に顔を向けず、前を向きながら無表情で答えた。
そうですね、立派でしたね、とだけ言うと宍倉は話題を変えた。
「風間さん、関西選手達は惜しかったですね。でもやっぱりＪＷＰより全女のほうが一枚上手でしたね」
昔の仲間をバカにされたような気がして風間は内心不愉快だったが、チケットの件や今動いている計画の事を考えると、感情を出すわけには行かなかった。
「うーん、でも素晴らしい試合だったと思います。関西も尾崎も結果としては負けたかもしれませんけど、選手としては絶対負けてなかったと思います」
「北斗は・・」と宍倉が名前を出す前にハーレーが話し始めた。
「北斗の試合は幼稚でした。あれならウチの若手でも勝てますよ」
その横で神取と風間が力強く頷く。
「えっ？良いんですか？書きますよ」
と宍倉は目を輝かせる。
「神取さんが出るまでも無い、私が潰します」
「おお、これは凄い！」　
宍倉が大げさに驚いてみせる。
神取-北斗の舌戦を夢に描いていた宍倉はハーレーの言動が面白くなかった。
　　「神取選手は北斗とやらないんですか？」
　　「いま聞いたとおり、ハーレーが相手になりますよ」
神取が無愛想に一言だけ呟いた。明らかに不機嫌そうな表情だ。
「今日はチケットありがとうございました、勉強になりました」
風間が暗に会話の終了を求めた。あっちへ行けよ、という気分だ。
何か気まずい雰囲気が四人を覆う。宍倉は心で舌打ちをした。
楽しみです。北斗は強いですよ、楽しみです・・と宍倉は薄ら笑いを浮かべ三人と別れた。

ビガロが死んだ・・・

ちと早過ぎないか・・・

訃報　バンバン・ビガロさんが死去

「クラッシャー・バンバン・ビガロ」のリングネームで新日本プロレスを中心に日本でも活躍した米国人プロレスラー、スコット・ビガロさんが現地時間１９日、米国・フロリダの自宅で亡くなったと、米国のプロレス団体ＷＷＥの公式サイトが発表した。享年４５歳。死因は不明でこれから検死が行われるという。
　ビガロさんはプロレスラー養成所の「モンスター・ファクトリー」出身で、１９８７年１月に初来日し新日本プロレスに参戦。全身炎のコスチュームと体型に似合わない軽快な動きで人気が爆発し、最強外国人選手としてヘビー級戦線で大活躍。１９８２年には、ビッグバン・べイダーとのタッグで馳浩＆武藤敬司組を破り第１８代ＩＷＧＰタッグ王者にも輝いた。

　突然の訃報を聞いた全日本プロレスの武藤敬司社長は、かつて新日本プロレスで激闘を繰り広げたライバルの突然の死に絶句。「ＩＷＧＰタッグの戦いや大阪でジャーマンで投げたことが思い出。アメリカでも戦ったことがあるし、やりやすい相手だった。寂しくなるね」と故人を偲んだ。

[ スポーツナビ 2007年1月20日 17:09 ]

ビガロさんといえば、自分はベイダーとのシングルが記憶に残ってます。
同じ日に猪木－藤波戦をやっていて、あの日はプロレスが好きでよかったなぁと、本当に思った日でしたね。
ビガロもベイダーも巨体なので、迫力が違う。
つねづね馬場さんが「プロレスラーは大きくなければならない」という言葉を立証した試合だったなぁと思います。
45歳ですよ。早すぎますよ、そりゃあちょっと。

あと北尾くんのデビュー相手なんですよね。
最初彼のキャラって怪奇キャラで、入場曲もジョーズだったんですけど、元々の性格なんでしょう。試合運びはどちらかというと明るいほうで、そのうちバ～ンバ～ンビガロ♪って曲になっちゃって、その上キャラ的に今でいう「チョイ悪」みたいになっちゃった。
だから、負けてもお客さんに支持されてましたね。

もったいないなぁ。
あんなキャラ、もう出てこないかもしれないなぁ・・・

謹んでご冥福をお祈りいたします。