Dr. Jason's blog

IT, Engineering, Energy, Environment and Management

社会システム,交通システムとしての空港のロケーション

2005-09-24 | Transportation
 今週,福岡に出張した.
 一番印象に残ったのは,福岡空港の福岡の中心街からの距離(近さ)であった.


 www.jorudan.co.jp での経路表示によると,博多駅から福岡空港までは,

  博多駅 -> 福岡空港
   5分 3.3km (市営地下鉄)

 また,他の国内の主要な空港のJRのメインターミナルからの時間と距離は,
  
  東京駅 -> 羽田空港
   33 - 38 分 3.1+17.8 km 6.8+14.5 km (モノレール/京急)

  東京駅 -> 成田空港
   1時間26分 79.2km (成田エクスプレス)

  新大阪 -> 関西空港
   55分 7.6+42.8 km
 
  札幌 -> 新千歳空港
   48分 46.6km
 
  名古屋 -> 中部国際空港
   46分 4.2+35.1km


 これに対して,私が行ったことのある米国の大きな空港の,ダウンタウンからの所用時間は,

  サンフランシスコ市内 -> SFO
   25-30分 シャトル,タクシー等
 
  ロサンゼルス市内 -> LAX
   20分 シャトル,タクシー等
 
  シカゴ市内 -> O'Hare
   20分 シャトル,タクシー等
   30分 地下鉄

  アトランタ市内 -> Hartsfield-Jackson
   15分 タクシー等
   15分 MARTA

 また,(私はニューヨークには行ったことがないが)ニューヨークの3つの空港のダウンダウンからの距離は,
  ジョンF.ケネディ国際空港: 19km
  ラガーディア空港:     10km
  ニューアーク空港:     19km
であり,どれも,タクシー,バスなどで,15-25分程度のロケーションである.

 米国の国土は日本の25倍ほどもあるので,空港の立地の自由度が,日本よりも数倍高いことは明らかだが,それにしても日本の空港は,街の中心から遠すぎるのではないだろうか?
 地域住民との騒音や環境についての補償などが,ロケーションの足かせになるのは,日本もアメリカも基本的には同じはずだ.

 ニューヨークで,ダウンタウンから20kmのところ空港が3つ設置できているのに,ほぼ同じ規模の世界的大都市の東京で,二つ目の空港(それもメインの国際空港)が約80kmはなれていて,滑走路もすくなく,かつ24H運用でないのは,政策的な失敗でしかないと思う.

 駐留米軍との航空管制の範囲の問題や,港区,大田区,千葉県などの自治体との問題については承知しているが,それらも「政策」上の懸案であろう.
 空港の立地については,近隣の他のアジアの国(韓国,香港,シンガポール)では,国レベルの交通システムの要として,他に優先して政策的に考慮しながら検討されている.


 東京およびその周辺の都市の規模からいって,また,東京の国際都市としての航空システム上でのこれ以上の地盤沈下をさけるためは,東京近郊にもう一つ空港が必要だと思う.

 政治的,政策的視点で考えると,(沖縄の基地問題もないがしろにはできないが)ここはまず,横田基地を管制区域ごと返還してもらって民間空港として拡張するというのはどうだろうか?
 さもなければ,お台場かみなとみらいの沖合に,メガフロートで4000mの滑走路を2-3本浮かべるか?
 東京の北側なら,埼玉の自衛隊大宮駐屯地の周辺の土地を買収して,新幹線も引き込むか?

 いずれにしても,空港の設置には,国の予算を割いて,大規模な土木工事が必要となるが,同じ国家予算を使うなら,まず,交通システムとして,マスタープランの企画,設計にお金をかけて,しっかりとした長期的な戦略にもとづくプランを立ててもらいたいものだと思う.

コメント (2)
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