眇めオヤジの独り言

初老で始めたブログも、寄る人もないまま、いつしか定年を迎えた。
あいもかわらず、気ままに書き連ねていく。

論文捏造

2006-12-18 | 読んだ本
今年、韓国で始まったバイオ科学者の論文捏造疑惑は、日本にも飛び火しました。
この本は、その話ではなく、それ以前,アメリカとドイツを舞台にした超伝導に関する物理学の論文捏造事件を取り上げています。

実を言うと、生物医学関係の研究には,常にうさんくささがつきまとっています。
データの数値をいじるなどということも、よく耳にしました。
しかし、この本の論文捏造事件は、物理学の分野であるということは驚きでした。

科学とはどういうものであるかというのは、一般人と研究者、研究の分野で、違ってきます。
人文系からも,科学論,科学哲学などで、論じられています。
これらは、科学者が読むと、まったく異質で役に立たないものと受け取られていますけれども。

例えば、いちばん有名なポパーなどは、反証可能性を科学の本質としています。
しかし、少しでも科学研究に携わったことがある人であれば、科学で重要なものは再現性であると答えるでしょう。
再現性とは、論文に書かれたとおりに、自分も行なえば同じ結果が得られるということです。

ところが、近年では,特に生物分野での再現性が難しくなってきました。
実験に,特別なテクニックや高度な機械が求められているからです。
バイオ分野で論文捏造が横行したのには、こうした背景があります。

これと同様のことが、厳密さが要求される物理学でも起こっていたのです。
つまり、再現が難しい実験が,どの分野でも当たり前になってきているということです。
今後は、科学に対する認識を代えなくてはいけないですね。
科学者に見向きもされなかった科学哲学、科学倫理が主流になってくるかもしれません。


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