映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
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『ノーカントリー』

2008年05月14日 | Weblog
よい

ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン 監督
トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、ウディ・ハレルソン、ケリー・マクドナルド、ギャレット・ディラハント、テス・ハーパー、バリー・コービン、スティーヴン・ルート、ロジャー・ボイス、ベス・グラント、アナ・リーダー 出演

メキシコ国境に近い砂漠でハンティング中に、偶然、死体の山に出くわしたルウェリン・モスは、大量のヘロインと現金200万ドルが残されているのを見つける。危険を承知で大金を奪ったモスに、すぐさま追っ手がかかる。必死の逃亡を図るモスを確実に追い詰めて行くのは非情の殺し屋アントン・シガー。そしてもう一人、厄介な事件に巻き込まれたモスを救うべく老保安官エド・トム・ベルが追跡を始めるのだった。

原題は『No Country for Old Men』。老人の住むべき国はない、という意味。

ひとつの作品で重層的な世界を描くのが得意なコーエン兄弟らしく、裏世界の金を奪った男と殺し屋の話、個人・世代のルールの話、そしてそれらを運命と死が結びつける。

以上すべてに関係してくる登場人物が、強烈な個性の殺し屋役のハビエル・バルデムで、彼が主人公と考えていいだろう(アカデミー賞では助演男優賞だが)。トミー・リー・ジョーンズは狂言回しでしかない。

運命と死とは、金であり、水であり、殺し屋であり、コイントスである。

金を奪った男と殺し屋だけに着目してしまうと肩透かしをくらってしまう人もいるかもしれないが、原題からもわかるようにそれだけがこの作品の主題ではないのだ。

夢の話が納得できない人は、

ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20080320

が参考になるだろう。
あそこは死を思っているんだな、とわかれば日本人としてはいいのではないか。

嫁さん役のケリー・マクドナルドもよかった。