どうしてこんなに文章が上手なのか感心してしまう。
洞察力とユーモアのセンスは並外れている。
「父の詫び状」では、生死を彷徨う東京大空襲のとき、
最後の昼餐にと家族でさつまいもの天ぷらを食べたことさえユーモアを交えて書いてるのだけど、
でもやっぱり泣けてしまう。
わたしの知らない頃のリアルな昭和が頭の中で映像化されて胸に迫ってくる。
向田さんは飛行機が大嫌いだったのに、
台湾の飛行機事故で51歳の若さで亡くなってしまった。
もし、生還していたら、
そのときのことさえも向田さんはユーモアを交えて書いてしまうんだろう。
堂々と生きていた感じが、昭和の言葉で言えば、スカッとする。