世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

スピカが主な管理人です。時々留守にしているときは、ほかのものが管理します。コメントは月の裏側をご利用ください。

わたしたちの神さま

2018-06-20 04:17:18 | 詩集・絹の鎖

神さまと
ケンカわかれなんかしたら
おしまいなんです

わたしたちを
創ってくださった神さまほど
わたしたちを
愛してくれる存在はないから

わたしたちを
美しいものにするために
あらゆる努力をしてくださるのは
わたしたちの神さましかいないから

他に
どんなすごい存在がいたって
わたしたちの神さまほどには
わたしたちを愛してくれない
みんな
びっくりするほど
冷たい

なぜって
わたしたちの神さまほど
わたしたちを知っている
存在はいないから

だから
けっして
神さまとケンカなんかしたら
いけません





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ここりの妖精

2018-06-19 04:18:01 | 画集・線刻派


1989年ごろか。

個人誌ここりのために描かれたカット。







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なづななづなよ

2018-06-18 04:18:27 | 詩集・絹の鎖

なづななづなよ いひわけなすな
なづなおのれに うらぎりなすな
なづなしろきに しろきをとほせ

なづなちさきを つらしとなすな
なづなほそきを くらしとなすな
なづなひとつの おのれをとほせ

なづなののはな くるしとなすな
なづなうまれて かなしとなすな
なづななづなよ なづなをとほせ






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クガチの神

2018-06-17 04:17:19 | 画集・線刻派


制作年不明。

切り絵の下描き。

「小さな小さな神さま」の挿絵のために制作されたが、何らかの理由で完成しなかった。





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菊の木

2018-06-16 04:17:55 | 花と天使・第2巻


また菊の木を描いてみました。
時間が経ってしまってちょっと褪せてしまったのが残念ですが、前よりはいい感じにできました。

しかしこの木は何度描いても満足できませんね。

また描いてみようと思います。





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ひなげし

2018-06-15 04:19:35 | 花と天使・第2巻


これも入院中に描いたものです。

一面にひなげしを描いてみました。

時間が経って少し退色してしまったのと、スキャナの感じで色がくすんでいるのが、ちょっと惜しいですね。





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なのはな

2018-06-14 04:17:42 | 花と天使・第2巻


入院中に描いた絵です。暇だったので、菜の花を一面に描いてみました。

スキャナが変ったので、少し色合いがいつもと違います。

時間が経っているので、季節もあいませんね。







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民主主義の結末

2018-06-13 04:17:06 | 詩集・絹の鎖

何でこんなことになったのか
何でこんなことになったのか

あほばっかりの世の中だったからだ
いいことがわかるやつはみんなつぶして
馬鹿な奴らばかりになったからだ

民主主義のせいだよ

みんな平等で
いいことになる社会ってのを
作ってみたら

何もわからない馬鹿ばかりが
権利を主張して
差別だ差別だ不公平だって
自分よりいい奴を差別して
つぶしまくったんだよ

そうしたら
大事な時に痛いことができる奴が
だれもいなくなって
全員が 全員が
馬鹿なことして
全部だめになったのさ

それが
民主主義の
結末だよ

全部だめになって
おそろしいことが起こって
自分の方に向かってくるのに
馬鹿なやつらは何もできない

誰にも怒ることができない

だって
馬鹿を選んだのは
奴らの方だからさ





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風の断旗⑮

2018-06-12 04:16:46 | 夢幻詩語


その日は、雲一つない真っ青に晴れた冬の空だった。シリルは中央空港に行き、ロメリアから来る占領政府司令官を迎えた。

負けた国の指導者とは、何とも痛いものを背負ったものだ、と思いながら、シリルは滑るように滑走路に降りてくる飛行機を見た。

飛行場には、彼と十人ほどの護衛官と係員しかいなかった。儀仗隊の出迎えなど考えられない。戦敗国とはそうしたものだ。だが気落ちしてはならない。

飛行機は鈍く太陽光を跳ね返しながら、ゆっくりと止まった。シリルは目を細めてその様を観察した。ロメリアの軍用機はかすかに灰色を帯びた白に塗られ、尾翼に三つの目を持つ鷲の紋章が誇り高く描かれていた。もちろんロメリアの紋章だ。

シリルは飛行機には詳しくないが、その軍用機を見て少々古めいていると、感じた。以前に見たことのある最新型の飛行機と比べると、全体の形が、少々クラシックだ。シリルはロメリア人が、最新のスタイルよりも、幾分古いものを好む性質があるのを知っていた。

「来ましたね、閣下」
後ろからエミールが話しかけてきた。
「閣下はよせ」とシリルは言った。
「しかし、ムッシューでは、とても」とエミールは言った。
「ムッシューでいい」

タラップが降り、飛行機の扉が勢いよく開いた。すると灰色のスーツを着た細身の長身の男が、にょっきりと現れた。

「おでましだ」
シリルは踏み出した。冬の日に照らし出された飛行場を、鳥の影がよぎった。小春日和だ。彼は仕立てのよいダークブラウンのスーツに、これまた仕立てのよいフロックコートを着こんでいた。一国の指導者と言ってそん色はない。戦敗国とは言え、飲まれてはならない。

「占領政府司令官、ヘンリー・ベイカーです。あなたは?」
タラップの根元で出会った時、ヘンリー・ベイカーは流ちょうなアマトリア語で言った。とっくに知っているだろうに、とシリルは思ったが、笑いながら言った。

「アマトリア暫定指導者、シリル・ノールです」

二人は握手を交わした。シリルはベイカーの手に、じっとりとした汗を感じつつ、力強く言った。

「この度のことに、全責任を負ってあたります」

すると、ベイカーの目が、微かに痙攣した。これは、見損なってはならない、という色が目に走った。

「どうぞこちらへ。主迎宮へ案内します」

一通りの挨拶を交わした後、シリルはベイカーを空港に待たせておいた車に案内した。旧型のフォードの高級車だ。ベイカーは、ヒュー、と口を鳴らした。ロメリア人の好みをついている。

みごとに、シリル・ノールはこういうことをやれるものなのだ。

ベイカーを乗せた車を見送ると、シリルは別の車に乗り込んだ。運転席にはエミールがついた。

「発車します、閣下」
「閣下はよせと言っただろう」
「しかし、わたしの気持ちが」
「わたしは政権簒奪者だ。カジミールと変わりない」

エミールはぐっとつまりながらも、キーを回した。ゆっくりと走り始めた車の中で、シリルは言った。

「この責任は、必ずとらねばならない」

シリルは車の窓から空を見た。

晴れたアマトリアの空に、風のように、あのアコーディオンの音が流れているような気がした。


(終わり)





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風の断旗⑭

2018-06-11 04:16:46 | 夢幻詩語



それからのシリルの活躍ぶりは素早かった。

カラヴィア・ルートから来たロメリアからの降伏の通告を、シリルはすぐに受け入れた。ほとんど無条件降伏だった。もうアマトリアには何もなかったのだ。

そして、ラジオを通じ、国民に、戦争に負けたこと、ジャルベールが自殺し、コンドが逃げたことを、簡単にまとめて通告した。予想範囲のことだったのか、国民の驚きは少なかった。いや、疲れ果てていて、驚くことにすら億劫だったのだろう。

シリルはこの最低最悪の国難を乗り越えるために、自分が暫定指導者として処理に当たると、明快に宣言した。

反対する声がなかったわけではなかったが、国は疲弊していた。民主法を立てて選挙をやる気力も体力もなかった。だれかが責任を負ってくれるなら、それでいいと思う者が大方だった。

フランソワ・コンドらしい男の心中死体が見つかったと言う情報が来たのは、シリルが指導者としての任務に忙殺され始めたころだった。

彼はまず、タタロチアに接触し、補給路を開いてくれるよう交渉を始めた。指導者は国のためになんでもやらねばならない。下げられぬ頭も下げねばならない。

負債はありすぎるほどあった。シリルはいちいち頭を下げながら、きっちり話をまとめていった。そのなめらかな手腕に、周りのものも驚き、シリルはだんだんと人々の信頼を集めるようになっていった。

そうこうしているうちに、ロメリアからの占領政府がやってくる日が来た。

(つづく)




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