スマート詩吟は面白い

スマート詩吟及び福祉詩吟は私の造語です。それらの普及を図っていきたいと思います。

スマート詩吟は面白い「1.詩吟との出会い(1)居酒屋道場」5回連載の内その4

2016-07-16 09:00:00 | エッセー「スマート詩吟は面白い」

著書「スマート詩吟は面白い=趣味の詩吟が脳内出血を癒してくれた=」の最初のサワリ5回連載の第4回目です。

食堂・居酒屋には週一回通ったが、私が、詩吟練習に参加するまでには2~3ヶ月を要した。つまりパートさんは積極的だったので、暫く部長とパートさんが二人で練習しているのを、見て・聴いていることにした。部長は私が居て聴いているだけで良いと黙って見逃してくれていた。しかし詩吟は聴くことも非常に大切だから決して無駄な時間ではなかった。そして、いよいよ、私も参加することになった。練習手順は、俗にいう

「あいうえお発声訓練」(アエイウエオアオ、カケキクケコカコ・・・と続く)や

北原白秋の詩「五十音」(アメンボ赤いなアイウエオ、柿の木栗の木カキクケコ・・・と続く)

を4~5回、明るく、歯切れ良く、リズム良く発することから始まった。その後、詩吟の心構えとして、正に私の好きな精神訓話と似た「吟道精神」を読んだ。当初は何回読んでも、さっぱり解らなかった。また随分後になって解ることになるが、「吟道とは何ぞや」というと、「気を養う道」であるらしい。それが「吟道精神」に宣言されている。その後、詩吟の第一歩である「川中島」をこれから師匠と呼ぶことになる部長が吟じた。弟子は私とパートさんの二人である。早く終わってお酒を飲みたいと思った。やはり居酒屋道場がきっかけで、パートさんも一緒だから楽しいわけで、詩吟をしないならば、この雰囲気はないのだから、少々は我慢して詩吟も聴いて吟じる練習をせねばと思うのは、私の性分である。それでも開始数か月間は苦痛の方が大きかった。それまで詩吟とは全く無縁だったし、「吟道精神」もお経みたいで意味を全く理解できないし、いくら「川中島」が詩吟の定番として有名とはいえ、いざ吟じるとリズムは取れないのだから当然である。サラリーマンの趣味とは所詮付き合い、または職場の潤滑油の様なもので、これも今まで参加していた登山や魚釣り、マイコンサークルと一緒ではないかと思う反面、私の周りには誰も詩吟をしている人はいないので、とても潤滑油になれるものではなかった。ところが、この生涯の趣味がこの様なちょっとしたきっかけから始まってしまった訳である。

第5回目、最終回は来週に続きます。1週間お待ち下さい。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スマート詩吟は面白い「1.詩吟との出会い(1)居酒屋道場」5回連載の内その3

2016-07-09 09:00:00 | エッセー「スマート詩吟は面白い」

著書「スマート詩吟は面白い=趣味の詩吟が脳内出血を癒してくれた=」の最初のサワリ5回連載の第3回目です。

お酒が十分満たされた頃、ついに主題が本日核心テーマになった。私が書いた昇格論文試験の批評でも結果でもない。

「指方君、実は私は詩吟を30年間やってきたが、つい最近、師範免状をもらったのだ。そこでだ、師範になったから、君を弟子第1号にしたいと思っている。」

私はあっけにとられた。何故私にそんなことの白羽の矢が立つのか。更に部長は続けた。

「君は何にでも前向きで挑戦しているではないか。実は君がお酒好きなことも知っている。君は何にでも嫌がらないで色々な付き合いに顔を出していることも知っている。この居酒屋が詩吟道場というと君はきっと断らないと考えた訳だ。ただ、それだけのことなのだが。実は練習場にしたい会社食堂の配膳を手伝ってくれているパートさんも一緒に詩吟をすることになっているのだ。」と部長は話を結んだ。会社には昼食時だけ外食配送され各人適当に利用する食堂があり、その後は自由な場所でありいつも空いていた。また、パートさんは昼食時の配膳のみを手伝う為に近くから通ってくれる50歳代の女性で、話す機会はなかったが面識だけはあった。

「毎週1回会社の食堂に集合だ。そこでしばらく練習して、その後この居酒屋で飲んで帰ることにしよう。」

何だかすべて謀られてしまっている様で、私が詩吟を始めることはもう決まってしまっていた。詩吟と論語は直接関係ないが、と断って、部長は自分の好きな論語の一節を披露した。

「学びて時にこれを習う。亦た説ばしからずや。朋あり、遠方より来たる、亦た楽しからずや。人知らずしてうらみず。亦た君子ならずや。」

後でこっそり虎の巻を読んでみた。『学んだ後、復習すれば理解がますます深まり楽しい。また何かを学でいると、同じ道を歩む友人が出来てとても楽しい。もし自分が学んでいることを他人が理解してくれなくても怒ってはいけない。人は人、自分は自分だ。』とあった。

居酒屋で、その時は何となく解っただけだったが、虎の巻のおかげで、部長の真意を感じ取った。部長も師範取得が多分嬉しかったのだろう。

「声を出すことは良いことだと思うが、カラオケとは違うし、普段大声も出していないので、あまり自信がない。あるいは、何だか難しそうだし、ネクラでみっともない気もするし・・・。」そして「詩吟は何の役に立つの?」とか質問はいくつかした。だから、すぐに詩吟に納得して、練習を始めた訳ではない。どうしても詩吟とは縁遠いと思っていたし、そろそろゴルフも始めたいこともあり、居酒屋通いも小遣い銭のことで、早々出来ないと、いろいろ出来ない理由を挙げていた。しかし結果的に、それら質問・意見は、詩吟を始めるという結果が決まっていて、それをだめ押しすることだった。私も、『出来ない理由ばかり並び立てるべきではない。』と同僚はじめ周囲の人に良く言っていた。

第4回目は来週に続きます。1週間お待ち下さい。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スマート詩吟は面白い「1.詩吟との出会い(1)居酒屋道場」5回連載の内その2

2016-07-02 09:00:00 | エッセー「スマート詩吟は面白い」

著書「スマート詩吟は面白い=趣味の詩吟が脳内出血を癒してくれた=」の最初のサワリ5回連載の第2回目です。

上級管理職昇格試験が10月に終わり、結果発表は翌年初めと予定されていたが、その年末に会社の大先輩から、「今晩夕食でもどうか」と突然声がかかった。その先輩は、人事・総務部門の上席部長で、年齢は一回り上なので、面識がある程度で、業務を通じてご一緒したことはなかった。とっさに『昇格試験の論文にまずいことを書いてしまったかな』と頭を巡らしたことは、私が自分の考えを主張するあまり、精神面のことを書きすぎたことを反省していたからである。

大先輩との夕食は全くかしこまったところではなく、最初から居酒屋に連れて行かれた。「君の論文を読ませてもらったよ。非常にユニークで面白かった。」と、取っ掛かりの話があったので、昇格試験の結果は気になりつつも、お酒が入るたびに私は学生時代の学寮の話から入社した以降の仕事に取り組む姿勢、プライベート生活の話をしていた。お酒が好きだった私は、どうも居酒屋という雰囲気の中で、仕事以外にどんなことに興味を持っているかという話題に仕向けられた様だ。人事部関連の部長職は、私以上に私の人となりを事前に十分熟知していた。卒業した九州工業大学は旧制高校の名残があったので、学寮時代みんなで放歌朗吟を楽しんだことも話していた。

第3回目は来週に続きます。1週間お待ち下さい。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スマート詩吟は面白い「1.詩吟との出会い(1)居酒屋道場」5回連載の内その1

2016-06-25 09:00:00 | エッセー「スマート詩吟は面白い」

著書「スマート詩吟は面白い=趣味の詩吟が脳内出血を癒してくれた=」の最初のサワリ5回連載の第1回目です。

(1)居酒屋道場

 団塊世代の少し前の昭和20年生まれの私は、昭和43年に日本酸素株式会社に入社し、設計、開発及び情報処理技術者としてキャリアーを積み、約20年後の秋に上級管理職昇格試験を受けていた。久し振りの緊張感を持って論文テーマ「君は上級管理職として当社に対して何を貢献出来るか」に対して私の生き様をベースに製商品へのノーハウといわれる知恵の付加価値を組み込むことの重要性とそれに伴う人材教育のあり方について自分を鼓舞しながら4時間ペンを走らせていた。具体的に少し述べると、私の主張は、常に私の根底になっていた考え方・行動のベース『それは私に関係がある』そして『それは出来る』を切り口にし、当時導入の走りであった工業製商品のパソコンネットワーク化に挑戦し、顧客に納入した実績を上げていた。つまり当社の製商品は重厚長大の産物に分類されるもので、このまま推移すると価格競争のみに陥りかねないと思い、ソフト的ノーハウ、つまり知価的要素を製商品に組み込んでいくことで、顧客ニーズに対応していく重要性を論文の序盤に置き、その達成の為に、精神・道徳面も含めて社員育成の重要性を主張し、その実行プログラムを提案した。

 

 マイコンやパソコンは、入社して数年後に目にするようになったが、これはこれからの仕事に役に立つと思って取り組んだわけで、趣味または楽しみとして取り組んだわけではない。プライベートマイコン・パソコンサークルに参加した時、殆どのメンバーが自分の趣味だと言っていたが、私は少しだけ違っていたのだ。翻って、私は学生時代、ものつくりには興味があったが、自分一人の殻の中で閉じこもりそのものつくりそのものに夢中になっていた訳ではなく、色んな友人の仲間に入って同じ行動をしていたにすぎなかった。だから、『趣味は何ですか?』と問われても、あまり『これが私の趣味です』と言ったことはなかった。具体的なものつくりとして、大学時代の学寮で電子工作にはまり、オーデオを試作していたことは、専門の勉強の延長線・補助的なもので、趣味といえるものではなかった。入社した後は、マイコンに夢中になった。趣味という視点から見て少し違うのは、全て仕事中心でその補助として、つまりマイコン・パソコンも将来の仕事に有益になると思い夢中になったのである。ボーナスが未だ20万円位の頃、女房に「マイコンを買いたいので黙って僕に10万円お小遣いとして貰いたい。」と言って女房を説得したことを思い出す。後になって、「あの時の10万円は役に立ったのですか?」と言われたこともあるが、吉だったかどうか自分でもはっきり解らない。プライベートマイコンサークルとの付き合いは、20年位続いたが、最後は時代も変わり自然消滅してしまった。また仕事仲間が誘ってくれた社内文化体育交流クラブに入り囲碁、旅行、登山、そして魚釣りを楽しんでいたことは、業務を整然と進める為の一つであった。ゴルフはこれから始めることになるだろうと思い、誰か誘ってくれるのを待っていた。

第2回目は来週に続きます。1週間お待ち下さい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「スマート詩吟は面白い」のサワリを紹介

2016-06-18 09:00:00 | エッセー「スマート詩吟は面白い」

このブログは詩吟の取っ掛かりを紹介し、詩吟仲間を少しでも増やしたいと思って、このブログを始めた経緯があります。

そこで、今回は次の様な企画に取り組みました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私は、約3年前、平成25年秋の締め切りで、文芸社が「趣味に関するエッセーのコンテスト」を募集していることを目にしました。

そこで数ヶ月かけて、「スマート詩吟は面白い=趣味の詩吟が脳内出血を癒してくれた=」のタイトルで執筆し応募しました。

その作品は最優秀作品として、平成26年6月に同じタイトルで文芸社から出版されました。(税込1080円)

下記URLは当時の文芸社のコンテスト応募並びにその結果の紹介です。

https://www.bungeisha.co.jp/syumi/

このブログは、「詩吟、闘病、中小企業支援」の3つをキーワードにして発信しています。

そこで上記原稿の第1章の導入部分に、「私がどんな経緯で詩吟の世界に入ったか」が記述されています。

ひょんなことから始まるものだと思って頂きたく、

下記目次の最初のところ「スマート詩吟は面白い=詩吟との出会い::居酒屋道場=」を5回に分けて連載していきます。

どうぞ最後までお付き合い下さい。

著書「スマート詩吟は面白い=趣味の詩吟が脳内出血を癒してくれた=」の目次は、下記の通りです。

「その1.詩吟との出会い (1)居酒屋道場」のみを5回連載する訳です。

 

目次

1.      詩吟との出会い

        (1) 居酒屋道場

         (2) 初の詩吟披露

2.      吟道は気を養う道

3.      脳卒中発症

4.      脳卒中後遺症の受容と回復

5.      仲間との絆       

6.      詩吟との付き合い

では、来週からお楽しみ下さい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする