昨日からの続きです。
次にこの祝婚歌も結婚に際して吟じてあげたい一つである。
しかし少し全文が長く、かつ詩文の中味をじっくり味わって欲しいので
私はこの吟をDVDに収め、お祝いの一つとして差し上げることにした。
祝婚歌
吉野弘
二人が睦まじくいるためには 愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい 立派すぎることは
長持ちしないことだと 気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい 完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい 二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても 非難できる資格が
自分にあったかどうか あとで疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは 少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは 相手を傷つけやすいものだと 気付いているほうがいい
立派でありたいとか 正しくありたいとかいう
無理な緊張には色目を使わず ゆったりゆたかに 光を浴びているほうがいい
健康で風に吹かれながら 生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる そんな日があってもいい
そして なぜ胸が熱くなるのか 黙っていても 二人にはわかるのであってほしい
明日に続きます。
先週から続きです。
(3)お祝い吟披露
お祝い吟には「入学・卒業」、「結婚」、「長寿」、「叙勲」等があるが、
模範吟が用意されているので、その場に相応しい詩文を準備しておくと良い。
そのような準備をしておくと突然指名された場合でも戸惑うことなく余裕持って対応できる。
『上手下手は関係ないのだ。その方を最高に祝福して上げれば良いのだ。』
という気持ちで吟じることである。
私が披露宴で吟じる詩吟の一例を示します。2分前後で吟じ終えるのであっという間です。
結婚祝いの詞 木村岳風
良縁成立して神明に誓い 結び得たり偕老洞穴の盟
親戚朋友心を込めて祝い 又祈る爽々隆々家運の栄を
相励まし相援けて苦楽を共にし 忘るる勿れ此の日此の時の情
明日に続きます。
昨日からの続きです。
では、この七則を私の言葉で述べることにする。
①敬仰(卒業式で歌った『仰げば尊し』の気持ちですね。)
②栄誉(良い意味で『清水次郎長』の世界かな?
晩年の咸臨丸事件と山岡鉄舟との交誼から、そんな風に覚えた。)
③謙虚(謙虚の語句で、私がすぐ思い浮かべるのは「イチロー選手」です。
「常に己を鍛え」ともありますから同意頂けると思う。)
④文学立体化(日常余り使いませんが、演劇で文学立体化運動とあります。
それと同じく使われるものと思いますが、
作者の意を十分に汲み取って吟詠をしなければならない、と自覚しています。)
⑤研究(日常使用する「研究」と同じだが、絶えず吟心を研究して、
人格の形成に努めよ、とあります。
吟心とは難しいですが、その通りですね。)
⑥通暁(これも日常余り使いませんが、
要は範典の内容をすみからすみまで理解することを求められています。
指導者になると大変です。)
⑦垂範(これは解りますよね。
自らも範を示し、他の方の手本になれということですから。
原本では、「中和の美をもって指導に当たること」とあります。
今はなんとなくしか解りませんが、いつも意識しておきましょう。)
来週に続きます。また来週お会いしましょう。