人より胃が強いんじゃないか?
と考え始めたは、50才を過ぎた頃だった。
嘔吐下痢にかかっても、嘔吐もしなければ、下痢もしない。
トイレに入って、1時間ほど踏ん張っていると、治ってしまう。
ただし、その間は気持ちが悪い。
そもそも吐いたり、下したりしたことは、子どもの頃から記憶にない。
体験者の話を聞くと、「へ~」と思って聞いていた。
人より胃が強いんじゃないのか?
決定的だったのは、ビュッフェ形式の、あるレストランで食中毒騒ぎがあった時だ。
新聞に出たから、名前を出せば少しは覚えている人もいるだろう。
次の日、レストランから電話がかかった。
お詫びと症状を尋ねる内容だった。
恥ずかしい話、他人事のように新聞記事を読んでいた。
まさか自分が当事者になるなんて思ってもいなかった。
それくらい何ともなかった・・・
痛くも痒くもない・・・
「何を食べられましたか?」と聞かれたので、「並んでいた物は全部べました!」と答えた。
ほんとうに全部食べたのだ。
「お詫びに・・・(なんたらかんたら)」と言われたので、「何にもいりません」と答えたら、ものすごく恐縮された。
この事件(?)を期に、自分は胃が強いんじゃないかと思うようになった。
今までぼんやり考えていたことが確信に変わった。
オレは胃が強い!
ほんとうに食中毒にかかってもおかしかったはずだ。
だって、患者数は何十人にも上ったのだから・・・
確率的にはゼッタイに・・・
しかも、ワタクシはぜ~んぶ食っちゃったのだから。
だいたい並んだものは全部平らげる主義だ。
小さい頃、「よそで出されたものは全部食べろ!」と教わった。
「でなければ失礼になる!」とも言われた。
食べられなくなったらおしまいだ!
食べるワタクシは真剣にそう思っている。
そばやそうめんしか受け付けなくなったら、死んだも同然だと思っている。
ワタクシの父は死ぬ間際までケンタッキーフライドチキンを食べたがった。
「買って来てくれ!」とカネまでもらった。
ああ、これは血筋なのだと最近、思うようになった。