「あたらしい憲法のはなし」（文部省）

　昨日は「日本国憲法」が67年前(１９４７年５月３日)に施工された記念日です。それを祝うかのようにポンポーンと花火が打ち上げられています。そこで「憲法」って何だろうと『あたらしい憲法のはなし』(文部省)を読んでみました。
　目次の次に　一　憲 法  「みなさん、あたらしい憲法ができました。そうして昭和２２年５月３日から、私たち日本國民は、この憲法を守ってゆくことになりました。このあたらしい憲法をこしらえるために、たくさんの人々が、たいへん苦心をなさいました。ところでみなさんは、憲法というものはどんなものかごぞんじでか。じぶんの身にかかわりのないことのようにおもっている人はないでしょうか。もしそうならば、それは大きなまちがいです。
　国の仕事は、１日も休むことはできません。また、國を治めてゆく仕事のやり方は、はっきりときめておかなければなりません。そのためには、いろいろ規則がいるのです。この規則はたくさんありますが、そのうちで、いちばん大事な規則が憲法です。
　國をどういうふうに治め、國の仕事をどういうふうにやっていくのかということをきめた、いちばん根本になっている規則が憲法です。もしみなさんの家の柱がなくなったとしたらどうでしょう。家はたちまち倒れてしまうでしょう。いま國を家にたとえると、ちょうど柱にあたるものが憲法です。もし憲法がなければ、國の中におおぜいの人がいても、どうして國を治めてゆくかということがわかりません。それでどこの國でも、憲法をいちばん大事な規則として、これをたいせつに守ってゆくのです。國のいちばん大事な規則は、いいかえれば、いちばん高い位にある規則ですから、これを國の『最高法規』というのです。
　ところがこの憲法には、・・・・」と説明されています。
　この他にも　二、民主主義とは　三、国際平和主義　四、主権在民主義　五、天皇殿下　六、戦争の放棄　七、基本的人権　八、国会　九、政党　十、内閣　十一、司法　一二、財政　一三、地方自治　一四、改正　などが説明されています。
　そして、最後の　一五、最高法規では「このおはなしのいちばんはじめに申しましたように、『最高法規』とは、國でいちばん高い位にある規則で、つまり憲法のことです。この最高法規としての憲法なは、國の仕事のやりかたをきめた規則と國民の基本的人権をきめた規則と、二つあることをおはなししました。この中で、國民の基本的人権は、これまでかるく考えられていましたので、憲法九十九條は、おごそかなことばで、この基本的人権は、人間がながいあいだ力をつくしてえたものであり、これまでいろいろのことにであってきたえあげられたものであるから、これからもけっして侵すことのできない永久の権利であると記しております。
　憲法は、國の最高規則ですから、この憲法できめられてあることにあわないものは、法律でも、命令でも、なんでも、いっさい規則としての力はありません。これも憲法がはっきりときめています。
　このように大事な憲法は、天皇殿下もこれをお守りになりますし、國務大臣も、国会の議員も、裁判官も、みなこれを守ってゆく義務があるのです。また、日本の國がほかの國ととりきめた約束(これを「條約」と言います)も、國と國とが交際してゆくについてできた規則(これを「國際法規」と言います)も、日本の國は、まごころから守ってゆくということを、憲法できめました。
　みなさん。あたらしい憲法は、日本國民がつくった、日本國民の憲法です。これからさき、この憲法を守って、日本の國がさかえるようにしてゆこうではありませんか。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
｛この本は、日本国憲法が公布されて１０ヶ月後の１９４７年８月、文部省によって発行され、全国の中学生が１年生の教科書として学んだものの復刻版です(日本平和委員会)｝