N003の実事求是な日々

基本はゲームの事、後は気になったニュースとか人生観とか
自分の病気の事とか実事求是な記事を書きたいと思っております

発見と逃走

2011-02-25 00:55:01 | キリ番
「過去、それは大切な記憶」
「過去、それは歩んできた道」
「過去、それは自分の全て」
「過去、それは終ってしまった時間」
「過去、それは取り戻せない時」

ゾクッ

身震い
特に理由も無い身震いなど、誰でもたまにするだろうが彼女にとっては少し違った

(嫌な予感がする)

昔から自分に何か変なことが起こる前に必ず身震いをしていた記憶が呼び覚まされる

「こんなに良い天気なのに」

今は丁度昼の12時、博物館や美術館といったものが近くに無く
バスは帰りに使おうと思い、徒歩で向かっていて丁度昼食を取ろうと
どの店に入ろうか悩んでいた時の事だった
折角のクリスマスだというのに、こういう気分にはなりたくなかった
適当な喫茶店でサンドイッチとコーヒーという軽めの昼食を取り
また博物館へ向かう、特に変わった様子は無いようだった

(気のせいだったら良かったな)

そう思いながら彼女は歩き出した
この辺りは景観を壊さないようにと、モダンな建物は禁止されている
昔からのレンガ造りの家々が複雑に絡み合った通路でくっついており
別の家同士が渡り廊下等でくっついたり、2つの家に1つの庭といったように
一戸建ての共同住宅の様な不思議な印象だった
日本では隣の家同士がくっついているなどありえない
領土をはっきりとさせるのが普通だった

(日本か、あの人ちゃんとやっていけてるかしら)

自分の夫が家事をしている姿など想像できないので
心の中でその姿を想像し笑っていた

200m程手前
昨夜ホテルに来た黒いスーツの男が歩いていた

「見つけたは良いが、さてどうするか」

成るべく悟られず、かつ見失わないギリギリの位置がこの距離だった
この辺りの地図は頭に叩き込んであるので
見失ってもある程度予測できる
そして、彼女が向かっている先が大体分かっていたのでそこまで慎重になる必要は無かった
ただ、どうやって接触すれば一番良いか
それだけはいくら考えても思いつかなかった

少し前、彼は喫茶店でプランを練っていた
あらかたの位置を突き止めたのはいいが、そこからが問題だった
自然に近づく方法を考えても考えても思い浮かばない
そもそもそういう嘘をつく事が苦手だった
そういう意味ではスパイにはまるで向いていない性格だった
その時まさか向こうから接近してくるとは思ってもいなく
慌ててサングラスをかけ直した
逸る心を諌めながらサングラスの内側から視線を送っていた
彼女が喫茶店をでて暫くしてからあとを追うように店を出る
後ろから何か店主が言っているが良く聞こえなかった
数秒するとその店主が外に出てきて「食い逃げか!?」と言ってきたので
慌てて誤解を取り消し、お金を払っていたら彼女の姿は見えなくなっていた
急いで追いかけようと早歩きをした瞬間に、曲がり角を曲がった直ぐそばで
なにやら地図のようなものを広げてそばに居た人に道を尋ねていたらしい
その瞬間彼は一瞬固まったがとりあえず自然に通り過ぎて怪しくない場所で
タバコを吸っていた、正確にはフリをしていたのだが
適当な場所で何もせずに突っ立っているのは多少不自然だが
タバコを吸っているという事にすれば周りの誰からも不振がられることは無い
そういう意味で、タバコの形をした先から煙がでる様に見えるこの道具を持ち歩いていた
ちなみに臭いも何も無いので調べられると逆に怪しい代物だが
人間の先入観に付け込めればでいいのでそこまで気にしていなかった

彼女が博物館に入っていくとどうするか悩んだ
入り口の目の前にベンチのようなものが多数並んでいるので
そこで座って待っていたほうが無難だと思い、そこで待つことにした
1時間が経過したがまだ出てこない
女性と言うものはショッピングだとか美術館だとか
こういった見て楽しむものに凄く時間をかけるものだとつくづく思った
2時間が経過したがまだ出てこない
流石に焦りを感じ始めた、まさかばれた?
いやそれか何か事件に巻き込まれた・・・?
まさか、と思い入り口にかけよる
そこで目にしたものは冗談にならないものだった

「当博物館は入り口と出口が別になっております」

との事だった

「やられた・・・」

結局その日、彼女を目撃することは出来ず
自分のホテルに帰った

―――――――――――――――――――――――――――――――
というわけで18000HITありがとうでございます!

今、家の大掃除がかなり本格的になってきて
俺の部屋は俺の部屋じゃなくなるっぽいので
それを全部2階に持ってけというわけで
必死に階段の上り下り運動をしています
といっても2階に本を置く場所が無い
と思ったのだが押入れにある布団を1箇所にまとめて
そこに入れれば何とかなるんじゃないかと思ったんですけど
なにぶん量があれなので、最終的には板を積んで仮の棚をつくろうとは思ってるんですけど
いやもう3日後には日本に居ないので流石に今は時間が無いという事で
縦に積んでるだけなんですけど(*`ω´*;)
まだ終わりが見せません.。*゛(*⊃ω⊂*)゛*。.

チャンス

2011-02-17 13:15:00 | キリ番
『成長とは、過去に犯した同じ過ちを犯さないように努力する事であり
失敗とは、初めてする事に対する当然の現象である』


「今月も厳しい、実に厳しい」

いかにも中年という言葉がよろよろと大通りを歩きながら通帳を見ている
都会でも田舎でもない町なので人通りも多くも少なくもなく
通り過ぎる人がちらちらと見ているのにも関わらず、まったく気づいていない
いや、気にしていないという表現の方が正しいか

「いつになればこの地獄から脱することができるのか」

と、独り言を言いつつ頭の中で想像してみる
良い未来がまるで想像できない
その中年は足を止める
目の前にある家賃を払ってまで住みたいという人がいるのかどうか怪しいほどの
ぼろっちい、通称『幽霊アパート』
それはこのアパートが余りにもぼろっちくて、幽霊が出そうというのも理由になるが
それよりも「ここに住んでいる人が幽霊みたいに生気の無い人間」ばかり
というのが幽霊アパートと呼ばれている一番の所以だった
203号室の前に立つ
鍵をかけても意味が無さそうなドアの鍵を開けて中にはいる

「がちゃっ」

まだ鍵を鍵穴に指してないのにもかかわらず、ドアが勝手に開いた

「あいたっ!」

「ちょ、ちょっとお父さん親父ギャグはやめてってあれほど!」

中からこの父親の生気の無さと反比例するような元気な女の子が出てくる

「お?親父ぎゃぐなど言った覚えは無いが」

「ドアが開いた時にあいたって言ったでしょ!」

「それはお前が気にしすぎなんだ」

「む、とりあえず私今からバイトだからどいてどいて!」

言葉の最後に常に感嘆符「!」がついているような喋り方で彼女は元気にかけていった

「わが娘ながら天晴れだな」

ズボンを数度「ぱんぱん」と払いながら立ち上がると家の中に入っていった

あれから何年経っただろうと昔を振り返ろうとしたが細胞が全力でそれを阻止するように
思い出せなかった
気づいたら娘と二人きりでこのアパートに「監禁」されたような生活
それもそうだ、ここは自分達で住もうと決めたわけじゃない
住めと言われてここに居る
しかしそれに抗うには金しかなかった、金、金、金

「金で出来ている世の中では、金が全てなのか」

そういえば、1つだけ覚えていることがある
何故今このような状況に陥っているのかと言うとそれも金なのだが
友人の連帯保証人になってその友人が金を返せなくなり
そのままチマチマチマチマ返している状態だった
しかし、0が減らない
あれから数年間頑張ったが―娘にも迷惑かけている始末―1/10?1/100?
ぐらいは返済できたのだろうか

「駄目だ」

その中年は唐突に通帳を閉じていつもの場所にしまう
そうすると仰向けに寝転ぶ
悲しい事に天井を見ているつもりなのに四方の壁も見える狭い部屋
娘が一緒という事で一応2つ部屋があるもののどちらも4畳半
キッチン、風呂、リビング、トイレと一通りあるものの
どれも一人が限界だろうと言えるほどの広さしかない

「あと何年、あと何年」

そう呟きながらいつの間にか寝入ってしまった

誰かが肩をたたいて居る気がする
自分の存在に気づいて欲しいという叩き方だった
振り向いたら女性がいた
長く黒くさらさらした髪をなびかせている
いつもつけている帽子が今日は見当たらない

(なんだっけ、あの帽子…
何だっけ…?)

「起きろぉーーー!」

肩に衝撃が走りがばっと上半身だけ無理やり起こす
目の前には誰もいない、と思ったら後ろにいた
仁王立ちしている彼女に片を叩かれていたらしい

「まったく、何度蹴れば起きるのよ」

・・・蹴られていたらしい

「とりあえず晩御飯作ったから食べましょ」

そういうと狭いリビングに向かっていく
結局夢の内容も霧散してしまった、何か大切な事を思い出そうとしていた気がする
少し考えたけど分からなかった

「だから、飯!」

急かす娘の言葉攻めにあいながらリビングに向かう

普段口うるさい娘もご飯を食べる時は殆ど言葉を発しない
お金が無駄と言うことでテレビも無いので静まっている

(何か無いか、何か…)

ただひたすらにチャンスの時を待つ
その時、自分にできるできる限りの事を必死に探していた


――――――――――――――――――――――――――――――
すいません、17000ありがとうございます!
じゃねえええええええって感じですね(*´ω`*;)

やっぱやる気があるときの方が良い文章が書けるので
こうむらむら来た時に書くのが一番いいかなーとか!

そういえば少しずつ気づいている人が居るかも知れませんが
実は○○○○○○○○○o○○○○
って事なんですよー、気づいてた?

記憶の断片

2011-01-12 19:41:22 | キリ番
『もし、2つのうちどちらかしか選べないのだとしたら私は
その2つを選べる道を探すことに最大の努力を注ぐだろう』



朝、目が覚める
近くに小鳥がいるのだろうか

「チチチ・・・」

と微かに聞こえる
窓から差す光が余りに眩しくて起きてしまった
まだ今日の予定をどうするか余り決めていない

一人旅最後を記念として何も考えずにその日その日の行動を取ろうと思ったのだ
足の赴くまま―
そんな旅もまた自分が自由だという証拠だった
今日の朝はホテルのレストランで食べる予定だ
寝間着から外出用の服に着替える
着替えている間昨日の事が脳裏に浮かんでくる

―まさかあんな事件に巻き込まれることになるとは―

巻き込まれたといっても実際に被害にあったわけではない
ただ、そばに居たので関係はしていた
そんなこんなで着替え終わると顔を洗ってレストランに行く
エレベータで下に降りると「レストラン街」と書かれている
このホテルは超が付くほど巨大で1000人以上を宿泊させる事ができる
なので和洋折衷様々なジャンルのレストランが並んでいる

(外国に来てまで和食は無いよなー)

彼女は外国の日本料理には余り関心が無い
一番の理由はお米
外国のお米と言うのは日本とは比べ物にならないほど質が低いのに愕然とし
それ以後食べる事は無くなったという
以前行ったスシバーでそれを体感してしまったのだ

―あれはお米ではなく白い何か―

そう思うようにしていた
その時にふとインド料理店に目が行った
そこはインド料理というかナン専門店と言っても過言ではない店で
ナン用のカレーも20種類以上、ナン自体も5種類ある
普通のナンやインド特有の野菜を練りこんだナン
ピリ辛のナンやチーズが乗っているもの等々
彼女は辛いのは苦手だがピリ辛は好きだった
それは彼女の父親の影響だった



「よし、明日はチゲ鍋にしよう」

「えーっ、また辛いの~~~?!」

「なんだ、嫌なのか?」

「えっ、ううん別に」

彼女の家は父親が主に料理を作り母親は仕事で帰ってくるのが夜遅かった
なので母親はあまり一緒に食卓を囲まない
子供が晩御飯を食べる時間が遅くなるのを避けるために父親と娘二人で食べる事が多かった
彼女は父親が辛いものが好きだと思っていたのだが
実は母親が辛いものを好きで父親が辛いものを良く作っていたのだと後で知った

「あっ、でも前のはちょっと辛すぎたかも・・・」

「何だそうか、じゃあ―――の分はあまり辛くしないようにするよ」

「わーい、やった!」

「まあ父さんに任せておけ、とびっきりの奴を作ってやるからな!」

「じゃあ私―――と遊んでくる!」

「気をつけろよ~、1時間後ぐらいにできるからな~」

遊ぶ事に夢中になっていた彼女の耳にはもう父親の言葉は届いていなかった



記憶が曖昧ながらも昔の事を思い出しながら彼女はレストランに足を運んだ
窓際のテーブルに案内されメニューを左上から下に向かってなぞる様に見る
日本でもこの手の店に行った事があるが、その店とはかなり違うタイプの種類ばかりだったので悩ましかった

「お勧めとかありますか?」

「かしこまりました」

何にすれば分からなかったのでとりあえずオススメを頼んでみた
ひとしきり待つとやがてウエイトレスが料理を持ってやってきた

「こちらが―」

それを見た瞬間彼女の記憶が揺さぶられる



―お姉ちゃん―



「お客様?」

はっと我に返りウエイトレスを見上げると、少し心配そうな表情をして

「では、ごゆっくり」

と離れていった

(私今・・・?)

思い出そうとしても思い出せない
夢を見て朝は覚えていたのに暫くしたら忘れているあの感覚に似ていた
確かに、夢は見た
なのにそれがどんな内容だったか、思い出そうとしても思い出せない
記憶が深い霧の中を漂っていた

「気を取り直していただきます」


―お姉ちゃん、お父さん―


まただ
断続的に発生するそれを彼女は必死に掴もうとした


―もう・・・会えないの?―


しかしその記憶はそれっきり途絶えてしまった
料理を全て食べ終わると

「ここのレストランの料金は全て宿泊費に含まれているので」

と言われ、「そうだったのか」と思いながら満腹という悦に浸りながら自室へ戻る
暫くあの言葉の意味を考えていたが結局良く分からなかったので止める事にした
そして10分程度くつろいだ後、街に出かける事にした

「博物館とか美術館みたいなところがあればいいんだけどな~
この子にも見せてやりたいし」

ホテルで街のガイドマップを貰うと正面玄関から外に出た
朝の日差しを十分に含んだ空気が彼女の頬を優しく包んだ




――――――――――――――――――――――――――――――
16000HITありがトウです!

久しぶりに本筋のキリバン・・・
書いてて思ったけど間が開きすぎると駄目だな
前のこと読み返さないと全然おぼえて無い><

これだけ時間空けて書くと矛盾とかでてきそうで怖いなぁ
これ実際は小説を書く練習と思って独りよがりで書いてるだけなので
おかしいところがあっても優しい目で見ててください・・・

お悩みな心

2010-12-10 10:04:03 | キリ番
「で、あんた付き合ってんの?」

余りにも唐突、口に含んだばかりの食パンを直ぐに飲み込んでしまった

「な!?
なななななに言ってるのお姉ちゃん!!」

「だって昨日見たよ、二人で歩いているところ
あんなに幸せそうに歩いてるあんたを見たのは確か小学生1年の…」

「またそんな昔の話を思い出させないでよ!!」

小学1年生の時、父親が買っていた誕生日ケーキが冷蔵庫にあったのだが
その日は一人だけ先に帰ってきてたまたま冷蔵庫を開けたらケーキが入っていたので
気がついたら全部食べてしまっていた
そして姉が帰ってきたとき、なんとも至福に満ちた顔をしていたそうな

うちの家族は朝夜とまだ一家団欒を繕ってはいるがあまり会話が無い
大体が3人とも黙々と食事をし、そのまま無言で去っていく事が多い
姉とはいつも一緒に学校に行っている訳ではないがたまに一緒に行く
母親は私達の話を聞いてはいる様だが特に何も言ってこない

「行って来ます」

二人はほぼ同時にそう言って玄関を開けながら振り返る
当然のようにそこには誰もいない
虚しい声が木霊するだけだった

殆ど友達と一緒に登校するが、今日は姉と一緒だった為に
後ろにいた友達は声をかけ辛かったらしく結局学校まで姉と二人だった

「で、どこ行ってたの?
ってあんたが行く場所はあそこしか無いか」

「良いじゃん別に、だって好きなんだもん」

妹の方は大の囲碁好きである
そこで碁会所にはしょっちゅう行くである

「あそこで見つけたんだ、あの子」

「うん、たまたま近くの席に座ってて
目が合って『打とっか』という事になって」

「あんたは可愛い子には目が無いからね」

「…」

少し俯きながら黙りこくると学校の校庭の砂が目に入った

「いっけない!
1時間目体育館でバレーだった!」

下駄箱に靴を入れると同時に鳴ったチャイムを聞きながら姉は走っていってしまった
いつもと同じ、小川の水が流れる様に緩やかな時間が過ぎていく
特に何も変わらない日常、でもそれでいいのだ
最近は小さい幸せも見つけたし

昼食の時間、かばんから弁当を取り出していると携帯が震える
どうやらメールのようだった

「良かったら今日打たない?」

と、あの子からのメールだ
二つ返事で了解メールを打ち、箸ケースから箸を取り出す
いつも一緒に昼ごはんを食べている友達が二人寄って来る

「ナニナニ?彼氏?キャーー!!」

「違っ!!」

「フーン?」

「そういえばさっきの国語の授業わけわかんなかったよね」

「そうそう、漢文とか勘弁して欲しいワ」

少しだけ心の中で迷いや後ろめたさのようなものが渦巻いたが気にしなかった

全ての授業が終わり、そそくさと学校を出る
いつも行っている碁会所に到着するとあの子は既に他の人と打っていた

「こんにちは」

「あ、うん」

唐突に挨拶されると何故か返事が曖昧になったりする
その日は夜7時まで打っていたので晩御飯を一緒に外で食べる事にした
この子と出会ったのはもう数ヶ月前になる
最初はチラチラとよく目が合って居たのでずっと気にはなっていたのだ
しかし声をかけるなど絶対に出来なかった
きっかけは、ある日隣同士になりお互いがほぼ同時に終わり
打っていた相手が帰ってしまった
そのときまだ打ち足りなかったのだ
どうやら相手もそうだったらしく一緒に打っているうちに仲が良くなったという感じだった

その日から特に何もしていないときはずっとその子の事が頭から離れなくなった

(まさか・・・でも・・・)

暫くずっと悩んでいたが、ふとある境地に達した
『この世で一番疑ってはいけないものは、自分の気持ちなんじゃないか』
そう思ってからは心の枷が取れたようで気が楽になった

「ねえ、恋が恋愛になるのはいつ?」

「え?」

姉は唐突に言われたので一瞬停止したが、返事は直ぐに帰ってきた

「そんなの告ってからでしょ」

「そうなの・・・かな」

「だって相手に『好き』って言わなきゃ自分の気持ちが相手に分からんじゃない」

「うーん・・・
そうなの・・・かなぁ?
まあいいや、おやすみ」

「ん」

布団の中で少し考えてみる
相手に自分が好きという気持ちを伝えるのに言葉が必要な時とそうじゃない時がある気がする

『付き合ってるの?』

と、聞かれると『うん』という返事が出来ない
付き合ってるってなんなんだろう
一緒に居るだけじゃ付き合ってるとは言わないの?
相手に『好き』って言わないと付き合ってるとは言わないの?
そもそも、付き合ってるという表現が曖昧なんじゃないのかな
全然良くわかんない
でも、恋愛って人それぞれだと思うし
私は私の信じる道を歩めば良いんだよね

ごちゃごちゃと思考しているうちにいつの間にか眠ってしまっていた
まだ少しだけ昼間はぽかぽかする秋
私は永遠の課題の真っ最中


―――――――――――――――――――――――――――――――――――
14000HITありがとうございます!
もう1/3経過してるとかは(以下略

今回はまた1回きりのやつにしました
ちょっと思いついたので書いただけなんですが

基本的に俺がなんか良く分からない事を言っている時は
特定の人物に対するメッセージが多いと思います(多分
つまり、俺が言っている事が分かる人に書いているのです(きっと
今回は特にそういうの無いんですけどね(恐らく

2010-11-17 13:02:38 | キリ番
避けられない運命は確かにある
しかし、避けられないとしてももがく事は無意味ではない
何故なら全ての生命は、死という絶対的な運命から日々抗っているのだから


空からふわふわした冷たいものが舞い降りている
ただ、その色は白ではなかった
そんな気がする

目の前に居た大きな男の人は悲しそうだった

「―――――――――」

白い息を吐きながら何かを話しかけてくれたのは分かったのだが
まだ言葉を殆ど理解できない私にはその言葉は難しすぎた
離れていく大きな人の背中をただ見つめることしか出来なかった
私の手を強く握り、離さない大きな女の人の手は
更に強く私の手を握っていた
少し痛かったが、手袋をせず冷え切った手にはこの温もりは気持ちよかった


気がついたらホテルのロビーで毛布に包まっていた
眠っていた私に近寄ってくる女性が居た、外国人だ

「御気分は大丈夫ですか?」

英語で話しかけられて一瞬唖然とした
今自分が外国に居るという事を忘れてしまっていた

「はい、まだ少し体がだるいですが」

その女性の説明によると救急車と一緒に来た医者の話では
身体が少し衰弱しているだけ、という話だった

「何かあれば私に言ってください、出来る限り力になります」

そう言って彼女はまた受付の仕事に戻っていった
濡れていた服もすっかり乾いていた
外を見ると闇夜を街灯が照らしている
最早瓦礫の山となった噴水は水が止められていた
バスも撤去されて、何処かでスクラップになるのを待つ運命なのだろう
自分の身に何か起こったわけでも無いのに今日は疲れた
このホテルは私が泊まっているホテルだったのでそのまま部屋に戻る

「そういえば、明日はクリスマスだったっけ。」

自室の窓から少し身を乗り出して外を見てみる
ここは6階なので景色はそれなりにいい
この町は中々の都会なので夜でもまだキラキラと電燈がいくつも見える
窓を開けると温かい風が吹き込んできた
しかし、湿度が低いので日本のようにベタベタする感じは無い

「クリスマスの前日なのに暖かいなんて何か変な感じだなー。」

私は寒い日本を思い出していた


「このホテルに白木麗という日本人は泊まっていないか?」

ホテルの受付で唐突に男性が質問をしていた
サングラスをかけて口には豊富な髭を蓄えて
髪の毛はオールバックで少し白髪が混じっている
全身真っ黒のスーツ姿で、少しハスキーだが渋い良い声を出していた

「どういった間柄でしょうか?」

「娘だ。」

その全ての所作に全く無駄がなく、その言葉の洗練さには自信が漲っている

「少々お待ちください。」

受付嬢は受付のカウンター裏にある『staff only』の部屋に入っていった
暫くすると別の男性が出てきた、恐らく主任かなにかだろう
その男性の言うところによると、過去に一度そういった事があり
事件に発展してしまったのでこの系列のホテルでは一切の情報を教えないようにと
定められたと言うことだった

「なるほど、そういうことか。
分かった、失礼する。」

そういうと男性はわき目も振らず闇夜に紛れて行った


彼女の部屋はホテルの正面玄関の真上にあり、窓も丁度真上にある
その男性は正面玄関から30歩ほど直進してから歩みを止めた
そして反対に振り返り上を覗く
その一瞬前、彼女の携帯が不意になった
液晶パネルには『母』と書いてある
彼女は携帯電話が投げ捨ててあるベッドに向かうと通話ボタンを押す

「どうしたのお母さん。」

「それがね、またおじいちゃんが『でかけてくる』という手紙を残して
一人で旅行に出たらしいのよ」

「またぁ?」

「まあもう慣れっこだから良いんだけど、
一応報告しておこうと思ってね。」

「うん、分かった。
話はそれだけ?」

「それともう一つ。」

それからは他愛も無い雑談を20分程二人で話すと電話を切る

「まったく、おじいちゃんは懲りないんだから・・・。」

そう言いながらまた外を覗いた
何気なしに下を見ると黒いスーツの男性がホテル正面でタクシーを呼んでいるのが見えた
彼女は窓を閉め、鍵をかけ部屋のカーテンを閉めて今日の終わりの準備を始めることにした
この時母には事故の事は言わなかった、家に帰ってから言うつもりだった

確認

2010-10-19 16:01:11 | キリ番
人間は自分が不幸になる事を前提に考えながら生きてはいない
何故ならそんな人生を生きていても辛いだけだからである


その『事故』から数分間、辺りは叫び声と騒ぎ声、壊れた噴水から出る水の影響で地獄のようになっていた
遠くに聞こえる、消防、救急、警察、の音が聞こえる中私は考えていた

(私がするべきことは何?
知り合いや家族に、今日こんな事が起こったと伝えること?)

「違う」

彼女は身重であるにもかかわらずバスの残骸に近づいていった
もし自分が被害者であるなら、必ず周りに助けを要求するだろう
なら、目の前で助かりそうな人が居れば助けてあげるのが最優先だ
と、考えた

近づくにつれ、体中がびたびたになっていくが気にならない
今は自分の様相などに気を向けている暇など無いからだ

「誰か!無事な人は居ませんか!?」

彼女はありったけの大きな声で叫んだが返事は返ってこない
それもそのはず、外からバスを見ただけでも全滅と考えても不思議でないほど
バスは大破、恐らく中心付近で爆発したのかバスの真ん中が一番酷く
真っ二つに裂けそうになっていた
彼女はその亀裂から中に入る
ひどい有様だった、一つとして配置されている椅子は無く
全てが元の形をしていない、この中で生きている人間が居るとすればそれは奇跡だった

彼女は昔もこういった事故現場に遭遇したことがある
あの時、初めて見た『犠牲者』の姿に圧倒され足がすくみ何も出来なかった
体中は震えが止まらず、何も言葉に出来ず、ただ見ることしか出来なかった
そんな過去を振り払い一人でも助かるならと、今度は心を締め付けた
どんな状態であっても一縷の希望があればそれをちゃんと掴んであげる
そう心に決めていたのである

壊れた噴水のシャワーがバスにも届いていた
天井からピタピタと水滴が落ちてくる、早くしないと助かる人も助からない

「うぅ・・・」

幽かに人の声が聞こえた気がした

「そこに居るんですか!?」

私は声の方向に駆け寄っていた
それはバスの前方に位置する場所で、爆発から最も遠く
座席の盾もあってかなり損傷が抑えられていた
それでも爆発時に正面に強くぶつかり顔には切り傷がある

「何処か痛みますか?」等と言う言葉はこの状態から見れば冗談にすらならなかった
痛みを通り越して感覚が麻痺していたとしても何もおかしくは無い
目を開けているはずなのに何も見えていない様子だった
聴覚も恐らく異常をきたしているだろう
幸運なことに体の上に何も覆いかぶさっていない状態だ
仰向けになっている彼女の口元に耳を当ててみる

「すーはーすーは・・・」

微弱だが呼吸が確認される
胸に耳を当てても「素人目」からは異常があるとは思えなかった
とてもじゃないがこの人を担ぐことなど不可能だ
安静な状態で傍で見守ることしか自分に出来ることは無い
そう思いずっと傍で「大丈夫、きっと助かります」と語りかけていた

暫くするとけたたましいサイレンの音が直ぐ傍まで近づいて止まった
救急車、消防車、パトカー、全ての緊急出動車が集っていた
そう思った途端、辺りは騒がしくなる
誰かの声を集中して聞いていないと誰が何を喋っているのか全くわからない
20人以上の人間がバスを取り囲み救助を始める
警察は辺りの人間に事情聴取を始める
消防隊員が慎重に足を踏み入れる
一人だけ明らかに場違いな自分を見てなにやら怪訝そうな顔を一瞬した

「あなたは?」

「私は近くをたまたま通りすがった時に爆発が起きて
中の人を助けようと・・・」

「馬鹿野郎!
素人が物見遊山で近づくんじゃない!」

「違います、私は・・・!」

「分かったからここから出て行くんだ、後は我々が何とかするから」

勿論、そんな気持ちでここに居るわけではない
しかし、何も出来ないのは分かっていた
この人たちはもう何十、何百とこういうことを経験しているんだろう
私はそれ以上何も言えずバスの外に出た

「ああ、服がべちゃべちゃになっちゃった」

今が夏という事を考えると、これだけは幸運だったのかもしれない
途方に暮れていると、近くのホテルの従業員がバスタオルをいくつか持ってきてくれた
私は、人間の暖かさに少しだけ触れた気がした

不運

2010-09-17 00:15:25 | キリ番
彼女は典型的な日本人女性
黒髪のロングが腰まであるので手入れが大変そうだ、しかし全く手入れを怠っていない
髪の毛は自分のポリシーなのでいつもシャンプーとコンディショナーを選ぶのに20分かかる
同じシャンプーとリンスを絶対に使わないのが彼女のポリシーだ
装飾物は好まないので一切つけておらず、化粧もしていない
ただし、紫外線は怖いのでUVカットは準備万端
特にオーストラリアは南極のオゾンホールが近くにあるので全く気が抜けない
麦藁帽子に日傘、薄紅色の長袖ワンピース
頬はスッと引き締まっていて顔立ちも整っている
誰が見ても「日本美人」といえる芸能界にスカウトされても全くおかしくない様相
ただ普段はやんわりした表情をしているが、眉毛が少し逆ハの字なので怒ったときは少し怖そうな印象を受ける
年齢は20代後半、3年前初めて付き合った男性とそのまま結婚、今に至る
誰からも好かれるが八方美人ではなく、ちゃんといけないことはいけないと叱ってくれる
そういうところが彼女が人に好かれる部分なのかもしれない

今は南半球のとある場所に海外旅行に来ている
赤ちゃんが産まれると一人で旅行なんて行ける機会がなくなるので
今回の旅行が人生最後の一人旅になるかもしれない

12月24日

日本ではみなコートにマフラーという装備が一般的な中
ここではみな半袖が一般的だ、南半球なので夏なのである

「あー、あついな。
でも、寒いよりはいっか。
ね、そう思うでしょ?」

まだ名前すら決まっていない子に話しかける

「あなたはきっと優しい子になるはず。
だって私と彼の子供だからね。
そろそろ、皆のお土産でも探しに行こうか。」

周囲から見ればただの独り言なのだが自分のおなかの中に居る赤ちゃんに
産まれる前に母親が語りかける行為は非常に重要なのである

「あそこなんていいと思わない?
『Melting mind(溶ける心)』だってさ。」

どうやらチョコレート菓子専門店のようである
日本は冬なので問題ないが、ここは夏なので手で持って帰るわけにも行かない

「私が日本に着いた後に家に届くように配達してもらおう。」

そして、まずは何を買うかが問題なのだが
この店はオーストラリア最王手のチョコレート銘菓店らしく
しかもチェーン店ではないらしいのでそこがまた凄い
代々家系がその技を受け継いで自分達オリジナルのチョコレート生成技術の手法を
他のチョコレート会社にばれないように厳しく取り締まっている
更にそれに甘んじることなく、更により良いものに、永遠の追求である
とはいっても社員はみな家族なので一応の信頼は置いているが
裏金を積まれて懇願されるなど何度もあったらしい、その度に

『金で心が買えるなら、この世はもっと腐っているはずだ』

と、追い返しているらしい

「やっぱりあの人にはこのハートのチョコレートが良いかなぁ、なんて。」

この店の一番人気の『ハートブレイカー』というチョコレート
このチョコレートは2層になっていて上層にホワイトチョコ、下層がビターチョコなのだ
正面から見ると一見ただの黒いチョコなのだが反対側は白くなっていて、中々に外見でも楽しませてくれる

「これもいいかなー。」

この店の三番人気『スターチルドレン』というチョコレート
生チョコのトリュフというのは普通丸っこい形をしているのだが
ここのトリュフは星型になっている
そして何より特徴的なのが周りにかかっているパウダーを購入時に選べるのだ
しかも1つ1つにどれを振り掛けるか選べるのでかなり凝っている
『ストロベリー』、『バナナ』、『ココア』、『バニラ』、『ブルーベリー』
そして一番目を引くのが『梅干』
何気に相性がいいらしく、スッパ甘いと評判だ
ちなみに英語では『Pickled plum』という

「梅干食べてみたい気がするけど、ちょっと冒険だよね。
3つぐらいだけこれにして貰おうか。」

どれを買うか決めると宅配の手続きをしてもらう
しかもここが凄いのだが、なんと送料が無料なのだ、最王手のこだわりは伊達じゃない

「良い買い物したね。
もう夕方だし、今日は中央公園のオープンカフェでご飯を食べて帰ろうか。」

店の入り口の手動のガラスドアを満足した足取りで出た瞬間
目の前を通り過ぎた観光バスが中央公園広場の噴水横を通り過ぎようとした瞬間爆発した
辺りは一瞬にして緊張感が漂い、遠くから救急車と警察、消防車のサイレンがけたたましく鳴り響き、近づいてきている
傍にあった噴水は爆発の影響で歯止めが利かなくなっており
夥しい量の水が暴雨の様に吹き荒れている
あまりにも不運な偶然、不幸な必然
そしてここから全てが始まった


―――――――――――――――――――――――――――――――――――
遂に来ました10000HIT(≧ω≦)/
感謝感激雨霰とはこの事ですね!
このシリーズはちょっと自分でもよく分からない方向に行くかもしれない
けどある程度は道筋立ててるので収集が着かなくなるような事はしたくないですね
そして何部作という感じにするつもりも無いので
どれぐらい続くかは分からないですが頑張って書いていこう!

真実、それは―

2010-08-30 10:59:09 | キリ番
女の人は不意に視線を逸らした
いや、逸らしたのではなく別のものを見ていた
その方向を見ると助けた男の子が居た

(え・・・?)

心拍数が徐々に早くなり、自分の心音が聞こえてくるほど高鳴る
いつの間にか作っていた握りこぶしには汗がビッシリになり
背中も汗をかき始めてきた


数年前―

お母さんは唐突に尋ねてきた

「ねえ祐生、妹と弟だったらどっちがいい?」

「えっ、何急に」

「いいから答えなさい」

「わ、わかったよ
うーん…別にどっちでもいいけど弟の方ががいいかなぁなんとなく」

「そっか」

「?」

「実は子供ができたようなの」

「えっ?」

「それで、性別はまだわかってないんだけど
どっちでもいいなら問題ないわね」

「男の子なの!?」

「あんたさっきどっちでもいいって…
まったくしょうがない子ね」

「むっ…」


という話を覚えていた


「まさか、その子が僕の弟なんですか!?」

「いえ、違うわ
この子は私の子、弟さんいらしたの?」

「えっ?
あ、いや…」

なにやら話がかみ合わない

「この子は私の子です、着いてくるって聞かなかったもので
それで生き残ったのはあなたの「お兄さん」なのよ」

「・・・・・・えっ・・・・!?」

(おにい・・・・さん・・・?)

僕は分けがわからなくなった
―お兄さん―
そんなものの存在など、当たり前だが考えたこともなかった

「どっ、どういうことですか!?
何か悪い冗談で僕をからかってるんですか!?」

「あ、気分を害されたのなら謝ります
悪気はなかったのごめんなさい
それにしても知らなかったんですか…
そっか、それであんなことを…」



「恐らく私はもう助からない、それはなんとなくわかるんです
この状態ではお腹の中にいる子も多分…
それで、実は傍にいるのは私の息子なの
夫はもう亡くなってしまったけど、もう一人日本に息子がいるんです
この子はその子の兄に当たる子」

私はずっと黙って聞いていた
最後の命の声を邪魔する事はあまりにも無粋だから

「それで、もしよければ4年後にあの子に会いに行ってもらえると助かるんです
あなたはたった一人の人間じゃない、お兄さんが居るんだよってことを伝えてほしいんです
わがままかも知れないのですが…」

「そんな、とんでもありません!
絶対にあなたの望みはかなえます!」

「どうして4年後なのかというと…」

「・・・・?あのっ!?・・・あのっ!?」



「それが・・・あなたのお母さんの最後の言葉です」

「そう・・・ですか・・・」

「私はそのどうして4年後なのかというと、という言葉が気になって
あなたは何か知らないのかしら?」

僕はお兄さんが居るという事実がまだ頭にこびりついていて
女の人の声が耳に届いてなかった

「あの?」

(お兄さん・・・・)

「あの、大丈夫ですか?」

「そのお兄さんって僕に似ていましたか?」

「えっ、んー・・・・
4年前なのであまり覚えていないですが、そういえば確かに名残があるような」

「歳はどれぐらいでした?」

「それもはっきり見ていないので分からないけど
あなたと同じぐらいじゃなかったかしら?」

(・・・・)

「髪の毛の色は何色でした?」

「透き通るような金髪でしたよ、染めていたのかしら」

「よぉ」

あまりにも唐突に呼ばれたため、二人とも自分たちに声がかけられていることに気づいていなかった

「まさか・・・それって」

「どうしました?」

「おいおい、ご挨拶だな」

二人とも、どうやらやっと気づいたらしく同時に振り向いた
肩までギリギリ掛からない程度の透き通るような金色の髪に銀縁眼鏡
額と左頬に事故かなにかでついたと思われる傷痕が痛々しく残っていた
背丈、体格などは僕とあまり変わらない
なにより、そこに鏡でもあるかと思うほど「似ていた」

「へー、やっぱり「似てる」いや「同じ」だな」

唇の端をほんの少しだけ吊り上げそう言うと
「同じ」顔を持つ男は両手をポケットにずさんに入れると
まるで舞台で演技でもしているかのように、ゆっくりと近づいてきた

そして―



―あとがき―
はい、これにてこのシリーズ終了です
本当はこんな感じにするつもりはなかったのですが
どうせ終わるならなんか面白いことしたいなーとか思ってやってみました
続きは想像にお任せ
こんな不定期だけど、連載している人たちの気持ちがちょっと分かった気がする
まあ俺の場合お金貰ってないからあれなんだけど
にしてもカウンターの進み方がちょっと想像を超えてしまった
どうしよう・・・、この先考え中
最後に、9000HITありがとう!

最高の  邂逅+1

2010-08-12 18:03:29 | キリ番
ぼんやりとした意識を振り払いなんとか体を起こそうとする

「いつっ」

背中に鋭い痛みが走り、上半身がぼふっと布団に叩きつけられる

「あ、まだ無理をなさらないで下さい」

声をしたほうを見るとさっき見た女の人が椅子に座っていた

「えっと、ここは病院・・・ですか?」

「ええ、近くの中央病院に救急車で運ばれました
幸い速度もそんなに出ていなくてたいした怪我では無かったんですが
あの子が―」

自分が今の状況になっている原因を思い出した

「そういえば、あの男の子は無事なんですかっ!?」

隣の病室にも聞こえるほどの声を出し、上体を起こそうとしてまた痛みによって叩き伏せられた

「そんなに焦らなくても
あの子ならここにちゃんと居ますよ」

カーテンを開けると頭に包帯を巻いた男の子がスヤスヤと寝息を立てていた

「あの時に衝撃で飛ばされてしまって電信柱に頭をぶつけたんですけど
あなたのおかげで衝撃が吸収されたらしく大事には至らなかったようで
救急車を呼んだのは初めてだったんですけど
やる時はやれるものなんですね、ふふっ」

彼女は微笑みながら外を見ていた

「そうですか、よかった・・・本当に、本当によかった・・・」

自然に溢れてきた涙が自分にも予想外だった
あの時自分は「助けなきゃ」という思いで助けたのではなく
細胞が反応した、そういう感覚だった

「それにしてもビックリしました、ここに来てあなたの名前を拝見した時は…」

何のことか良く分からない僕は涙を拭いながら

「え?」

と答えると

その人は隣の子供と僕を見ながら微笑んでいた
隣のベットをもう一度見るとまだ穏やかな眠りに包まれている

「丁度4年前だったでしょうか、私、夫婦で海外旅行に行ってたんです」

昔のことを懐かしむように外を見ながら、淡々と喋りはじめた

「あの時は悲惨でした、そばを走っているバスが急に爆発して
私と主人は被害を受けない位置に居たために避難していたんですけど
主人は「どうしても行かせてくれ!」って聞かなくて
あ、主人は医者をしていましてね、こういう場面に立ち会うと
危険を顧みずに救助に参加してしまうんです」

僕がぽかんと話を聞いていたのを見て、目が合いニコリとしてからまた話し始めた

「そのときにたまたま日本人女性が居たんです
その人はまだ息があって周りの人たちに比べればましだったのですが
それでも酷い有様で・・・
主人は近くのベンチにその女性を寝かせて何やら喋っていました
私が近づくと「近くの総合病院に行ってくるお前も後から来てくれ」と、急に言い出して
救急車に自分も乗って行ってしまったんです」

何の話をしているのか分からない僕はまだポカンとしていたが

「何か聞きたいことはありますか?」

と、聞かれて我に帰り

「あ、いえ」

と言うとまた話を始めた

「この時は私も分けが分からず病院に行って
私も主人も英語は喋れたので、受付で事情を話して
主人が居るかどうか確かめてもらったんです
そしたら手術室に居ると言われまして、行ってみたら
手術室の前で座っていて「くそっ、俺も手術に加わりたいのに」
と言っていましたが、2人で待つ事にしました
それから数時間が経過して、手術が終わったようなのです
出てきた医者に主人は駆け寄って「どうだった!?」
と聞いていました、そしたら
「一人は生き残ったがもう一人は…残念だが」
と言い残し去っていきました
この辺りでもう大体何のことか分かると思うんだけど」

「僕の、お母さん…?」

「そう、でもねこの時生き残っていたのはあなたのお母さんではなく―」

――――――――――――――――+1――――――――――――――――――

この話、思いついたのはいいけどうまくまとめれない
どうしよう、気がついたら8000HITなってました
嬉しいんだけど、うううん
シリアスな話って難しい

最高の  序幕

2010-07-10 21:46:12 | キリ番
「あぶないっ!!!」

全力で飛び出した後の事は何も覚えて無かった
気がつくと、静かで仄かに薬品くさい臭いがあたりにたちこめている場所で
真っ白に包まれた部屋のベットの上で寝ていたようだった


僕はとある高校に通っている高校2年生
僕の両親は4年前、海外旅行に「夫婦水入らずで」といって出かけた
食事、洗濯などにようやく慣れてきたけど、面倒くさいので両親の帰りを楽しみに待っていた
自分で一人暮らしもできるんだと、中学1年の僕は自慢げに両親に話そうと思っていた

ピンポーン

(帰ってきた!)

玄関までダッシュで掛けて行った
期待と高揚感で溢れ帰り、ダダダダダっと階段を降り途中で転げ落ちそうになりながら
裸足で玄関先のドアを勢いよくガチャっとあける

「おかえり!」

息を切らせながらドアの前に立っている「一人」の人間を迎えた
息が少しずつ安定してくると同時に昂ぶった気持ちも次第に冷め始める

「高有さんのお宅で、大丈夫ですよね?」

「はい、そうですけど」

「………息子さんでいらっしゃいますか?」

「はい…?」

よく考えると今日はまだ2人が帰ってくる日には早かった
その後の会話はほとんど覚えていない、覚えているのは1文のみ

「…ご両親が、先日の爆弾テロでお亡くなりになりました」

ニュースなど、ろくに見なかった僕はその情報を知る事などまず無く
玄関には両親が発った次の日から新聞が綺麗に山積みされていた
日本人の旅行者用のツアーバスが偶然襲われたらしい
捕らえられたテロの実行犯は無差別で「なんでもよかった」、と言っていたそうだ

その日から学校も無断で何日も休み、家に一人で引き篭もっていた
どうしようもなくひたすら絶望していた毎日
気を使ってか、どうでもいいのか、友達の誰も尋ねてこない
1週間ほど学校を休んでいるとある日

ピンポーン

インターホンが聞こえる
頭の中では行かなくちゃと思っても体が言うことを聞いてくれない

ピンポーン

15秒ほど後になったインターホンはどうやら少しだけ元気をくれた気がした
自分のことを必要としてくれる人間が、まだこの世の中に居るんだ
構ってくれる人が居るなら相手は誰でも良かった
とにかく一人になりたくない、その一心で玄関まで足を運べた気がした
玄関のドアを5秒ほどかけてあけると一人の男性が立っていた

「えーっと、こんばんは、祐生君」

目の前に居たのは担任の考野先生だった

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

そんなことあるわけ無いと思いつつドアの向こう側に居る人を心のどこかで期待していた
その期待を裏切られ、心を閉じるのと同時に玄関のドアを閉じ始めた
バシッ

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

閉まりきる前に先生が持っていたカバンをドアに挟んで閉めるのを阻止していた

応接間のソファーに向かい合わせで座る

「どうして学校に来ないんだい?」

「・・・・・・・・」

あの日から風呂も入らず着替えもしてないボロボロの姿をみても
先生は不愉快な態度は微塵も表に出さなかった

「・・・そういえば親御さんは居ないのかな?」

「・・・・・・・・・ぅぐっ、っぐ・・・先生・・・」

その後、先生に全てを話し、気が落ち着くまで一緒に居てもらったら結局夜になっていた
少しずつ学校に行きだして先生は独身だったので僕の家によく来てくれて
ご飯を作って一緒に食べたりしてくれた
そんなこんなで先生とは仲良くなったが僕が中学校を卒業するのと同時に
先生は結婚して遠くの学校に転勤する事になってしまった
それからは手紙で連絡は取り合っているが、ずっと一人で生活している
自分の生まれ育ったここを離れることはどうしても嫌で叔父や叔母のお世話にはならなかった
その代わり高校生になってバイトをするまでは最低限の生活費は仕送りしてもらってきた

高校に入ってからは友達も増え、僕の過程の事情をなるべく知られないように
気を使わせないように振舞ってきた
それでも僕は平気だ、例え知ったとしてもどうなるわけでもないし
気軽な友達付き合いのほうが気楽だし
なのでうちにはまだ誰も呼んだこともないし
来ると言ってもうちは無理だという風に断っている
最近はよくゲームセンターでボーリングをして
優勝者と敗北者に何らかの商品と罰ゲームを毎回与えるのがブームになっている

「あーあ、今日は退屈だな」

いつも一緒に遊んでいる友達はなぜか全員都合が悪いらしく
今日は一人で下校している
高校から家まで自転車で15分程度なので登下校はそんなに苦じゃない
僕は信号が嫌いなので、なるべく信号が無い道のりを探しているうちに
遂に学校まで1回も信号に出会わずに行けるルートを開拓した
高校生活も1ヶ月を迎えた頃だった
いつものように同じ道を通っていると、余り見かけない親子が手を繋いで歩いていた
30台前後の女の人と4才前後の男の子だった
何やら周りをキョロキョロしながら紙を見ては家の名札を見てを繰り返している
(誰かの家でも探しているのだろうか)
自分の家は目と鼻の先なので、もしかしたら分かるかもしれない

「あの、誰かの家を探しているんですか?」

「ええ、それが―」

女の人が男の子の手を離した瞬間、男の子は道路の反対側に向かっていた
青くて丸くてねずみが嫌いでアンパンが好きなたぬきの絵が描いてあり
「この辺りは視界が悪いのでキケンです、大人は子供から目を離さないようにしましょう!」
と書いてある板に向かって小走りに掛けて行った
突如家の影から車が飛び出して来る、男の子は気づいていない

ドンッ

車が急ブレーキを押した時の甲高い摩擦音、車と人が衝突した音、僕の叫び声が辺りの空間を支配した



今回のこのシリーズ長くなるので流石に分けました
というかうまく纏めるのにまだ時間がかかるのでそれも含めて
いつのまにか1日で書ける気軽に終わらせたくない内容になってしまったので
こんな形をとります
恐らく、最低3回分はあることでしょうw


今回初めて人名をつかってみました
今まで使わなかったのには理由があるのですが
やっぱり彼だとか彼女だけだと表現の幅が狭くなるし書きづらい・・・
読み方は何でも良いので適当に想像してくださいw

最高の

2010-06-17 11:06:43 | キリ番
「おい、帰ろうぜ。」

終了チャイムが鳴り終わる前にいつも一緒に帰っている友達に声を掛けられた

「あ、今日は日直でまだしないといけない事があるからごめんっ。」

いただきますのポーズをしながら僕は言う

「連れねーなぁ、じゃあ俺やりたいゲームあるからまたなっ。」

「また明日!」

うちのクラスは日直が2人制で、しかも何故か毎回男女が2人ランダムで選ばれる
運が悪ければ数日連続なんて事もありえる

「女の子と男の子が仲良くならないとこの世界は絶望のうちに破滅に向かうのよ!」

「人類存続の為に」と、デカデカと書かれた黒板をバンバンと叩きながら言う
女担任の良く分からない陰謀の為に、こうなってしまったのだけど
2人しか居なくなった教室で淡々と日直の仕事を何の話をする事も無くこなしていると

「そういえば、同じ日直になったの初めてだね。」

黒板を念入りに消しながら、明日は誰と誰がペアの日直なのだろうと考えていると
後ろからこう聞こえてきた
焦る心臓に手綱を引っ張りドウドウと抑えながら振り返ると
彼女は向こうを向いて箒で教室の後ろをせっせと掃除している
僕は少し落胆し、また黒板に向き直り

「そうだね。」

と、短く返事をしてまた沈黙の時間
だって、何を話していいのか分からないし
そもそも女の子が興味ありそうな話なんて見当もつかないし
そもそも―
と一人で悶々と話題を探していると

「今年の夏祭りっていつもより大きいらしいよ。」

「へ、へー、そうなんだ?」

どうしてそんな話題を振ってくるのか分からずに曖昧に返事をする

ガラッ

突然開いた教室の入り口に2人同時に目を向ける

「何だ、2人とも、表情が固いぞ表情が。」

担任は僕と彼女の顔を交互に見つつ話す

「んで、日直の仕事は大体終わったか?」

どうも教師の話し方じゃないのだが、いつもこの調子なのでもう慣れた

「はい、大方。」

「ふーん?そうか。」

僕が返事をする前に彼女はそう答えると少し不満そうに担任が僕達を一瞥する
何か気に入らないのだろうか

「それはそうと、さっき英語のあいつが呼んでたぞ。」

僕の顔を見て担任は顎を職員室の方角にくいっと指しながら言う

「えっ…、わかりました。」

そういって僕は職員室にいる英語の先生の所に行く
教室を出てドアを閉めると少しだけ担任の声が聞こえた気がした
英語のノートを新しいのに変えた時にノートに名前を書き忘れてたらしく
僕の名前だけ無かったようなのでそれの確認だった
戻ってきてドアを開けようとした瞬間

ガララッ

先手を打たれ担任が目の前に突っ立っていた

「よう、じゃあな。」

担任はニカッと笑いそのまま廊下へ消えていった
僕は自分のカバンを取りに窓際の自分の机に駆け寄ると机の上に祭りの入場券が置いてあるのが目に入った

(?)

僕が入場券を手に取り、書いてある文字を読んでいると

「今年のお祭りは入場券が無いと入れないんだって。」

彼女の方を見ると彼女は入り口を見ながら両腕を後ろに回し茶色い学校指定のカバン持って立っていた

「お父さんが関係者と知り合いで、友達と行きなさいって2枚貰ったんだ。」

彼女はずっと入り口と喋っていた

「そうなんだ、え、これは?」

推測がジワジワと確信に変わる時間を与えるように彼女は何も言わなくなった

「それって―」

ザアーッ

突然の大雨に言葉をかき消され、自然と外に目をやると彼女も外を見ていた
2人は暫く雨を見つめ、涼しい風に打たれていると
どちらが声を掛けずとも帰る準備をして下駄箱に足を運ばせた

「あっ、今日ばたばたしてて傘忘れてきちゃったんだ、どうしよ。」

下駄箱についた途端に彼女が声を立ててそう言った
僕の気のせいでなければ彼女はチラッと傘置き場を見ていた

「えと、僕、持ってきてるけど。」

大き目の半自動傘をバッと広げながら僕は言う

「ありがと。」

少し照れながら彼女は空いている方にささっと小走りで駆け寄った
今日はいつもと違ってポツンと傘1つ、だけど何やら傘の下は賑やかだった
帰りがけに職員室を見ると担任が窓際でこちらにVサインを焚いていた

(どうやらうまくいったようだが、さて私はどうやって祭りに行こうか。
ま、あんなザルな警備などどうにでもなる、か。)

6月17日、お互い知らないけど今日は2人の15歳の誕生日

夏本番の到来まで、あと少し―


6000HIT!!!!記念(?)です
なんか間隔短いけど流石に5000間隔とかにするとあまりに遠すぎて練習にならないので
1000間隔ぐらいがいいかなーなんて
内容はまあなんというか、なるべく毎回違う感じに書ければそれで満足
今は

最高の

2010-05-27 11:43:11 | キリ番
「ねえ、僕と友達になってよ。」

緩やかな風と暖かい温もりに包まれたぽかぽか曜日
僕はどうしても我慢ができずに、遂に声を掛けてしまった
毎日傍に居る筈なのに
いつも声をかけれない臆病な僕の背中を押してくれたのはなんだったんだろう
だけど相手は気づいていないのか無視しているかで、返事が返ってこないんだ

「ねえ、君。居るんでしょ?」

虚しく響いた自分の声が温風に運ばれた気がした

「あ?」

何か少しイライラしているような返事だったけど、返事をしてくれたんだ

「俺に何か用か?あるなら言ってみろ。」

「いや、別に用があるわけじゃないんだけど...」

今日はお母さんが来ない日だから起きたのはいいけど暇なんだ

「知るか。俺はお前とは違って忙しいんだぜ、用も無いのに話しかけるな暇人め。」

たまに優しいお姉さんとか優しい先生が来てくれるけど
その人たちは直ぐにどこかに行ってしまって友達になってくれないんだ

「そんな事知るかよ、俺には俺の人生設計ってもんがある。
お前のその下らない用のせいで俺の人生が台無しになったらどうしてくれるんだ?」

「そんな言い方しなくても....別に君の人生を壊すつもりじゃなくて、
ただ友達がほしいだけなんだ。」

お母さん以外とこんなに積極的に喋ったのは初めてかもしれない

「友達?友達になってどうするんだ?」

「え、それは.....
おしゃべりしたり、何か遊んだりするんだよ。」

「どんな事をだ?」

「それは....後で考えればいいんだよ!」

「もう少し建築的な発想はできないのか?
友達になることが最終目標じゃなくて友達になってから何をするか、それが重要だろ。」

「そんな事言われても、僕よくわからないし....
そうだ!何か遊びを教えてよ!
それを一緒にやろうよ!」

おかしいな、今日は言葉が詰まらない
どんどん湧き出てくるんだ
こんな気持ちになったのは初めてだよ

「そんなことは知ったこっちゃ無いが、
どうして俺がお前にそこまでしないといけないんだ。」

「君の事をもっと知りたいんだ
いつも何して遊んでるのかとか、何を喋っているのかとか。」

「知ってどうするんだ?」

「君の事が分かれば2人で色んな事ができると思うんだ!
そうしたら絶対楽しいよ!」

今日はやけに饒舌だな
と言う俺も気まぐれに返事をしてしまった事での結果か
だが今日は何となく返事をしたくなった

「わかったわかった....
で?何が知りたい」

「え....っと
何か2人でできる遊びを教えてよ!」

唐突にいわれても中々浮かんでこないものだ

「そうだな。
今まである遊びはもうやり尽くしたからつまんねえ。
俺が今考えた遊びをするか。」

「うん!そうだね!
それやりたいな!」

「これは一見つまらないかもしれない。
遊びというものは感情で言うと楽の部分を大半の成分とした行動だが、
これはそれには属さない。
だがとても安らかになれる。」

「言っている言葉が難しくてよくわからないけど...
それをやってみるよ!
どうやってやるの?」

「胸に手を当ててみろ。」

僕は右手を胸に当ててみた

「音が聞こえるだろ?
そして温かい温もりが伝わるはずだ。」

「うん、気持ちいいよ。」

「その音と温もりをを感じろ。
そして、その音が次第にゆっくりになる事を心の中で強く意識するんだ。」

「わかった、やってみるよ。」

最初は戸惑ってよく分からなかったけど
暫くすると、ゆっくり音が小さくなっていくのがわかってきた

「何だろう、ちょっと眠くなってきたよ。」

「そうだろ。
きっと疲れたんだ。
起きるまで俺が傍にいてあげるから、少し眠ってみたらどうだ?」

「僕、寝るのは得意なんだよ!
いつも電気が消えてて直ぐ寝れるんだ!
そういうの真っ暗って言うんだって。
お母さんは「あかるい」とか「まぶしい」とかよく言うけど、
僕にはよく分からないな。」

「別にわかる必要なんて無いさ。
お前の世界はお前にしか分からない。
だけど俺は分かってるぜ。」

「そうなんだ!凄いね君って!」

「ああ、だから今日はもうゆっくり休め。
また次起きたらお前の相手してやるよ。
ずっと、ずっとな。」

「うん!
約束だよ!」

「ああ、俺は約束は絶対に破らない。
今まで一度も破った事ないんだぜ、凄いだろ?」

眠くてうまく返事ができなくなってきたけど
寝る前に1つ言いたいことがあったから言おうと思ったんだ

「ねえ、僕の初めての友達になってくれて、ありがとう。」

「何言ってんだ?お前は最初から俺の友達だろう。」

なんだか自分中心の言い方な気がするけど、そんなことどうもでいいや

「そっか....よかった.......ありがとう。」

あんまり「ありがとう」という言葉を連発しないほうがいいぜ
言葉の有り難味が、なくなるからな

「ああそうだ、お前が生まれた時からずっと....ずっと一緒だっただろ....」

暫くすると看護師と医師が足早に駆けつけてきた
病院の真っ白いベッドの上で安らかに眠っている少年に
懸命な処置を行ったが少年は目覚めなかった


...明るいって...どんな事なのかな?
...さあな...でもお前は明るい場所でその温もりはいつも感じてただろ?
...ああ、そうなんだ
...あれが明るいっていうことなんだ
...厳密には違うが、まあ似たようなものだ
...そっか、気持ちいい事なんだね
...ああ、俺も今明るい場所に居るよ
...僕も、周りが真っ白で眩しいよ


春と夏の合間で、少年は最高の友達に出会った


少年の物語はここで終わりだけど、僕達の物語はこれからだ



というわけで今度書いてみるとか言ったのに、思いついたので書いてみました
どうしてこんな内容なのかと言うと
今まで書いたこと無い切ない感じというのと
2000文字ぐらいまでで纏めた短編小説にはこういう話のほうが
区切りつけやすいかなとか思って

5000HIT記念!!!!ちょと追記

2010-05-26 22:57:16 | キリ番
ブログ開設から746日でついにアクセス数5000を超えました
自分のためのブログとかいいつつ、これはこれで嬉しいです
これも偏に皆様のお陰です、ありがとう><
次からキリ番記念みたいな感じでなんか書ければいいなとか思っています!

ちょっと表示形式を変えてみようと思って色々試してみたけど良いのが無くて
元に戻そうと思ったら元のがどこにあるか分からなくなって
混沌化中・・・・どこだぁ><

ああ、やっとみつけた
なんかこれが一番落ち着くなぁ、慣れって凄い