いそいそと車に戻り一番後ろの座席に鎮座しシートベルトを着用すると
まもなく「皆、準備はいい?」と声が聞こえた
そこで俺はふと思う、点呼とかそういうのが合った方が分かりやすくないか?
と思い若い方から順番に番号を言う事にした10人いるので分かりやすしな
1と2はまだ人類が理解範疇な言葉を正確に自分の思った通りに発する事ができないので
変わりに母がする
「1、2!」
次は花美だ
なにやら恥ずかしいのか何か知らんがじれったく
「さん..」と言う
後はもう大丈夫だ
青菜、村正、俺、華、月奈、春子、珠子の順番に10まで行く
「では出発しまーす」
という号令と共に月奈はキーを回しこの鉄の塊に命を吹き込む
心臓が毎分数千回転し始めフロントミラー、バックミラー、肉眼で前後左右確認し
流石に上下までは確認しないがタイミングを計り
後ろから来る車が来なくなったことを確認してから発進
傾斜度1度の坂に位置エネルギー、運動エネルギーが共に0の状態でボールを転がすように安全にゆっくりと加速をする
そして俺は辺りを特に意味無く目を泳がせてから暫くするとまた無意識下へと昏倒するように堕ちていく
「ここだ、ここ、ここ」
あれからそんなに時間が経っていないだろうということは容易に想像ができた
深く眠りについたあとたいした睡眠も取らずに起こされた時の気だるさが無いからだ
春子はそう言うとまたも足早に降りていった
俺はと言うともう迷わない、即座にカメラを持ち後を着いていく
橋がある、2つだ
1つは歩行者専用橋、もう1つは車専用の橋になっている
振り向くとさっき居た学校が見えた
(近っ)
明らかにここまで2分とかかっていないだろうがその間に自分が睡眠と言うまでの
状態に陥った事が自分の残存体力を物語っていた
ちなみに先ほどの学校もだが俺と母しか車から出ていない
少し悲しいかな、いやなんでもない
この橋での逸話(?)は母によく聞かされていた
何度聞いたかな、恐らく3度は聞いているだろう
しかし現場に来たのは初めてだ
当たり前の話だが俺が子供時代を過ごした場所から700kmほど離れているし
母と祖母は数年前までは山口に数年おきに墓参りだのに行っていた記憶があるが
俺は一度も付いていっていない
記憶が正しければ誘われてすらなかった気がする
まあ昔の俺ならそんなものはドッグフードより興味が無かったはずだが
そしてやはり違うものだ
現場で実際昔ここであった話を聞くのとイメージの中で母の文章を元に
現場を構築するのとでは
ああ、これが百聞は一見にしかずの真髄なんだなあと思った
そして、一頻り辺りの風景をカメラに収めてから
ある程度は覚えていたものの明瞭に思い出せなかったのでもう一度聞く
「この橋から落ちたんだっけ?」
「そうそうここから」
「どんな感じで落ちたの?」
「あんまり覚えてないけどたいした怪我じゃなかったから頭からじゃないと思うよ」
「どの辺から落ちたの?」
「多分この真ん中当たりかな」
と、なぜか歩行者専用の橋があるのに関わらず車専用の橋の上で語り合う二人
なかなか車どおりが多いらしく1分に1台は必ず来るといったペースで
時折運転手を見ると明らかに「なぜ歩行者用の橋をわたらんのだこの町人A、Bども」
と言わんばかりの鋭い目線に俺は後ろめたさを感じながらも知らん顔を決め込む
その真ん中当たりの下を覗くと何やらよくワカラン水草が
川底がギリギリ見えない程度に乱雑に生育しており
1辺50cm程度の正六面体のコンクリートのブロックが
凡そ数十センチ間隔でキレイに設置されており
少し川面から頭をこちら側によこしていた
「ここから落ちたらどう見ても致命傷だと思うけど」
「そりゃあ昔はあんなブロック無かったしね」
まあ頭の中では何となく気づいていたのだがあえて聞いた
川の深さは昔とあまり変わっていないらしい(憶測)
川の深さもなかなかだし頭から落ちたとしても小学1年生ならば恐らく怪我はしないだろうが
それでも高さは3mはあるので高所恐怖症になってもおかしくないぐらいの高さだし
なぜこれで高所恐怖症にならないのか、と同じく橋から自分の知り合いが落ちた
と言う話を聞いただけで高所恐怖症になった父とは何が違うのかという議題を
たった一人で考察するわけにもいかずその議題は永遠に語られる事も無く
深層意識の渦に巻き込まれ一晩経った俺特製のカレーの玉ねぎのように
表層意識では確認できないほどに微細な存在までに粉砕された
まもなく「皆、準備はいい?」と声が聞こえた
そこで俺はふと思う、点呼とかそういうのが合った方が分かりやすくないか?
と思い若い方から順番に番号を言う事にした10人いるので分かりやすしな
1と2はまだ人類が理解範疇な言葉を正確に自分の思った通りに発する事ができないので
変わりに母がする
「1、2!」
次は花美だ
なにやら恥ずかしいのか何か知らんがじれったく
「さん..」と言う
後はもう大丈夫だ
青菜、村正、俺、華、月奈、春子、珠子の順番に10まで行く
「では出発しまーす」
という号令と共に月奈はキーを回しこの鉄の塊に命を吹き込む
心臓が毎分数千回転し始めフロントミラー、バックミラー、肉眼で前後左右確認し
流石に上下までは確認しないがタイミングを計り
後ろから来る車が来なくなったことを確認してから発進
傾斜度1度の坂に位置エネルギー、運動エネルギーが共に0の状態でボールを転がすように安全にゆっくりと加速をする
そして俺は辺りを特に意味無く目を泳がせてから暫くするとまた無意識下へと昏倒するように堕ちていく
「ここだ、ここ、ここ」
あれからそんなに時間が経っていないだろうということは容易に想像ができた
深く眠りについたあとたいした睡眠も取らずに起こされた時の気だるさが無いからだ
春子はそう言うとまたも足早に降りていった
俺はと言うともう迷わない、即座にカメラを持ち後を着いていく
橋がある、2つだ
1つは歩行者専用橋、もう1つは車専用の橋になっている
振り向くとさっき居た学校が見えた
(近っ)
明らかにここまで2分とかかっていないだろうがその間に自分が睡眠と言うまでの
状態に陥った事が自分の残存体力を物語っていた
ちなみに先ほどの学校もだが俺と母しか車から出ていない
少し悲しいかな、いやなんでもない
この橋での逸話(?)は母によく聞かされていた
何度聞いたかな、恐らく3度は聞いているだろう
しかし現場に来たのは初めてだ
当たり前の話だが俺が子供時代を過ごした場所から700kmほど離れているし
母と祖母は数年前までは山口に数年おきに墓参りだのに行っていた記憶があるが
俺は一度も付いていっていない
記憶が正しければ誘われてすらなかった気がする
まあ昔の俺ならそんなものはドッグフードより興味が無かったはずだが
そしてやはり違うものだ
現場で実際昔ここであった話を聞くのとイメージの中で母の文章を元に
現場を構築するのとでは
ああ、これが百聞は一見にしかずの真髄なんだなあと思った
そして、一頻り辺りの風景をカメラに収めてから
ある程度は覚えていたものの明瞭に思い出せなかったのでもう一度聞く
「この橋から落ちたんだっけ?」
「そうそうここから」
「どんな感じで落ちたの?」
「あんまり覚えてないけどたいした怪我じゃなかったから頭からじゃないと思うよ」
「どの辺から落ちたの?」
「多分この真ん中当たりかな」
と、なぜか歩行者専用の橋があるのに関わらず車専用の橋の上で語り合う二人
なかなか車どおりが多いらしく1分に1台は必ず来るといったペースで
時折運転手を見ると明らかに「なぜ歩行者用の橋をわたらんのだこの町人A、Bども」
と言わんばかりの鋭い目線に俺は後ろめたさを感じながらも知らん顔を決め込む
その真ん中当たりの下を覗くと何やらよくワカラン水草が
川底がギリギリ見えない程度に乱雑に生育しており
1辺50cm程度の正六面体のコンクリートのブロックが
凡そ数十センチ間隔でキレイに設置されており
少し川面から頭をこちら側によこしていた
「ここから落ちたらどう見ても致命傷だと思うけど」
「そりゃあ昔はあんなブロック無かったしね」
まあ頭の中では何となく気づいていたのだがあえて聞いた
川の深さは昔とあまり変わっていないらしい(憶測)
川の深さもなかなかだし頭から落ちたとしても小学1年生ならば恐らく怪我はしないだろうが
それでも高さは3mはあるので高所恐怖症になってもおかしくないぐらいの高さだし
なぜこれで高所恐怖症にならないのか、と同じく橋から自分の知り合いが落ちた
と言う話を聞いただけで高所恐怖症になった父とは何が違うのかという議題を
たった一人で考察するわけにもいかずその議題は永遠に語られる事も無く
深層意識の渦に巻き込まれ一晩経った俺特製のカレーの玉ねぎのように
表層意識では確認できないほどに微細な存在までに粉砕された
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