新河鹿沢通信   

暮らしの中から 村の歴史 足跡 集落 跳躍  麓風小舎     

十字路横断的安定歩道対策

2008年11月18日 | 農業
「品目横断的安定経営対策」この言葉を聞いたときの衝撃は忘れられない。
なんと現場に配慮のない名称の政策かと。私たちが日常耳にする言葉のイメージとしての横断とは「道路の横断歩道」ぐらいしか頭に浮かばない。横断の下に的がついて「横断的」となれば進んでよいのか、横断しない方がよいのかなどと考え込んでしまうことになる。

さらに横断的の前には品目がついた。この品目とは米、麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょのことをいうのだそうだ。そして諸外国との生産条件格差を是正するための補てんを〈ゲタ対策〉、収入の変動の影響を緩和するための補てん〈ナラシ対策〉とがある。品目横断的の下に安定経営対策との言葉をつけて政策とした。

さらに、ゲタ対策には→麦・大豆等直接支払い 、緑ゲタ→固定払 、黄ゲタ→成績払 がある。
対象は経営規模が4ha以上とであること。そうでない場合は集落で20ha以上の経営を行う、「集落営農」組織を立ち上げて経理の一元化→共同販売経理をしなさいと言う。それができれば、ゲタ対策とナラシ対策で国は補助する。これが進行中の、過剰なコメから他の作物へ誘導する政策の集大成なのだ。

H19年から始まったこの対策へ手を上げた個人や集落は一体どれほどあるのだろうか。
聞くところによれば、多くの農家や集落はソッポを向いたて、目標達成には遠く及ばない組織率という。参加には申請書類も半端ではない膨大なもの。集落営農組織には5年後法人組織へ移行するという目標も掲げられた。かつての「農業基本法」以来、各地に生まれた多くの共同経営は崩壊。規模拡大農家の多くは莫大な借金で倒産し、野ざらしの廃屋や農場跡が点在する。そのことをこの政策は教訓としていない。「品目横断的安定経営対策」の長ったらしい名称の政策に始め「所得保障」と言う案もあったらしいが、いつの間にか消えてしまったという。

いま、このような現状と経過の中で、仮に「品目横断的安定経営対策」に乗りかかり、ゲタ対策だのナラシ対策だの助成金にありついたとて、日増しに増加していく耕作放棄地の解消など及びもつかない。この数年間進行中のカイカク、シジョウゲンリ政策の蔓延で、何の作物を栽培したとても生産費を償うことができなくなった現状を、「霞ガ関」は考えたことがあるのだろうか。

だから、「品目横断的安定経営対策」の語句を目にすると、「高速横断的安定歩道対策」とか「十字路横断的安定歩道対策」の言葉遊びを連想してしまう。生産の現場はそこに住む人間が中心だ。住む人の心から離れてしまったような名称の政策。よくも語句のつぎあわせをした政策を考えついたものだと腹立たしくもなる。

フッと、言葉遊びの「高速横断的安定歩道対策」とか「十字路横断的安定歩道対策」などといったら多くの国民はなんと反応するのだろうかなどと考え込んでしまう
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする