時代劇を見ると「お仕立物承ります」という、小さな看板を軒下に下げている画面を見ることがあります。
昭和の初期頃を描いた映画(小津監督?)の画面にもあった記憶が。
このところ、オーダーを続けて頂いていて、大忙しでした。
気が付いたらブログを2日更新し忘れていて、暑さでダウン・・・、ではありません。
「お仕立物」いい言葉ですね。幼い頃、近所に洋裁の上手なお姉さんがいました。
母は、時々プリント地などを探して来て、私のワンピースなどを頼んでいました。
時には、きもの地で、ハーフコートを作ってもらったことも。
そのお姉さんの作るワンピースは、首回りも、袖口も優しい肌さわりで、大好きでした。とにかく子供の洋服なんて、近所に売っていない時代でした。
ある夏の日、母はよそ行きの格好で「ちょっとそこまで」と出かけていきました。
そのお姉さんがお嫁に行くという事で、お祝いを持っていったとの事でした。
それから数日後、お姉さんは誰かの処に行ってしまいました。手も足も小さな、よく笑うお姉さんは、子供の私には何の挨拶もなく、突然私の前から消えてしまいました。
残り少ない夏休みを数えながら、大人になるという事は、こんなさりげない別れを繰返していくものなのかと、ぼんやりと思いました。
夾竹桃の枝の揺れる路地から、ミシンの音が消えた夏の思い出です。