うさぎとかえるの里

鳥獣戯画をこよなく愛する自分の日本文化や日常に関する想いをつづります。

料理人。

2010-07-20 01:18:02 | 読書
すっかり体調も回復したところで、久々に読書をする気になりました。
これまた久々の北方謙三さんだったのですが、ついつい一気読み(^^;)

北方謙三さんの「独り群せず」。

「杖下に死す」の続編なのですがこれはこれで楽しめます。

舞台は、幕末の大阪。
武士を捨てて料理人になった男が主人公なので、料理の話が結構詳しくて、
某海原雄山さんがついつい主人公に重なってしまい…(^^;)

自分で釣りをして、ちょっと粋な料理を作って…って、主人公はすでに
隠居で一日3組の料理屋を営んでいるのですが、
まるで「大人の隠れ家」とか「一個人」とか「サライ」の特集に
ありそうなくらいの憧れの趣味人風!

北方さんの小説は、主人公に限らず登場人物ひとりひとりにちゃんと物語が
ある感じなのが、毎回素晴らしいと思います。

しかし、ここに登場する土方歳三…とっても嫌な感じだなぁ~。
本当に蛇みたいでコワイ…。
小説のタイトル「独り」に呼応して、新選組は「群れる」の象徴とされている感じです。
大阪とか、京都の市民にしてみたら、新選組とか江戸から来た幕臣の人たちって、
所詮異分子だったんだろうなと思う一冊。
…幕末小説はよく読んだけど、幕府側、薩長側とはまた違った視点で面白かったです。

最期、結局剣を取って、新選組の集団と斬り合いをする主人公は本当に恰好よいです。
実は前作は読んでいないのに、新刊で平積みになっていたのを思わず買ってしまった
一冊なのですが、大正解でした。
コメント
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