古川薫著「小説久坂玄瑞 花冠の志士」を読みました。
古川さんのは吉田松陰など幕末モノをいくつか読んでます。
幕末志士小説はかなり読みましたが、久坂玄瑞中心は初めて。
彼は25才にして、蛤御門の変で自刃してしまうので、いわば維新の先駆けとなったひとなのでなかなか取り上げられてこなかったのかもしれませんね。
本当に短すぎる。
吉田松陰の門下として、わりと早くから塾に入り、松陰に見込まれ、末妹の文を妻とし、杉家(松陰)にかなり深く関わっていきますが、時勢に関わりたい意志が強く、江戸、京都、大阪とその行動は目まぐるしい。
そこには松陰の意思が非常に強く働いており、やはり当時の長州の若者を動かしたのは過激ともいえる松陰の思想だったのだと思います。
ちなみに来年の大河ドラマは松陰の妹文が主役とのことで、もちろん久坂玄瑞も登場しますが、松陰や玄瑞と死別してからの人生の方がよほど長いわけで、その後どんな人生を送られたのか興味深いところです。
それにしても命をかけて流れを変えようとした人たちの潔さを感じます。そこには、もう朝廷とか幕府とか藩ではなく、その歴史の中で今自分の為す役割をしっかり果たして行った感があります。
だから次々と長州の若者たちが死んでいく…
(これを読んでから、大事にテレビの中に保存してあった以前の大河ドラマ「龍馬伝」の「さらば高杉晋作」を見直しました…)
ちなみにタイトルの「花冠」とは、のちに描かれた玄瑞の肖像画がはちまきをしていることから、それは冠の様だとし、かつて漢詩や和歌を多く残した玄瑞がことさら桜を詠ったことから、このようにさしたそうです。