ほとんど気まぐれに友泉亭公園に行った。
筑前国藩主、黒田の別邸として宝暦4年(1754)に完成した。如水は茶室の横に織部式灯篭を置いている。ほとんど目立たないので探してみるのも楽しいと思う。この織部灯篭は隠れキリシタンのささやかな抵抗のよりどころでもあった。灯篭の土台が良く見ると十字架やアルファベットになったいるものもある。
僕は意味もなくそんな危険は冒さない。ばれたら死罪だろう。遠藤周作さんの「沈黙」の世界だ。
当時の1/10の規模だそうだ。福岡市は個人の所有となっていたものを買い戻して公園として整備した。盗られた仏像をカネを払って買い戻すようなもんだ。周囲は高いマンションが囲み泉の水量も少なくなっている。行政は昔から歴史遺構の保存には全く無能だ。
だが福岡市およびその他の大都市に住む65歳以上の人は無料だし、広間や如水庵は落ち着く。
さすが武士が住んだ建物だ。虚飾を排し書を読む小部屋がいくつもあった。だが見えないところにこっそり彫刻を残している。
内縁の娘にそれを説明していたら、「でもプラスチックじゃん。」と言いやがった。250年ももつプラがあったら革命だ。
今やロストテクノロジーとなった漆塗りであり、床の間は顔が映るほどの塗と磨きだ。1/10でも残ったのを喜んでおこう。
池の鯉と遊んでいたら韓国語が聞こえた。韓国語は音量が大きい。日本に来たら学習すべきだ。ただそこらの馬鹿女たちとは違う、気が利いた顔をしていた。これは話が通じるぞと思い政治的な話を振ると意外とノリがいい。
梨花女子大、さすがだ。僕が出た学校の隣なので懐かしく、いつの間にか僕も音量が大きくなっていた。だが、打てば響く人間と話すのは本当に気持ちがいい。西南大は遊びの馬鹿話にしか乗らないし、福大は話の意味を理解しないし、それ以下は日本語が通じない。
こんなマイナーな公園に来るんだからそれなりの教養があり学力も高いはずだ。もちろん、だからと言って僕の韓国に対する絶望的認識は微動だにしないが、日本人もバカの部類になると優れたものも理解できないのが多い。
ま、よくも悪しくも自業自得だ。
「この手すりは何の意味があるのだろう。」「どうして茶室は別棟なのか。」「大名はどれくらいの頻度で来たのか。」「いや、住んでいたはずだ。」…恐ろしくポイントをついた会話をしつつ梨花女子大は去っていった。
うちの娘は小さな板を指でこすっていた。