砂時計の砂が下のガラスの上にたまるのを想像してほしい。綺麗な富士山のような曲線を描く。この時砂の一粒一粒は確率的にとび跳ねた陽子の奇跡だ。
陽子はなかなか壊れないので、ほとんど光速で二個の陽子を正面衝突させて陽子を壊そうと考えた。陽子といってもその中身は電荷を持たない中性子と、想定されている素粒子の存在があるのみだ。
箱があれば開けたくなるのが人情だ。だが陽子の箱はなかなか開かない。速度や角度などなかなか同一の状況を再現できないので数多くの実験をやるしかない。
ここで特異な変化をするのがいると新しい発見かも、と一応期待できる。一番最初に書いたきれいな富士山を乱す外れ者の存在だ。
多くの物理学者が考えるのは、そもそもヒッグス粒子は素粒子の中に存在するモノではなく、BIG BANGのあとにたとえば陽子の中にもぐりこみ姿をなくし質量に代わったモノだという。電子や光子はヒッグスの影響をうけなかったからほとんど質量はない。
昨日の残業がきつかったので今朝起きるのがつらかったのはヒッグス粒子のせいだ。
さて真面目に富士山のゆがみの話。既定の粒子ばっかりなら最後の粒子を見出すのは簡単だ。小学校の生徒が校庭に何人いても隣の小学校の生徒を見つけるのは簡単だ。
こうしてヒッグスの計算値を求め富士山のゆらぎ部分にお目当ての粒子を見い出そうとしたのだ。
残念ながらそのゆらぎはあるかないかの証明ができる程度で、すぐ消えるものをとどめておくすべをまだ人類は知らない。つまり、分からないということにおいてはこの発見でなにも進歩しなかったのだ。
しかし、だからこそ人類は心血を注いで研究すべきだ。簡単には結果が出ないからこそどんな大きな夢が潜んでいるかもしれないと僕たちは約束されているのだ。よしんば絶対にだめだという結果が出たとしよう。いいじゃないか。絶対だめなら僕たちは次に行ける。
先端加速器科学技術推進シンポジウム 2013IN東北
主催 東北ILC推進協議会
後援 KEK
日時 2013年 4月26日13:15~16:00
場所 江陽グランドホテル(仙台市青葉区本町二丁目3-1)
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