けいた と おちぇの親方日記

わんこと暮らす、のんびり日記

小説 「錦繍」(宮本輝著)

2014-09-13 09:00:00 | 書籍(小説)
宮本輝さんの「錦繍」を読んだ。
というか、正確にいえば、もう一度読んだ。



宮本さんの作品は好きであるが、
以前、本作を読んだときは、その良さが分からなかった。

『「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、
 まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」
 運命的な事件ゆえ愛し合いながらも離婚した二人が、
 紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会した。
 そして、女は男に宛てて一通の手紙を書き綴る―。
 往復書簡が、それぞれの孤独を生きてきた男女の過去を埋め織りなす、
 愛と再生のロマン。』amazon.co.jpより

有馬靖明と、別れた星野亜紀との手紙のやり取り。
正直、今回も良さが分からなかった。

宮本さんの初期の作品は、少し好みが合わないのかもしれない。
『蛍川』『泥の河』『道頓堀川』の
「川三部作」も前回読んだときはあまり良さが分からなかった。

ただ、宮本さんの作品の特徴である心に残る台詞は、
この作品にもあった。

有馬が一緒に暮らしている令子の祖母の口癖。
「命を奪うことが最も悪いことだ。人の命だけではなく、
 自分で自分の命を絶つことも同じことなのだ。
 この世にはいっぱい悪いこと、してはいけないことがある。
 けれども、このふたつが、一番恐ろしい悪いことなのだよ」

本当にそう思う。

また、亜紀の父・星島照孝の言葉。

「人間は変わって行く。時々刻々と変わって行く不思議な生き物だ。」

良い意味でも悪い意味でも、そうだと思う。
コメント
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