けいた と おちぇの親方日記

わんこと暮らす、のんびり日記

小説「朝の歓び(上・下)」(宮本輝著)

2015-05-04 12:00:00 | 書籍(小説)
宮本輝さんの「朝の歓び(上・下)」を読んだ。
1992年9月から約1年、日経朝刊に掲載された作品だそうだ。



妻を病で亡くした江波良介は、突然会社を辞めてしまう。
そして、かつての不倫相手・小森日出子に会いに。



そして、ふたりはイタリアのボジターノへ。



良介は父親とケンカ別れした兄に会うために、
日出子は障害を抱えた少年パオロの成長を確かめるために…。
揺れ惑う愛を描きながら、生きることの歓びを見つめ直す。

主人公・良介は、自分とあまり変わらない年齢である。
良介は、妻との死別をきっかけに人生を一度リセットさせ、
妻がやりたかった仕事を始める。

積年の会社疲れも溜まりに溜まり、会社人生の先も見え始め、
リセットしたい気持ちはよく分かる。

しかし、うちにはおちぇりさんが。



こんな可愛い寝顔を見たら、また頑張れる。



おちぇ、おとんは頑張るよ、もう少し。

宮本さんの文章はとても読みやすく、綺麗で好きである。
また、少々古臭いかもしれないが、共感できるところが多い。

「心の師とはなるとも、心を師とせざれ。」

「お前のいいところは、素直で、自分が悪かったと思ったら、
 すぐに謝れるところだ」

「学校っていうのは、やっぱり勉強をするところなんだよ。
 勉強が大好きだってやつも、たまにいるけど、
 まぁ、人間て、できるだけ遊んでか怠けたいもんさ。
 遊んで、楽をしたいって本音を、学校や教師のせいにするなよ。
 自分のために勉強するんだからね。
 親や教師のために勉強するんじゃないんだ。
 勉強するってのは、つまり、自分に克つことさ。
 自分に克たないと、宿題ひとつ片付けられないよ。
 自分が負けた言い訳を、学校や他人や社会のせいにするための
 論法だけ上手なやつが、一人前の社会人になれないまま、
 歳だけとっている。(中略)えらそうな屁理屈は、
 ちゃんとやることをやってから言ってくれってんだ。」

「明るく振る舞うってことは、とんでもなく大きな力を、
 自分の環境に撒き散らすんだと思ったね。
 人は、明るくないと、幸福になれないと思ったね。
 どんな花の種も、暗い場所に落ちたら、
 芽も出ないうちに腐っちまう。」

「自分の周りのものは、すべて、自分の影なのだ。
 自分が曲がっていれば、影も曲がる。すべて、自分次第なのだ。」

「他の人のために灯をともせば、我が前もまた明らかなるが如し。」

これからも宮本さんの作品は読みたい。長生きしてくださいね。
コメント
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