宮下奈都さんの小説「ふたつのしるし」を読んだ。
本作品は、不器用な生き方しかできない、
柏木温之(はるゆき)と大野遥名が
出会うまでの物語。
ふたりの言葉に共感するものがあったが、
ふたりの出会い方については、・・・。
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(作中より)
遅いとか、のろいとか、とろいとか、
指を指されたり、笑われたりする。
しかし、遅くてもいいと思っている。
早くても、遅くても、
結局は同じ場所にたどり着くのだろうから。
学級会で決まったことが正しいわけではない。
大きな声でいえるほうが強いけれど、
弱いからといって間違っているわけではない。
絶対といったら、絶対なんだよ。
何が起きても必ず、ということだ。
それだけの覚悟(確信)があるのかい。
何の前触れもなく突然ひらめくことって、
何の前触れもなく突然ひらめくことって、
実はそんなにないんだと思う。
意識しているかどうかは別として、
それまでにいっぱい準備があって、
考えたり体験したりしたことの積み重ねの先に、
ぱっとわかることがある。それが勘ってものよ。
ほんとうに大事なものって自分で見つけるしかないの。自分にしかみつけられないのよ。
(後書きより)
(ほんとうに大事なものが見つかっていないとしても)
急ぐことはないし、あきらめる必要もない。
眼を開いて少しずつ進んでいけば、いつかは、
ほんとうに大事なもののもとへたどり着ける。
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