けいた と おちぇの親方日記

わんこと暮らす、のんびり日記

小説「森のなかの海(上・下)」(宮本輝著)

2021-04-05 06:00:00 | 書籍(小説)
宮本輝さんの小説
森のなかの海」(上・下)を読んだ。

阪神淡路大震災を機に人生が大きく変わった 仙田希美子が家族に支えられながら奥飛騨 の山荘で再出発するという話。
(かなり端折っています。)


宮本さんの作品らしく、
あらすじ自体は劇的でも驚きもないが、
登場人物の話すことや思うことには、
いいと思う(共感できる)ことが多かった。

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初対面の人に挨拶がきちんとできると
いうのは、すごく大切なこと。
人間教育は、まずそこから始まる。

会社は自分や家族たちの生活の基盤と
いうことがわかっていない社員が多い。
いい大学を出て、いい歳をした社員が、
出勤さえしていれば給料が貰えると思っ
ている。

自分だけの幸福は長続きしない。(中略)
自分が無責任に捨てたゴミは、いつか
必ず自分の頭上に落ちてくるものと思って、
そのことだけは心して生きてきたんだ。
煙草を道に捨てた人は、いつか必ずもっと
熱いものを頭に受けるってね。

あの子たちを教育しようなんて、
これっぽっちも思っていないわ。
ここで大人になっていって、世の中に
出たとき困らないようにしてあげたい
って思っているだけなの。

人を辞めさせるってのは、つらいことなんだよ。
仕事はできないが、いい人間がたくさんいるんだ。その人たちには家族がある。
でも、その数人のために、他の全員がまきぞえをくうわけにはいかんからな。
(中略)
人情と私情とは別ものだ。会社経営に私情を
挟むと、取り返しのつかないことになる。

人間は、多くの躾や教育を受けて、
少しずつ人間になっていくものなのだ。
愛情を受けたり、愛情を与えたり、
自分のために為される犠牲を目にしたり、
逆に自分が犠牲になったり、病気をして辛い
目に遭った、失敗して悔しい思いをしたり、
「公」の場で「私」だけの振る舞いをしないこと
を学んだり、努力することの歓びを知ったり、
叶わぬ恋に苦しんだり、自分が知らなかった
ことを知っていくことによって、人間は人間に
なっていくのだ。

虚空に道あり。闇の中に影あり、人此をみず。
虚空に鳥の飛ぶ跡あり、人此をみず。
大海に魚の道あり、人此をみず。
月の中に四天下の人物一もかけず、
人此をみず。而といへども天眼は此をみる。

師匠が白と言えば白なのだ。
黒と言えば黒なのだ。こうしろと言われて、
いや私はこうしたほうがいいのではないかと
思うと言い返すのは弟子ではないのだ。
お師匠さまの仰言ることもわかりますが、
自分はこう思いますって言い返すのなら、
師匠を持つ必要はない。師の言うがままに
習うのを弟子というのだ。
(中略)
本当に偉大な師は、人の道に外れることだけ
はない。もし外れるのなら、私は最初から
弟子になんかならない。

強いられなければ学べないことが多い。
ことに十代は強いられるということ自体が
学ぶということなのだ。

人は讒言を信じやすい。
「讒言」に騙されるのは、「讒言」を弄する
よりも罪が重いような気がする。

森は木を拒まない。海は川を拒まない。
***********************
今日のおまけ。

お疲れのたぁたんの横で読書。

こうしていると眠たくなってしまう。


たぁたんの身体は柔らかいね。


笑っているのかな?


こちょこちょ。


奧さんが戻ってくるのを待つたぁたん。、

おしまい。


コメント
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