身近な自然となかよくblog (旧「菊名エコクラブblog」)

自然環境と調和した持続可能な社会を!

by NACS-J認定 自然観察指導員 松田 照之

雑草だなんて呼ばないで

2016年03月31日 12時52分03秒 | 篠原園地


ここはビオトープ広場です。
ビオトープ池をつくった頃から、ここをそう呼んでいます。
ここには、ご覧のとおり雑草と呼ばれる草花たちが生えています。

確かに、ここを芝生一面にしたり、チップを敷き詰めたり、あるいは綺麗なレンガなどで舗装してしまった方が綺麗になるでしょう。このようにまばらにいろいろな草が生えているよりも、実際にきれいさっぱりになると思います。

でも、ちょっと待って。
ここにどんな草花たちが生えているのかを見てほしいのです。


フキ
春を告げる野草として、また山菜として親しまれてきました。
フキのとうと呼ばれる出たばかり花芽の部分 、成長後の地上部の茎が食べられます。
遠くからは見立たない花も近くで見ると綺麗ですね。


ゲンノショウコ
下痢に効果のある薬草として民間療法に用いられ、今でも漢方薬として用いられています。即効性があることから「現の証拠」ということで、この名があります。
春と秋に赤、白、ピンク色と綺麗な花を咲かせるほか、実が熟して弾けた時も面白い形をしています。


ヘビイチゴ
野生のイチゴの仲間で、黄色い花を咲かせた後で、赤い実がなってきます。
実はまずいために食べられませんが、毒はありません。
かわいらしい花と実をつける春の植物ですが、これも薬草の一つ。
全草を焼酎に浸した液を患部に塗ると、虫刺されによるかゆみ止めや湿疹に効果があるそうです。


ムラサキケマン
赤紫色の小さな筒上の花をたくさんつける春の植物。
花は綺麗ですが毒草なので、絶対に食べないでください。
花言葉は「あなたの助けになる・助力・喜び」となっています。


ムラサキハナナ・ムラサキハナダイコン・ショッカツサイ・オオアラセイトウ
いろいろな呼び名がありますが、ムラサキハナナがこの植物の特徴をよく表しているのではないかと思います。
江戸時代に中国から輸入されたものが野生化したもので、中国では、菜の花と同じように食用にしたり、種子から油を取るそうです。

花や実がなったらまた写真でお見せしますが、ビオトープ広場にはこうした野の草花たちが生えているのです。

こんな草、雑草なんだからどこでも生える?
・・・どこでもって、どこですか?
こんな雑草、ここに生やさなくても、どこか他のところに生える?
・・・どこかって、どこですか?
雑草なんか生えてたら困る?
・・・この草たちが、そんなに人間を困らせているのですか?

私たちは都市的な環境整備をしていく上で、身の回りの自然を一掃してきました。
新たに造成された土地には、外来種の植物ばかり生えます。
昔ながらの野の草花たちが生える場所は、そう残されてはいないのが現状です。

雑草という呼び名は農業から来ていると考えられます。
農作物に与えた肥料をこうした野の花たちが吸収してしまい、農作物が大きく育ちにくくなるため、こうした野の草花たちを雑草といって、農家の人たちは引き抜いて掃き溜めに捨てていたからです。

現在では、人が目的を持って植えた植物以外、身近な野の草花たちはみな雑草扱いされる傾向が強いです。
でも、人間が植えた植物たちは価値があって大切にしなくてはいけないけれど、自然の草花たちは価値がなく大切にしなくて良いなんて、おかしくありませんか?

お話してきたように、こうした野の草花たちにも全て名前があり、食べられたり薬になるものもあるのですから。
農業では仕方ないかもしれませんが、雑草なんて呼んでばかりいるのは、やめましょう!

それなら、花壇に植え替えて見映えがするようにしたら?
植木鉢に植え替えて育てたら可愛いんじゃないの?
といったご意見もあるかもしれません。
それも良いと思います。

しかしそのためには、このように自然に生えている場所から採集しなくてはなりませんね。
養殖された魚たちや畑で育った野菜たち、お花屋さんで売っている花たち、また水族館にいる海の生きものたちも、元々はこのような自然の生きものたちを採集してきて育てたり、長い年月をかけて品種改良してきたもの。
全て自然の野生のものが元になっています。

こうした野の草花たちは、日光や水分といった環境や、昆虫小鳥たちとも関わり合いながら、周囲の他の植物たちとも微妙なバランスをとって生育しています。
人の手で育てようとしても、うまく育ってくれない場合が少なくありません。

そんな時はやはり、元となる自然の生育場所が必要。
見映えは確かに良くはないかもしれませんが、野の草花たちが自然に生えている場所を大切にしていきたいものです。

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