三木奎吾の住宅探訪記

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。

【2045年人口25%減 どうする?試される北海道】

2020-10-18 05:57:44 | 日記


一昨日夕刻に北総研からWEBセミナーでの発表資料が開示されました。
記録も取れない(録画権限も制限)、スクリーンショット不可ということでは、
記事を書くにも、記憶とメモだけということになって、
非常に大きな制約になるとお伝えしたところ、開示いただいた次第。
一部は知的所有権への配慮が必要なので非開示ですが、対応に深く感謝。

先日のブログでも書きましたが、人口減少問題は
この国の未来にとってその生存を左右する大問題だと思います。
伝統的に移民に寛容な社会であるアメリカを除いて、
いわゆる近代の工業化社会を先導してきた「先進国」で
おしなべて人口減少が大きな社会問題として突き付けられている。
世界最大の人口を擁する中国も一人っ子政策もあって逃れられない。
第2次世界大戦での戦死者が多い結果として人口構造で
この問題の最先端地域国家として日本は急進的先導的な位置にある。
世界の中で日本は「課題の最先進地域」というように捉えられる。
そもそもどうして社会が豊かになると人口減少に拍車が掛かるのか、
そのメカニズムの解明も社会経済学的探究のメスが必要だけれど、
この研究領域で画期的な発表は寡聞にしてまだ聞かれない。
人口減少問題が進行する中で、誰でも考えられる処方箋は「移民政策」。
伝統的なアメリカ社会のやり方ということになるけれど、
そのアメリカでもその中核と言えるWASP層では人口減少に歯止めが掛からない。
<WASP〔White Anglo-Saxon Protestant〕>
移民政策は、この人口減少に対症療法的「対処」ではあるでしょう。
しかしそれでは伝統的民族社会の希薄化と民族的反発も当然発生する。
イギリスでのEUからの離脱・ブレグジット、アメリカでのトランプ政権の誕生も
伝統的なその国家社会の本音・根幹部からの「異議申し立て」だと思う。
日本社会は伝統的に移民には慎重な社会であり、
皇室という独特の「民族統合の象徴」を持っていることなど
英米社会の動向に親和性が高いと見なせるでしょう。同じ海洋国家でもある。

このように世界情勢の基本因子にもなってきた人口減少問題。
タイトルに書いたように日本社会でもっとも「新開地」である北海道でも
2045年には最多人口時点から25%減少する予測が立てられて、
現在に至るもその趨勢は進みこそすれ、衰える傾向にはない。
ただ、その進行具合はまだらな傾向を示して、一部地域では増加もある。
上の地図グラフは人口の増減状況をマッピングしたもの。
当面人口減に劇的な「改善施策」が出てこない以上、
個別企業にしてみれば、あきらかな「市場収縮」にどう対応するかが問われる。
右肩上がり社会での経済常識では絶対に乗り越えられない。
25%の市場収縮が目の前に迫ってきている危機状況なのだ。
しかし北総研研究発表では下のグラフのような「可能性」も出ていた。
人口減少は同時に「高齢化社会」の進行でもある。
そしてちょっと前まで65才定年というカタチで労働市場から疎外されてきた
65〜74才の「前期高齢者」層での「要介護・介護認定者率」は
10%未満、9.1%に過ぎないというデータ開示。
これまで国レベルでも労働人口減少に対して「女性参加」が謳われ実行され
アベノミクスなどで人口減が始まってからも500⇒540兆とGDP増加が達成。
人口増加社会で想定していた寿命常識からの60才定年制だけれど、
このグラフからは明確に人間社会に構造的変化が起こっていると見なせる。

地道に人口増政策を考え実行すると同時に、当面は状況対応的に
労働人口の拡大をはかるのがひとつの作戦ではないか。
施策によって「未来は変えられる」という提言も同発表会ではあったけれど、
「課題の先端地域」は同時に知恵が湧き出す地域でもありたい。