その存在を知ったのは、1997年でした。
当時はまだ中学生で、ネットも今ほど普及していなかったし、「それ」を探す術をぼくは持ち合わせていませんでした。思えば、ノルシュテインの存在を知ったのもこれと全く同じ時期で、更に言えば「不条理」という言葉を知ったのも同じ時期でした。いや、同じ本からだった、と告白してしまいましょう。
時は流れ、大学生になったぼくは、「それ」を真剣に探し始めました。けれども、ない。中野や神保町の専門店に何度も足を運びましたが、ない。もちろんネットで検索をかけても、ない。存在は、確かなのです。ぼくは「それ」の写真を見たことがあったし、現物を見たことさえありました。市場にはほとんど出回っていないのではないか、そう思って、ここ数年は半ば諦めかけていました。
ところが、今日、中野でついに「それ」と対面しました。
『COMICBOX』1995・9月号。『耳をすませば』特集号です。210円でした。なぜこんなに安値が付いているのか、ぼくには分かりません。もう一冊の、ナウシカ特集号は310円でした。こちらの方はよく見かけるので安値も分かるのですが、それでも100円高い。どうして?これは、いまや非常に貴重な本です。たぶん、1995年に発売されたときに購入した人以外は、あまり所有していないのではないか、そう思ってしまうほど、これまで見かけることがありませんでした。それとも、単にぼくの運が悪かったのか?・・・ああ、もしそうだとしても、このぼくの「運の悪さ」は、あながち「悪さ」とも言えないのです。
ぼくはアニメーション関連の雑誌や本を、ある程度の量所有していますが、それらはほぼ全て、この特集号を探す過程で見つけ、購入したものです。アニメーション関連のコーナーを物色するときはいつも、最大の目的はこの特集号を探すことでした。この探究心が他の多くの本との出会いのきっかけを作ってくれたのでした。ですから、ちょっとアニメーションに詳しくなったのは、まさしくこの雑誌の不在の力ゆえだったのです。
ぼくはこの本に巨大な憧れを抱いていました。表紙の写真と井上ひさしの映画評だけ別の雑誌で見て、それにぼくは猛烈に感化されました。どのようにぼくは井上ひさしに感化されたのか?それはまた別の物語ですが、しかし、この本が入手できなかった、というその一事によって、この不在の書物から露出した一部分が多大なる影響力を持ちえたのです。
次回は、「井上ひさしとスタジオジブリ」と題して、『耳をすませば』のテーマに迫ります。
当時はまだ中学生で、ネットも今ほど普及していなかったし、「それ」を探す術をぼくは持ち合わせていませんでした。思えば、ノルシュテインの存在を知ったのもこれと全く同じ時期で、更に言えば「不条理」という言葉を知ったのも同じ時期でした。いや、同じ本からだった、と告白してしまいましょう。
時は流れ、大学生になったぼくは、「それ」を真剣に探し始めました。けれども、ない。中野や神保町の専門店に何度も足を運びましたが、ない。もちろんネットで検索をかけても、ない。存在は、確かなのです。ぼくは「それ」の写真を見たことがあったし、現物を見たことさえありました。市場にはほとんど出回っていないのではないか、そう思って、ここ数年は半ば諦めかけていました。
ところが、今日、中野でついに「それ」と対面しました。
『COMICBOX』1995・9月号。『耳をすませば』特集号です。210円でした。なぜこんなに安値が付いているのか、ぼくには分かりません。もう一冊の、ナウシカ特集号は310円でした。こちらの方はよく見かけるので安値も分かるのですが、それでも100円高い。どうして?これは、いまや非常に貴重な本です。たぶん、1995年に発売されたときに購入した人以外は、あまり所有していないのではないか、そう思ってしまうほど、これまで見かけることがありませんでした。それとも、単にぼくの運が悪かったのか?・・・ああ、もしそうだとしても、このぼくの「運の悪さ」は、あながち「悪さ」とも言えないのです。
ぼくはアニメーション関連の雑誌や本を、ある程度の量所有していますが、それらはほぼ全て、この特集号を探す過程で見つけ、購入したものです。アニメーション関連のコーナーを物色するときはいつも、最大の目的はこの特集号を探すことでした。この探究心が他の多くの本との出会いのきっかけを作ってくれたのでした。ですから、ちょっとアニメーションに詳しくなったのは、まさしくこの雑誌の不在の力ゆえだったのです。
ぼくはこの本に巨大な憧れを抱いていました。表紙の写真と井上ひさしの映画評だけ別の雑誌で見て、それにぼくは猛烈に感化されました。どのようにぼくは井上ひさしに感化されたのか?それはまた別の物語ですが、しかし、この本が入手できなかった、というその一事によって、この不在の書物から露出した一部分が多大なる影響力を持ちえたのです。
次回は、「井上ひさしとスタジオジブリ」と題して、『耳をすませば』のテーマに迫ります。