Light in June

文学やアニメ、毎日の生活についての日記。

『パン種とタマゴ姫』とロシア

2010-11-15 23:06:41 | アニメーション
ご存じの通り、宮崎駿の新作短編が11月20日からジブリ美術館で公開されます。『パン種とタマゴ姫』。魔女のバーバ・ヤーガから逃げ出したタマゴ姫の物語、だっけ?

ともかく、バーバ・ヤーガという魔女が登場するらしいのですが、バーバ・ヤーガあるいはバーバ・ヤガーは、ロシア民話に登場する有名な魔女の名前です。ちょっと驚きましたよ。ロシア民話から人物を取ってきたことが?いやそうではなくて、改めてバーバ・ヤガーを持ち出してきたことが、です。改めて?そはいかなることか。

バーバ・ヤガーは、ロシア民話の中では森の中の小屋に住んでいるという設定になっていて、その小屋というのが、一本の鶏の脚に支えられているということになっています。小屋の下からにょきっと鶏の脚が突き出している格好です。さあ、これで「あっ」と思った方、いますか。思ってください。ハウルの城に似ているのです。あの城も、まるで「大きな小屋」みたいな外観でしたが、それを支えているのは二本の鳥の脚でした。ぼくはあれを見たときにすぐにバーバ・ヤガーを連想しました。同じように考えた人は他にもいたようで、ぼくはどこかで誰かがハウルの城とバーバ・ヤガーとを重ね合わせた文章を書いているのを読んでいます。

だからこそ、改めて持ち出してきたな、と思ったわけです。宮崎駿がハウルを作っていた当時既にロシア民話を読んでいたのか、それとも後から知ったのかは分かりませんが、意図してかしていないかはともかくとして、宮崎駿はロシア民話に直結するイメージの出てくる作品を二つ、作ったことになります。だからなんだ、と言われると困ってしまいますが、宮崎駿の監督作もロシア文学も両方好きなぼくとしては、そんな些細な偶然(?)がちょっぴりうれしかったりするのでした。