6月5日(金)
渋谷スクランブル交差点に着いたのは18時。
いつもより遅い。
陽射しは強く、交差点をすれ違う人群れが
熱気を充満させ騒音と排気ガスが更に交差点を覆う。
急ぎ足で道玄坂を上がるが、若い男女を追い越しすり抜けるのは
容易ではない。
道玄坂
ふと、思い出した。
49年前のことだろう。
今日のように歩道は若い男女で溢れていた。
突然、彼女が若い男と話している。
私が振り向くと、男は人込みに消えた。
「何の話」?
「道を聞かれたの」
いわゆる、ナンパである。
今でも、そんな野暮ったいナンパの仕方があるのだろうか?
山手通りに近づくと人通りは少なくなった。
道沿いの窓ガラスにリアルな猫のポスターがある。
窓ガラスに顔を向けると猫の目が動いた。
ポスターではなく、生きた猫だった。
18時半 介護病院に着いた。
弟は来ていた。
お袋は私を見上げ
「ありがとう、ありがとう」かすれ声で繰り返した。
真向いのベッドには、しゃべることがない老女いた。
20時 介護病院を出て道玄坂を下った。
21時 居酒屋で強い炭酸の焼酎ハイボールを一気に飲んだ。
胃袋が泡立ったようだ。