スチールの話のはずなのに、いわゆるカーボン(CFRP)の話になってしまったけれど、これを知っているからこそ、スチールの良さがわかるのだ・・・
CFRPの開発コストは、その金型代金が大きな比重を占める。CFRPと自転車の力学を理解し、かつ3DCADが扱え、空力と力学を理解しているエンジニアに設計してもらわなければならない。そういえば、かつて最後の元祖Kestrelの社長だったケビン(ロッキード社出身の技術者で、ミサイルのフィンの設計もやっていたらしい)に、空力特性の良いバイクっていくけど、具体的な例をあげるとどうなの?と質問したことがある。
彼は、『小指を立てているか、立てていないか程度の差だよ』と言ってのけた・・・・なんてこったい!?なんだ、たったそれぽっちか!期待外れの顔をしているオイラに向かって、続けてこう言った『でも、理論上は同じ条件で180km自転車で走った後に、その空気抵抗のせいで1km~1.5kmの距離差がついている可能性がある・・・・』
「えっ!?」これは、ランのスタート時点で4分前後から人によっては、6分くらいのアドバンテージを得ていることになる。デカい違いだ・・・・
話を元に戻そう、CFRPフレームは、材料代よりも金型とデザイン費用の投資が大きな比重を占めている。モノコックフレームの製造方法には2種類あって、Kestrelのように内部に風船を入れて熱硬化させる生産方法(中国生産ではこれが主流)とCat cheetahのようにオートクレープの釜で真空引きする方法がある。前者は、オートクレープの設備投資をする必要がないので、莫大な設備投資が要らない。が、金型は少々複雑になる。ちょっと前までは、オイルヒーティングで金型を温め熱硬化させていたので、金型は複雑になるし、金型が冷めるまで時間がかかるし・・・・生産効率がすごく悪くて、単価を上げざるを得ない状況だった。しかし、今日では高温スチームで金型を温めて、かつその通路に冷水を入れて冷やすので、効率は飛躍的に向上したらしい。また金型コストはかつての10分の1くらいに大幅に下がった。昨今カーボンの値段が、下がってきたのはそんな背景もある。
オートクレープ製法は真空釜を用意しなければいけないので、その設備投資がかなりの高額だ。金型費用はバルーンを使うものよりも多少は割安だが、いずれの場合もCFRPのモノコックフレームを作成するのは金型コストやデザインコストをどう償却するかが、良好な収益を得るポイントになるのだ。
収益性というポイントでは、金型は同一のものを使用しカーボン材料の変更だけで、商品バリエーションを増やす方法が、製造コストを下げる早道だ。東レの高弾性カーボンのプリプレグ(カーボンに熱硬化性のエポキシを含ませたクロス)をつかったものは、800g台でフレームができる。同じ金型で安い中国製の材料を使えば、1100g~1200g程度の少し重いフレームが出来る。軽い方をエキスパート用で、材料のコストを落とした少し重い方を、エントリーレベルとして販売すれば、コストは大幅に下げることが可能だ。しかも、形というかデザインも同じで、トップ選手と同じデザインのフレームは、ユーザー訴求力も高い。
トップ選手向きに設計されたフレームデザインは、材料を変えれば、エントリーユーザーにとって扱いやすいものになるのだろうか?特にオイラのようなポンコツエンジンに向いたシャシーになるのだろうか?残念ながら、人間がペダリングする程度のパワーでは、カーボン材料の弾性率の違いが走りに影響あたえることはまず無いらしい。材料を変えてもトップ選手向きのデザインのCFRPフレームの特性はほとんど同じで、違いは300~400gの重さの違いだけなのだ。ロードレース用のCFRPフレームならば高速域での瞬発力は良いが、常用速度の中ではさほどアルミと変わらない固いフィーリングになってしまう。だからNGという訳ではない。実際トップモデルに比べてわずかに重たいCFRPフレームは、これからガシガシ走る事を目指す若者には最高のフレームだし、それに良いエンジンを持ったメディアのテストライダー等には好感度は高く、因って評価も良くなる。だが、乗る目的とエンジン性能によっては、このようなレプリカモデルは疲れるし、相応しくない場合もあるということだ。その結果、巷にはオイラにとっては、乗りにくいバイクが溢れることになる・・・・
その4でも書いたように、『 このポンコツエンジンに相応しいCFRPフレームが出来ないのか?答えは《YES!》可能である!CFRPフレームのパイオニア達が言っていたように、それが出来るのがCFRP、俗にいうカーボンフレームバイクの素晴らしいところなのだが、しかし・・・・・』
実はそれが出来ない理由がある・・・・・だからなんだけれど・・・・
つづく・・・
CFRPの開発コストは、その金型代金が大きな比重を占める。CFRPと自転車の力学を理解し、かつ3DCADが扱え、空力と力学を理解しているエンジニアに設計してもらわなければならない。そういえば、かつて最後の元祖Kestrelの社長だったケビン(ロッキード社出身の技術者で、ミサイルのフィンの設計もやっていたらしい)に、空力特性の良いバイクっていくけど、具体的な例をあげるとどうなの?と質問したことがある。
彼は、『小指を立てているか、立てていないか程度の差だよ』と言ってのけた・・・・なんてこったい!?なんだ、たったそれぽっちか!期待外れの顔をしているオイラに向かって、続けてこう言った『でも、理論上は同じ条件で180km自転車で走った後に、その空気抵抗のせいで1km~1.5kmの距離差がついている可能性がある・・・・』
「えっ!?」これは、ランのスタート時点で4分前後から人によっては、6分くらいのアドバンテージを得ていることになる。デカい違いだ・・・・
話を元に戻そう、CFRPフレームは、材料代よりも金型とデザイン費用の投資が大きな比重を占めている。モノコックフレームの製造方法には2種類あって、Kestrelのように内部に風船を入れて熱硬化させる生産方法(中国生産ではこれが主流)とCat cheetahのようにオートクレープの釜で真空引きする方法がある。前者は、オートクレープの設備投資をする必要がないので、莫大な設備投資が要らない。が、金型は少々複雑になる。ちょっと前までは、オイルヒーティングで金型を温め熱硬化させていたので、金型は複雑になるし、金型が冷めるまで時間がかかるし・・・・生産効率がすごく悪くて、単価を上げざるを得ない状況だった。しかし、今日では高温スチームで金型を温めて、かつその通路に冷水を入れて冷やすので、効率は飛躍的に向上したらしい。また金型コストはかつての10分の1くらいに大幅に下がった。昨今カーボンの値段が、下がってきたのはそんな背景もある。
オートクレープ製法は真空釜を用意しなければいけないので、その設備投資がかなりの高額だ。金型費用はバルーンを使うものよりも多少は割安だが、いずれの場合もCFRPのモノコックフレームを作成するのは金型コストやデザインコストをどう償却するかが、良好な収益を得るポイントになるのだ。
収益性というポイントでは、金型は同一のものを使用しカーボン材料の変更だけで、商品バリエーションを増やす方法が、製造コストを下げる早道だ。東レの高弾性カーボンのプリプレグ(カーボンに熱硬化性のエポキシを含ませたクロス)をつかったものは、800g台でフレームができる。同じ金型で安い中国製の材料を使えば、1100g~1200g程度の少し重いフレームが出来る。軽い方をエキスパート用で、材料のコストを落とした少し重い方を、エントリーレベルとして販売すれば、コストは大幅に下げることが可能だ。しかも、形というかデザインも同じで、トップ選手と同じデザインのフレームは、ユーザー訴求力も高い。
トップ選手向きに設計されたフレームデザインは、材料を変えれば、エントリーユーザーにとって扱いやすいものになるのだろうか?特にオイラのようなポンコツエンジンに向いたシャシーになるのだろうか?残念ながら、人間がペダリングする程度のパワーでは、カーボン材料の弾性率の違いが走りに影響あたえることはまず無いらしい。材料を変えてもトップ選手向きのデザインのCFRPフレームの特性はほとんど同じで、違いは300~400gの重さの違いだけなのだ。ロードレース用のCFRPフレームならば高速域での瞬発力は良いが、常用速度の中ではさほどアルミと変わらない固いフィーリングになってしまう。だからNGという訳ではない。実際トップモデルに比べてわずかに重たいCFRPフレームは、これからガシガシ走る事を目指す若者には最高のフレームだし、それに良いエンジンを持ったメディアのテストライダー等には好感度は高く、因って評価も良くなる。だが、乗る目的とエンジン性能によっては、このようなレプリカモデルは疲れるし、相応しくない場合もあるということだ。その結果、巷にはオイラにとっては、乗りにくいバイクが溢れることになる・・・・
その4でも書いたように、『 このポンコツエンジンに相応しいCFRPフレームが出来ないのか?答えは《YES!》可能である!CFRPフレームのパイオニア達が言っていたように、それが出来るのがCFRP、俗にいうカーボンフレームバイクの素晴らしいところなのだが、しかし・・・・・』
実はそれが出来ない理由がある・・・・・だからなんだけれど・・・・
つづく・・・
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