極限状態(というと、世界中の人たちから笑われそうですが)になると、音楽の好みも変わるのではないかというお話です。
手術室から帰ってきたのが16時30分くらいでした。まだ下半身麻酔は効いています。2時間ほど眠って気が付くと腰が痛い。私の体はベッドには向いていないようで、普段から仰向けに寝るとお尻の部分がベッドに沈むような気がしてすぐ腰が痛くなるのです。体勢を少し変えたい、せめてお尻を少しずらしたい。ところが、麻酔の効力はまだ続いていて、下半身にぴったりの重しを載せているみたいな感じで、まったく動きません。看護師さんに少し体を横に向けてもらうものの多少楽になる程度。それに尿の管が入っているせいで残尿感がだんだんはっきりしてくる。こんなので、管が抜けるという明日の午前中まで体がもつだろうか。まだ短針が一回り以上の時間がある。2時ごろ、看護師さんが「無理をしないで痛み止めを使いましょう。まだ使っていないんだから」と点滴に痛み止めを加えてくれました。
そういう苦しい夜に気持ちを少し楽にしてくれたのが枝雀さんでした。古いスマホを音楽プレーヤー代わりに使っているのですが、ふだんは使う機会がなかなかありません。入院生活は暇だからという理由で荷物の一つに入れておいたのですが、暇つぶしではないところで役立ちました。何度も聞いたネタでも笑っていると苦しさは少し緩和される。これから手術とか苦しい場面が想定される方はお試しください。
もし地球上の誰もが落語を聴いたとしたなら諍いや争いがなくなるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。笑いは地球を救う。
病室の夜は長い。寝入るのが20時とか21時なので2時とか3時に目が覚めたりします。眠れないのでアルバム1枚ほどイヤホンで音楽を聴きます。そして朝までもうひと眠りというわけです。さて、自分の音楽の好みが普段と少し違うぞということに気づきました。
あの角松さんを、同い年なのにずっと(私より)恰好がいい彼を聴きたい気持ちにならないのです。おそらくプレーヤーの中で一番多くの曲を入れている、つまりは一番好きなアーティストのはずなのに。落語を一通り聴いたあとで一番聞いたのは尾崎亜美さん、少し気分を変えて竹内まりやさん。今年50周年を迎えたさだまさしさん。さださんには『御乱心~オールタイム・ワースト~』という、半分落語みたいなアルバムもありますから。その次はユーミンでしょうか。
身体がしんどいとき、あるいは眠るための音楽を聴きたいと思うときに選んでしまうのは、やはりカドのない楽曲なのでしょうか。音楽にカドがあったりなかったするものなかのかどうかもわかりませんが今の自分にとって優しい音楽は角松さんではないらしい。
オチをつけるとすれば、カドのない音楽だから角松さんは外れちゃうのかな?退院して元気になったら、また角松さんの恰好いい音楽を聴きます。
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