ちょうど3年前、会社の先輩がペットボトルを入れ物にして、植物をくれました。植物といっても、ややシワの入った軸のようなもの。それに白い根っこらしいものが数本ついている、見ようによってはグロテスクな植物。その軸をバルブというのだと思えてもらいました。
その先輩は、多くの人が「きれいねぇ」というような植物には興味がないらしい。盆栽とか、デンドロビュームとかいった、力量のある人だけが近づけるような植物を好む、いわばシブい路線の方でした。
で、どうしたらいいのです?このバルブとやら?師匠が仰せられるには、「まず土の代わりの苔を買ってこい。」ほぅ、この軸みたいのに花が咲くのですか?「咲きますよ、3年後に。それまでひたすら水を与えるのです。栄養はほとんど必要ありません。」とのたまう。この年になると3年後にどうしているかは予想がつきません。
その先輩は、多くの人が「きれいねぇ」というような植物には興味がないらしい。盆栽とか、デンドロビュームとかいった、力量のある人だけが近づけるような植物を好む、いわばシブい路線の方でした。
で、どうしたらいいのです?このバルブとやら?師匠が仰せられるには、「まず土の代わりの苔を買ってこい。」ほぅ、この軸みたいのに花が咲くのですか?「咲きますよ、3年後に。それまでひたすら水を与えるのです。栄養はほとんど必要ありません。」とのたまう。この年になると3年後にどうしているかは予想がつきません。
バルブを鉢の中の苔に埋めて、水を与えること約2か月。苔から葉っぱが出てきました。バルブの栄養で新しい命を育んでいるわけですね。まだ苔も真新しい。
それから50日ほど過ぎると、新しい命はどんどん大きくなる代わりに、バルブが栄養を取られて生気を失っていく。
一年近くになると、新しい命もバルブっぽく、ふっくらとしてきました。一方、親バルブは、もう栄養がない感じで、細く細く縮んでいます。
育て始めて約1年。2本目の新しい命が顔を見せました。鉢の隅から根らしいものも姿を見せています。
それからさらに1か月。2本目の背丈が1本目よりも高くなりました。師匠のアドバイスによれば、1本目が花をつけることはないそうです。1本目の存在理由は2本目に栄養を与えること。なんか、人間の家族を見るようです。あぁ、子どものために頑張る。子どもが花をつけるために、親は頑張るわけですね。
育て始めて約2年。茎の数は4本になりました。4本の中で一番太いけれども背丈が低いのが親デンドロ。この1年の間に子デンドロが3本できました。どれも親よりも長身。特に長男?は、背も高く身体もどっしり。比べて親デンドロの小ささ。植物でも動物でも親ってそういうものでしょうか。師匠によれば、「この春咲くかなぁ、もう1年先かなぁ。」とのこと。今年はまだ咲く気配がありません。
今年の1月になって、ぽつっと膨らんだ、花芽のようなものを発見。これが花になるのかなぁ。3っつや4っつではありません。ぽつっは、もっとたくさんあります。
4月になると、そのぽつっは確かにつぼみのように大きくなってきました。近いうちに花が見られるかもしれません。
4日後、つぼみらしきものが赤くなってきました。それまでは幹や葉っぱと同じ緑色だったのですよ。
4月23日、つぼみはますます大きく赤くなって。
2024年4月27日。大型連休を前にして開花しました。師匠からバルブを一本もらって、ちょうど3年。師匠はえらいなぁ。予告通りちゃんと3年で花を見せてくれました。
全部で花は9輪。咲いたら心配になるのは、いつまで咲いてくれているのだろう。1週間だろうか、2週間だろうか。師匠に開花の報告をしたら、たいそう喜んでくださって、「祝開花」と手製のラベルをつけたお酒を頂戴しました。師匠もさすがに嬉しかったに違いない。
ひと月以上たっても9輪は枯れずに落ちずに咲いていました。しかし、花に張りが感じられなくなってきました。心なしか、花がうつむいているように見え始めました。5月の終わりに発見したのは、5本目が苔から姿を見せたということです。
6月に入ると、花弁に網のような模様が見え始めました。花としては終焉の時期のようです。奇麗なピンクと白で成り立っていた花弁も黄色か茶色かが混じるようになってきました。もうひと月以上咲いています。
まだ頑張って咲き続けてほしいという気持ちではなく、長い間ご苦労様でした、もう楽になってという気持ちになるものですから不思議です。
6月8日。最初の落花。でもまだ、元気を保っている花もあります。
6月17日。最後の花が落花しているのを確認。4月27日から6月16日まで咲いていてくれたと考えると、その日数は51日。そしてその間に5本目の茎が大きく育ちました。長い間、お疲れさまでした。
師匠に、来年も春先に咲きますかと尋ねたら、「開花には大きなエネルギーが必要だ。今年これだけ頑張ったのだから、次の開花のためには相当のエネルギーをためる必要がある。」とのことでした。つまり、来年は咲かないかも知れないと仰せられるのです。デンドロビューム。まるで人生を見るような奥深い花であること。
師匠に、来年も春先に咲きますかと尋ねたら、「開花には大きなエネルギーが必要だ。今年これだけ頑張ったのだから、次の開花のためには相当のエネルギーをためる必要がある。」とのことでした。つまり、来年は咲かないかも知れないと仰せられるのです。デンドロビューム。まるで人生を見るような奥深い花であること。
そして、花の後は根っこの成長にエネルギーをかけているみたいです。白い、最初に師匠からバルブを一本もらった時に見た、白い根っこが出てきています。
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