ウクライナ軍、ロシア軍の「竜の歯」を突破したのか?
2023年9月18日
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-66840316
やたらBBCの記事が細かいなと思ったら、検証チームを編成して分析しているようです。
以下、先に航空地図を使った現地略図
①検証済み動画が示す南部戦線の様子
https://ichef.bbci.co.uk/news/800/cpsprodpb/9C05/production/_131114993_positons2.jpg
②ロシアの防衛線
https://ichef.bbci.co.uk/news/800/cpsprodpb/18621/production/_129837899_russiansatellite3.jpg
②の図の「ウクライナ軍が攻撃の可能性」と書かれた矢印の下の白い横線のあたりに、1か月以上激戦の続いたロボティネ村Robotyneがあります。ウクライナ軍の認識では、このあたりが第1次防衛ラインです。
BBCの図だとその下が、第1次防衛線です。
その防衛線の上(北)に次の防衛線の拠点のノボプロコピウカ村Novoprokopivkaが、あります。
現在、ウクライナ軍が攻撃中です。
しかし、ウクライナ軍はロボティネ村Robotyne付近の防衛網を突破した後、別動隊が東10km付近にあるベルボベVerboveの攻撃を始めました。
ベルボベVerboveの西の郊外で戦闘中と言うニュースはありました。しかし、①の略図を見るとウクライナ軍の攻撃目標は、ベルボベVerboveではないことが分かります。
ロシアの防御網を見ると、なぜか第1次防衛線が東側で北に延びて外郭の防衛ラインに連結しています。その連結している部分が、ベルボベVerboveの西2km位の位置です。
そこを突破するとロシアの防衛ラインは、南北に伸びていて北から来るウクライナ軍を迎え撃つには不向きな角度です。本来、東西を向いていて防御力を発揮しますから南北では防御できません。
そしてこの付近を突破するとウクライナ軍の認識では第2次防衛ライン、BBCの表記では第1次防衛線を突破できます。守りの強固なノボプロコピウカ村Novoprokopivka付近の防御網を迂回することが出来ます。
②の図を見るとウクライナ軍は、外側(北)のラインは突破していて南のすぐにある防衛ラインを突破すると第2防衛ライン(BBCの第1次防衛線)を、東から迂回して突破できます。
①の図の一番下の白い線は、第2次防衛ライン(BBCの第1防衛線)の最後のラインです。ここを突破できると第2次防衛ラインの内側(南側)に前進できます。
つまり、現在ウクライナ軍が行っている作戦計画は、ベルボベVerboveの西2km位の位置のロシア軍の防衛ラインの弱い個所を突破する事であることになります。
①の図のウクライナ軍の部隊の位置を見ると2番目の防衛ラインを攻撃中であることになります。ここを突破してしまうと、その次にあるのが第2次防衛ラインの最後のラインです。この付近では、各防衛ラインの間隔が狭いです。
どうやらウクライナ軍の狙いは、ここにあるようです。
記事によるとロシア軍は、予備の空挺部隊をベルボベVerboveに配備したようです。しかし、そこはウクライナ軍の攻撃目標では、ありません。
今月のうちにウクライナ軍は、第3次防衛ラインを突破できるかどうか?
中々、ロシア軍が構築した防御網は分厚いです。しかし、南部戦線においては時間がかかっては、いますが着実にウクライナ軍が前進しているようです。