航空万能論GFの記事を読んでいると繰り返し出てくることがあります。
ウクライナ国内紙の従軍記者のコメントをしばしば引用しています。ほぼ全部の激戦を現地から報告してきた記者の発言ですので、ほぼ間違いないと思います。
どの激戦地でも同じ間違いをして、結局同じようにロシア軍に負けています。
セベロドネツク、ソレダル・バフムト、アウデイーイウカ
それは、何か❓
最前線の後方の陣地や防御網を作らない点です。
だから最前線を突破されると、ずるずると後退して結局大きな戦場で負けているというのです。
そして記者が軍関係者に取材しても、その点が話題になることはないそうです。
ロシア軍は、どうするか❓
スロビキン・ラインを見てもわかる通り突貫工事で陣地や防衛ラインを建設します。それこそ土木建築業者を総動員して、コンクリートなど必要な資材を惜しみなく投入して建設するのだそうです。
それを理解していなかったウクライナ軍は、南部ザポリージャ戦線でロシア軍の分厚い防御網に進撃を阻まれて反撃作戦は失敗に終わりました。
私が、バフムトとアウデイーイウカの戦場を見て気が付いたことがあります。
補給路を簡単に失ってしまいます。
バフムトでは、最後の補助補給路であるO-0506を何とか守りきれたので、バフムト郊外西のチャシブ・ヤールChasiv Yarで食い止めることが出来ました。
アウデイーイウカでは、それまでの主要補給路であったと思われる幹線道路のH-20と北西方向に延びる鉄道線路を失いました。最後に残った細い舗装道路であるO-0542を遮断されて、その後短時間に陥落しました。
補給路を守る感覚が少ないか無いと言えます。
補給路を失えば、その拠点(戦場)では負けます。
誰が考えても分かりますが、ウクライナ軍は無視します。
この2点から浮かび上がってくること❓
ウクライナ軍の士官・将校にはまともな軍事教育が施されていないのであろうと思います。そのための学校には実質的な(または有意義な)中身が無いのであろうと思います。
理由は、ウクライナの独立は1991年8月24日です。
それ以前は、ロシア軍(旧ソ連軍)の教育組織や旧ソ連軍の中で士官・将校は教育され部隊の中で学んでいました。
独立後、それが無くなりました。
ウクライナ国内に士官学校や大学的な学校は作られたと思います。しかし教官がいませんね❓
更に悪いことにウクライナでは、旧ソ連的幹部は評価されず、もう大体は引退したか排斥されていると思います。
現在のシルスキー最高司令官が58歳ですから、この年齢が旧ソ連軍で教育を受けて部隊経験をした最後の世代だと思います。
つまり❓
今、ウクライナ軍の中核と思われる50歳前後の将軍は、幹部として必要な軍事教育を受けていないと思われます。その後NATO式の知識はあるかもしれませんが、付焼刃的なものであろうと思います。
軍事教育や知識は、幅広い膨大なものです。
だから士官将校の育成には、長い時間がかかります。
現在のウクライナ軍の幹部は、この部分が抜け落ちていると思います。
まず、これが1点。
そしてその国の軍隊のサイズがあります。
これまでのウクライナ軍は、せいぜい20万人未満です。
それが一気に100万人の大軍団に膨れ上がりました。
ウクライナ軍の幹部の中に100万人の大軍団を管理運営した経験のある軍人は、いません。経験のないことをやるのは普通、難しいです。
5倍の数の士官将校・部隊指揮官が急に養成できますか❓
今、前線で戦っているのは以前の20万人時代の士官将校や部隊指揮官と兵士だと思います。この部分の数が減ると、後は急増の士官将校や部隊指揮官と兵士になります。
現在より、遥かに弱い部隊が戦場に出ていくことになります。
今後は兵士は弱くなり、更に100万人の大軍団など管理運営する能力のない参謀本部の幹部がウクライナ軍の指揮を変わらず取ります。
戦争が長引き、歴戦の部隊指揮官と兵士が減るほどにウクライナ軍は兵士の補充が仮に上手く行こうと徐々に弱体化すると思います。
そして戦場における構造的な欠陥も改善は難しいと思います。
それらを考え合わせると❓
歴戦の部隊指揮官と兵士が相当減っている現状を考えるなら、今年は各戦場でウクライナ軍の劣勢が強まると思います。年の後半には、ボロボロになるかもしれません。
戦争の終わりは、来年の終わりごろかと推測していましたが早まるかもしれません。
今のウクライナの大統領府を見ていると、救いようがないほど無能力です。ほぼ大日本帝国の負け戦の時の戦時軍事内閣と同じだと思います。
※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次②
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27