「北の山・じろう」日記

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アウデイーイウカ~ポクロウシク戦線>ロシア軍がプロレスを制圧、周辺に進撃中<ウクライナ紛争2024/07/22

2024-07-22 19:44:30 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

2024.07.21
侵攻879日目、ウクライナ軍はクラスノホリフカから追い出される寸前
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/879th-day-of-invasion-ukrainian-forces-on-the-verge-of-being-pushed-out-of-krasnokhorivka/

もう今年も半分以上が過ぎました。
今年最初のロシア軍の目標は、アウデイーイウカ市街の攻略でした。2月半ばにアウデイーイウカ市街は陥落し、その後雪解けのシーズンを挟んでロシア軍は様々な軍事行動を見せました。
今わかることは主な攻撃路と見せたのは、ほぼ陽動作戦でした。
もちろん陽動作戦とはいってもロシア軍の一定の進撃は伴います。あっちを攻め、こっちを攻めと色々やってロシア軍が総攻撃をかけるように見えたのが、チャシブ・ヤールです。5月ごろにはウクライナ軍すらチャシブ・ヤール防衛は半ば諦めている様子がありました。

その後、ロシア軍が奇襲攻撃で攻略したのが、アウデイーイウカ~ポクロウシク戦線のオチェレティネOcheretyneです。オチェレティネ制圧後は、周辺地域を細かく制圧していました。

その後、ハルキウ州北部戦線を形成します。
これも陽動作戦で、ウクライナ軍は引っかかってこの方面に数万人の部隊を集結してロシア軍を撃破して国境の外に追い出そうとしています。
消耗戦になり今も激戦が続いています。

チャシブ・ヤールやハルキウ州北部戦線、ハルキウ州クピャンスク方面は、ロシア軍の陽動作戦と言えます。
目的はウクライナ軍の予備兵力を引き出して、それでも足りないので各戦線から部隊を引き抜かせて、各戦場のウクライナ軍の数を減らすことです。
減らしたところでウクライナ軍の弱い個所をロシア軍が攻撃する流れが続いています。

今では長い前線のほぼ全域でロシア軍が攻勢をかけているので、ウクライナ軍としては守りようがありません。ロシア軍の進撃を遅らせて打撃を与えながら退却しています。
塹壕戦ですから進捗はゆっくりですが、確実にロシア軍は進撃して占領地を増やしています。これが全域で起きていますので、どうにもなりません。

しかし、ここに来て戦況略図を見ると気が付くことは、大きくロシア軍の支配地が拡大しているエリアがはっきりと見えてきました。
アウデイーイウカ市街の西側です。つまり、ここがロシア軍が最も力を入れて進撃しているエリアです。目的地は西の大拠点のポクロウシクPokrovskです。

オチェレティネOcheretyne攻略後、ペースダウンしてゆっくり削っているので短期間では気が付きません。
少しづつ・が2か月も経てば結構な面積になります。
小まめに南と北から削った結果、市街西にある大きな二つの貯水池とVovcha Rivberの東側は、大体ロシア軍が制圧しました。少し残っている部分は草刈り場ですので今となっては、どっちでもいい地域です。

オチェレティネ北西のノヴォオレクサンドリウカNovooleksandrivkaを先に制圧して、その北西のヴォズドヴィジェンカVozdvyzhenkaを伺う形勢を示して、その後南に向かいました。
ロズヴァツケLozuvats'keは簡単に制圧し、それからルートT-0511と線路の先にあるプロレスProhresを攻撃したのが、最新の情報です。ウクライナ軍は、防衛をあきらめたようですぐ撤退しました。

今プロレスProhresから北のロズヴァツケLozuvats'keの間をフラット化しようとしています。
突出部を複数個所作りその間をフラット化して面的に前進するのがロシア軍の常套手段です。こうすると速度は遅いですがウクライナ軍が反撃することが出来ません。

それからテイモフィウカTymofiivkaを制圧しヴォズドヴィジェンカVozdvyzhenkaの攻撃に向かうのであろうと思います。そこまで行けば、すぐ先が物流の大動脈の幹線道路T-0504です。ここを制圧するとドネツク州中部と北部の補給路が、ポクロウシクPokrovskから北のクラマトルスクКраматорськへ西側を通って大きく迂回することになります。
ドネツク州中部と北部の補給が一気に苦しくなるのは、既に書いた通りです。

そしてもっと広い範囲の地図で見るとプロレスProhres付近までロシア軍が進出してしまうとアウデイーイウカ~ポクロウシクの間の直線距離の約半分をロシア軍が進撃したことになります。

さらに問題なのは、ポクロウシクまでの間にもう拠点になりそうな集落などが見当たらないことです。

探してみるとノヴォエコノミクネNovoekonomichne、ミロリュビフカMyrolyubivka、フロデイフカHrodivka、ノヴォホロデイフカNovohrodivka、セリダブSelydoveなどの集落や都市を結んで(あるとするなら)ウクライナ軍は防衛ラインを準備していると思います。

ところがこのラインは、そのすぐ西の「デイミトロフМирноград」の東に位置しています。デイミトロフの約5kmほど西が「ポクロウシクPokrovsk」です。

おそらくロシア軍は然程抵抗を受けずに「ノヴォエコノミクネNovoekonomichne、ミロリュビフカMyrolyubivka、フロデイフカHrodivka、ノヴォホロデイフカNovohrodivka、セリダブSelydoveなど」を結ぶ東の外郭の防衛ラインに行きつくと思います。
この防衛ラインを突破されると「デイミトロフМирноград」と「ポクロウシクPokrovsk」が最後の要塞になります。

この辺りまで行くと西の州境まで約20km程です。
広い地図で見るとウクライナ軍にとっては危機的と言っていいと思います。
アウデイーイウカ市街からプロレスProhresまでロシア軍が進撃するのに要した期間は、約5か月です。
単純計算なら12月にはロシア軍は、「デイミトロフМирноград」と「ポクロウシクPokrovsk」まで進撃することになります。
ウクライナ軍の弱体化が見られロシア軍の進撃速度が速まっている傾向を考えるなら、更に早くなる可能性もあります。

その割には一向にウクライナ軍や政府には危機感が感じられません。

ここまでロシア軍の進撃速度が速まっていることを考えるなら、特にロシア軍の進撃が早いアウデイーイウカ~ポクロウシク方面では、かなり後方に防衛ラインを急遽建設してそこまで戦術的撤退をするしか方法はないと思います。
そうしなければズルズルとドニプロ市Дніпро(ドニプロペトロウシク州)やザポリージャ市Запоріжжяの方に後退を続けることになると思います。

ザポリージャ市Запоріжжяは現在のロシア軍支配地から、それほど遠くはありません。
ロシア軍が現在、ドネツク州中央部の進撃を優先しているから放置されているだけです。多分、ドネツク州中央部が一段落したらザポリージャ市Запоріжжяに向けて進撃を開始すると思います。

それにしてはウクライナ軍や政府には危機感が感じられないのは、不思議と言うのか❓
F-16戦闘機や長距離ミサイルでは、防げないんですが❓


※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑤
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27



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