2024.09.6
ロシア軍がチャシブ・ヤールで前進、ポクロウシク方面でもヒルニクに急接近
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russian-troops-advance-on-chasyb-yar-approaching-hirnik-in-the-pokrovsk-region/
ポクロウシク戦線でのロシア軍の進撃方向は、主に3つあります。
今回は幹線道路E-50の南での戦いです。
幹線道路E-50を守っていたウクライナ軍の要塞カルリブカKarlivkaを制圧したロシア軍は、更に南下しています。
といってもこのエリアではウクライナ軍の密度が高くなり、これまでのように快調に進撃しているわけではありません。それなりにウクライナ軍も抵抗しています。
カルリブカの南のハリツイニフカHalytsynivkaを攻撃しつつ、その西のウクライナスクUkrainskを攻撃しています。
ハリツイニフカは、大体ロシア軍が制圧したようです。
その次のロシア軍の攻撃ルートが興味深いです。
ハリツイニフカとウクライナスクの中間地帯を南に突破してしまいました。
ウクライナスクUkrainskは東方向からの攻撃を想定して防御施設を作っていると思います。普通ならロシア軍は東から攻めてくるはずだからです。
その防御の強い部分を迂回いして南側から攻めることにしたようです。
本来ならこの2つの拠点があれば、このような攻撃は出来ないと思います。やはりウクライナ軍の兵力が少なく強力な攻撃部隊がいないために、このような強引な突破作戦が可能なようです。
セリダブSelydoveには、ヴフレダルVuhledarの要塞から強力な旅団を1つ引き抜いて防御を強化したようです。ロシア軍は、簡単にはセリダブSelydoveを攻略できないかもしれません。ウクライナ軍は、ヴフレダルVuhledarを軽く見たと言うことだろうと思います。一番、南東に遠い地域ですから防御を諦めたのかもしれません。
しかしセリダブSelydoveとルートE-50の南を攻めるロシア軍の目的は2つあります。
①1つ目は、ポクロフスクからクラホヴェKurakhoveに行く鉄道路線の遮断です。これが出来ると南部ドネツクは補給の多くを失います。
②もう1つは、ルーE-50をロシア軍の補給路として利用するために安全を確保することです。
南に占領地を広げるほど安全性が高くなります。
①の目的を達成するためにもう一つ方法があります。
ウクライナスクUkrainskからその西のツクリネTsukuryneを制圧する事でも鉄道路線を遮断できます。
増援部隊が到着した市街地の大きいセリダブSelydoveを攻略するより、ウクライナスク~ツクリネの方が制圧が容易だと思われます。だからウクライナスクUkrainsk制圧を優先しているのだろうと思います。
③3つ目の目的
ウクライナスクUkrainskからその南のヒルニクHirnyk、そして更に南のクラヒウカKurakhivkaまで南下しながら制圧していくと・・・・
ヴォブチャ(Vovcha Rivber)川の東側のかなり広いエリアが補給困難になります。
またロシア軍に大きく包囲されることにもなります。
カルリブカKarlivkaから南のヘリオフカHeorhiivkaを線で結んだ東側のエリアです。
かなり広範囲でしょう❓
このエリアを戦闘せずに占領してしまおうというのが3つ目の狙いです。
このようにクルスク侵攻作戦のためにポクロウシクPokrovsk戦線を軽視したウクライナ軍の作戦的誤りは、ドネツク州の各戦場に出ています。
ドネツク州の中部以南を全部、ロシア軍に進呈したのとほぼ同じことです。
単にポクロウシクPokrovskの市街地を守ってどうなるものでは、ありません。
※これまで色々書いてきましたが、ロシア軍はウクライナ軍の大きなミスを利用してドネツク州南半分全域を占領するべく攻撃を開始しました。
これを全部守ることは予備兵力の枯渇しているウクライナ軍には不可能です。
ロシア軍の勢力圏に近い東側は放棄して、ドネツク州の西側の拠点を守るしか方法がなくなったと思います。
ポクロウシクPokrovsk
セリダブSelydove
ヴェリカ・ノボシルカVelyka Novosilka
などの西側の重要拠点です。
その東側は放棄するしかないと思います。
西側の重要拠点が、守れたらそれで良しとするべきだと思います。
それくらいロシア軍に流れが傾いています。
ドネツク州は一気に戦況が悪化しました。
※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑥
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27