現代ビジネス
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2024・10・20
『いったいなぜ・・・「トヨタに学ぼう」日本車を絶賛する”ドイツのニュース番組”の不気味さ』
川口マーン恵美
昨日の日記でトヨタとフォルクスワーゲンの販売台数と従業員数に違いを書きました。簡単に言うとフォルクスワーゲンは、1台の車を生産するのにトヨタよりかなり多い従業員が必要です。
当たり前ですが、それはコストに参入され利益を減らします。
10月8日のドイツ第2テレビ(公共放送)が、朝7時のニュースでトヨタの(経営)方針を称賛したのだそうです。
詳しくは、記事を読んでください。
放送内容は、あからさまなフォルクスワーゲン批判です。
批判と言うより弾劾に近いかもしれません。
しかし川口氏はフォルクスワーゲンが現在の苦境に至った原因は、メルケル政権時代のEV化政策と補助金頼りの経営にあると言っています。
そしてドイツのマスコミは、ドイツ政府のEV化政策を持て囃して大いに宣伝しました。
特に旧東ドイツ地区に建設したEV専用工場が致命的な赤字を生み出しました。
工場閉鎖は避けられない状況です。
そもそも欧州の急に起きたEV化推進政策は、排ガス問題で苦境に陥ったEUの自動車産業救済の意味が大きいと言えます。
今、EV車が高価格がネックになり売れないなら、なぜ排ガス問題で従来のデイーゼルエンジン車が製造できなくなったときに、ハイブリッドを導入しなかったかと言う大問題があります。
トヨタの軍門に下るのが嫌だったから理屈をこねてEV化政策にEU全体が舵を切りました。
ガソリン車の全面廃止方針も大きなネックになっています。EV車しか製造が許されなければ、EV車が売れなくなれば車を生産できないという深刻な話です。
しかし販売補助の補助金が切れてしまえば価格の高さだけが残ります。今度は、中国製の安いEV車が売れてEU製が全然売れないという皮肉です。
これは主にドイツ政府が音頭を取り先頭に立って進めた政策です。
ドイツの場合は、ここに原発廃止による電気代の高騰が加わります。ウクライナ紛争で格安のロシアの原油と天然ガスを失いました。
全部、併せてドイツ国内で製造することが他の製造業も含めて輸出の価格競争力を失いました。
だからと言ってフォルクスワーゲンが工場を新設しないわけではありません。
中国の生産拠点に工場を新設する計画のようです。
記事の趣旨とはやや違いますが(似たようなことを川口氏は過去の記事で書いています)、そもそもドイツ政府のエネルギー政策や産業振興政策が、完全な誤りであったことが証明されつつあります。
上位下達す方式で国の大政策を決定して遂行すると、上が間違っていた場合、とんでもないデメリットが生まれると言うことです。
21世紀のドイツを見ているとイデオロギーや理念が優先されて国の大きな政策を決定しています。
大体、メルケルの長期政権の時代にこうなりました。
今、その誤った政策のデメリットが一気に噴出している観があります。
日本政府もよく見て考えるべきでしょうね。
本当にドイツの大失敗は、ドイツ社会に深刻な悪影響を及ぼしつつあります。しかも、それは始まったばかりです。
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