「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

軋みが大きくなったドイツ経済と政治<2024・11・08

2025-01-11 03:09:39 | ヨーロッパ

BBC
2024年11月7日
『独首相が財務相解任、年明けにも信任投票実施 早期選挙の可能性も』

https://www.bbc.com/japanese/articles/cpwrqe828vjo

ドイツのシュルツ首相が、FDPのリントナー財務相を解任しました。
シュルツ首相と緑の党は、国債を増発して予算の拡大を計画しました。これにリントナー財務相が反対したのが原因です。

元々、キリスト教民主同盟が第1党の座を失い下野したために生まれた野合政権です。
SPD(社会民主党)と緑の党と自由民主党(FDP)が連立してやっと内閣が誕生した経緯があります。

ドイツの経済問題については過去の日記を何本か書きました。それを読んでください。
現在、ドイツ経済は不況までは行きませんが、かなりの落ち込みを見せています。
やはり、ウクライナ紛争の悪影響が大きくドイツ経済に影を落としています。

独自動車最大手のフォルクスワーゲンは、ドイツ国内の工場閉鎖と従業員の大量解雇を計画して大問題になっています。

ドイツの最大手の労組のIGメタルが、ストを実施しました。
ロイター
2024年10月30日
『ドイツ最大手労組がスト実施、BMWなど370社に影響  7%賃上げ要求』

と言うようにインフレの影響で物価が高騰しているのは、どの国も同じです。

ドイツ政府としては、憲法上の制限を緩めて財政出動したいわけです。

しかし、そもそも主義主張の違う野合連立ですから意見の違いは、しばしば出てきます。その都度何とか折り合ってきましたが、今回は限界と言うことでしょう。

議会の多数派を失いどうにもならなくなったシュルツ首相は、来年1月にも連立政権の信任投票を行うようです。
信任投票の結果が不調であれば、総選挙を前倒しするかもしれません。
どちらにしても来年はドイツは議会選挙の年です。

その前に今年行われたEU議会選では、連立3党はボロ負けでした。
旧東ドイツ地区の州議会選でも同じです。
「ドイツのための選択肢」AfDが、急速に支持を伸ばしています。
極右政党と表現されることが多いですが実際には右派と言うべきでしょうね。
AfDを嫌うドイツのマスコミは、極右と呼んできました。支持率が伸び議会によっては議席数を伸ばしてきたので、最近は右派ポピュリスト政党と呼んでいるようです。
何としてもAfDを叩きたいようです。
呼び方からして差別そのものです。

大体、政党はどこであろうとポピュリストの性格を持っています。多いか少ないかの違いしかありません。それを敢えて右派ポピュリスト政党と呼ぶところに差別があります。

まあ、それは脇に置いてウクライナ紛争の悪影響の経済不振は、ドイツ経済に影を落とし、それが政治の方に跳ね返って、そうでなくても不安定な3党連立は破綻したと言えます。

ドイツだけでは、ありません。
イギリスでは歴史的な保守党の大敗が起きました。

フランスでもマクロン大統領の政党は総選挙で議席を減らして、第3党になりました。
それで政治混乱が起きてやっと内閣を組閣しました。
しかし、不信任案が提出されましたが何とか否決しました。これが10月8日の話です。
もし第3党の極右政党の国民連合が賛成すれば、いつでも内閣不信任案が通過します。
10月は極右が議会の混乱を避けるという理由で賛成しませんでした。
第1勢力の左派連合と第3党の国民連合が協力すれば、いつでも内閣不信任案が議会を通過するという恐ろしい議会です。
法案だって左派連合の合意を得ないと通過しません。
おそろしく手間暇のかかる議会運営が続くことになります。

このようなヨーロッパの大国の政治不安定は、ウクライナ紛争が直接の原因ではありません。
元々あった難民問題に加えて、高インフレと戦争が原因の経済的な落ち込みが庶民の生活苦を招きました。
結局は、戦争が経済に悪影響を与えて庶民の生活苦を招きそこに難民問題が加わって一気に、政治や社会不安が増大したと言えます。

ウクライナ紛争を煽り立てているのでヨーロッパのマスコミは、こうは書けないでしょう。
特にドイツの場合は、戦争の悪影響がまず経済に及び、それが右派政党の台頭を招いて政治混迷が深まったと言えます。

先進国ではほとんで政治交代が起きました。
その原因は、戦争です。
特にヨーロッパの場合は、近くの戦争ですから悪影響は大きいです。
それにも関わらず、これまで戦争を煽り立ててきたので戦争を止めようという話には、なりません。

ウクライナ紛争を止めさせるのが先か、ドイツが不況に陥るのが先かの話になりつつあります。
輸出で利益を上げてきたドイツは、平和な環境が失われれば一番先に経済に悪影響が及び、景気が悪化します。

日本だって同じです。
近隣の戦争は、何としても防がなければなりません。
近隣で戦争が始まれば、あっと言う間に不景気になり直ぐに不況になると思います。


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