航空万能論
2411.11.02
『南ドネツクの戦い、ロシア軍は夏季攻勢に匹敵する速度で前進中』
(1)その前にリマン~クレミンナ方面
ここは余り動きのない戦場でしたが、東部戦線全体に見えるウクライナ軍の弱体化が影響しているのか、ロシア軍がゆっくり前進しています。
クピャンスクのオスキル川東岸も同じです。
このエリアも川が境界線になっています。
丁度、中央付近に南北に流れる川がゼレベツ川です。
この東岸にややウクライナ軍が支配地を持っていますが、北から徐々にロシア軍が川の東岸を南下中です。
ルガンスク州、ハルキウ州、ドネツク州の州境があります。ドネツク州の一番北です。
と言って、リマンまでは、まだ相当距離があるので、すぐどうなるという話ではありません。
南のトルスケ辺りまでロシア軍が南下すると、その西にあるドネツク州北部の要衝のリマンへの進撃路が開けます。
リマンを守る緩衝地帯ですから、ウクライナ軍としてはロシア軍の接近を許したくない地域です。
ドネツク州制圧のためには、ロシア軍はここからリマンを攻撃する必要があります。
(2)南ドネツク 戦況略図の3枚目
大雑把に現在の戦況を説明すると幹線道路に囲まれたやや広いエリアが戦場になっています。
一番南にあるのがルートT-0509
ヴフレダルから西に行く道路です。
北にあるのがルートN-15
マリンカ~クラホベ方面から西に行く道路です。
西側のほぼ南北に走るルートT-0518
この3本の道路の内側が現在ロシア軍が、南から北に進撃しているエリアです。
10日も経過したのかどうか程度の期間に南北の距離だと3分の1強北上しました。
抵抗拠点になるであろうと思われていた「ボフヤウレンカ」「ノボウクラインカ」「シャフタール」などの拠点が、ほぼ無抵抗で制圧されました。
南ドネツク最強の要塞ヴフレダルが陥落したたために、東南ドネツク方面ではウクライナ軍は補給の問題で防衛不能に陥りました。
そのためルートN-15の南側、ルートT-0518の東側の地域からウクライナ軍が撤退しつつあるのだろうと思います。
特に北側は、ルートN-15付近まで後退しないと拠点になりそうな市街地を持つ集落すらありません。
その南に集落が東西にありますが、ほぼここでは防衛できないと思います。
マリンカの西のクラホベも既にロシア軍が市街地の東まで肉薄しているので長くは抵抗できないでしょう。
クラホベの北にある大きなカフホカ貯水池の北側もロシア軍が制圧しつつあります。
その北では、大きな拠点のセリダブをロシア軍が制圧しています。
南ドネツクのウクライナ軍は、西方向に撤退しないと大きくロシア軍に包囲されます。特に東の方にいるウクライナ軍は、さっさと撤退しないと撤退路がなくなります。
「ボホヤウレンカ」か「シャフタール」から北上するロシア軍がルートN-15まで到達すると包囲が完成します。
ヴフレダルと言う強力な要塞が防衛していたエリアが陥落すると、その背後には要塞も防衛ラインもありません。
アウデイーイウカの要塞が陥落した後、ロシア軍がポクロウシク方面に進撃していったのと大体、同じ状況です。
ポクロウシク方面より悪いのは、畑地帯のど真ん中で拠点になりそうな集落が、ほとんどないことです。
クルスク侵攻作戦を強行して、ドネツク州を軽視した訳ですから当然の結果と言えます。
キエフ政府は、北朝鮮軍のことで騒ぎ立てていますが、そんなことよりウクライナにとってはドネツク州をどうするかの方が、余程重大だと思います。
しかし、ドネツク州の危機はクルスクの方に世間の注目を集めて誤魔化そうと言う考えのようです。
今の現状をウクライナ国民が知ったら、流石に激怒すると思います。
キエフ政府とウクライナ参謀本部は、戦争をどうするというような考えはないようです。ひたすら長引かせれば、そのうち何とかなるだろう・的な究極の無責任体質です。
そんな事情を書いた「航空万能論」の記事。
読めばウクライナの内情と現状が分かると思います。
2024.11.01
『ウクライナ指揮官の訴え、階級の高い指揮官ほど悪い報告を聞きたがらない』
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-military-commander-claims-that-the-higher-the-rank-of-his-superior-the-less-likely-he-is-to-hear-bad-reports/
2024.10.31
『EUもテレソンを批判、侵攻前の状況に戻せとウクライナに要求』
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/eu-also-criticizes-telethon-calls-on-ukraine-to-return-to-pre-invasion-status-quo/
2024.10.30
『ウクライナ軍を自滅させる嘘報告システム、元凶はシルスキー最高司令官』
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/commander-in-chief-sylsky-is-to-blame-for-the-false-reporting-system-that-is-destroying-the-ukrainian-military/
2024.10.28
『ウクライナ人ジャーナリスト、政府の防衛ラインに関する説明は全て嘘』
航空万能論の管理人は、ウクライナ支持の立場です。
それでもこんな記事を取り上げざるを得ません。
ウクライナ国内も問題と矛盾は、解決不能でしょうね。
政府や軍や官僚機構の上層部を全部、総入れ替えでもしないと、どうにもならないと思います。
要は、ウクライナは昔のウクライナのままと言うことです。
民主主義の擁護者と「キレイ」に胡麻化しても中身は、同じと言うことです。
(腐敗した破綻国家)
※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑦
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27