ウケなかった女

2016年12月31日 | 日記
デイサービスに90代のキクノさんというちっちゃくて可愛らしいお婆さんがいる。

でも、キクノさんはデイサービスに来ても最初はいいのだが、すぐ落ち着きがなくなる。

お昼を食べたばかりなのに「お腹が減ったけどゴハンはまだか」と何回も言ってくる。

まあそういうのは他の利用者さんでもよくあることだが、更にキクノさんは帰ろうとしたり息子さんに電話をかけたがる。

「タカシ(仮名)に電話したい。タカシに聞きたいことがある。電話かけてくれないか」

と、何度も職員に声をかけているが、

「今、息子さんは出掛けてるんだから出ないよ」

とか、

「ここには電話が無いからかけられないんだよ」

といった感じで軽くかわされている。

昨日は私にも電話をかけてくれないかと言って来て困った。

できることならかけてあげたいと思った。

キクノさんと私が話してるのを見て、ベテラン職員のFさんが、

「キクノさん、電話して息子さんに何をそんなに聞きたいの?」

と聞いた。

するとキクノさん、無表情になった。

「・・なに聞くのだったか・・忘れたな・・」

と、ひとりごとのように呟いた。

なんだかその様子が可愛らしくて、つい私は笑った。

「ああー、キクノだけに聞くの忘れたんですね!」

ハイここ笑うとこーて、思ったのだが、

キクノさんもベテラン職員Fさんもシーン。。

あら・・

キクノだけに聞くの・・・

あら。

寂しい。

お願い、最後のシメに、誰か笑っておくれ。