高層ビルの窓からからは朝日に輝く新宿の高層ビル群がよく見える。3連休明けの朝だというのに、私のメールボックスには各部からさまざまなメールが届いている。そのなかの一つに関連会社部の人事企画部長から「解雇予定者について」という稟議メールがあった。
「佐倉取締役に、子会社売却に伴う解雇予定者の一覧をご報告いたします。既に各人には内示済みです」という書き出しとともに20人の氏名と人事原簿へのリンクが張られたリストが添付してあった。リストの一番下にある男の人事原簿を開いたとき、一昨日の晩にK町で逢った男の顔が画面に現れた。
「いや、やめない...で....ください...」
私の懇願の叫びが幻聴のように聞こえた。
「一発ぶちこみゃ..」
男の野卑た言葉も幻聴のように聞こえた。
「ほらよ、チップこみだ」
男が渡した皺くちゃの紙幣はまだ私の財布の中にある。
しかし、それがどうだというのか。
私はただちに『承認』をクリックすると、次のメールの処理にとりかかった。(完)
「佐倉取締役に、子会社売却に伴う解雇予定者の一覧をご報告いたします。既に各人には内示済みです」という書き出しとともに20人の氏名と人事原簿へのリンクが張られたリストが添付してあった。リストの一番下にある男の人事原簿を開いたとき、一昨日の晩にK町で逢った男の顔が画面に現れた。
「いや、やめない...で....ください...」
私の懇願の叫びが幻聴のように聞こえた。
「一発ぶちこみゃ..」
男の野卑た言葉も幻聴のように聞こえた。
「ほらよ、チップこみだ」
男が渡した皺くちゃの紙幣はまだ私の財布の中にある。
しかし、それがどうだというのか。
私はただちに『承認』をクリックすると、次のメールの処理にとりかかった。(完)