はじめての接吻
うすいカーテンを透かして見る横浜の夜景が美しかった。
身寄りのない伸一が、大場に対して肉親の 愛情のようなものを感じるのに、時間はさほどかからなかった。
何本目かのビールが伸一の心をすっかりほぐしていた。いつの間にか大場は伸一の隣にぴったりとすわり、軽く伸一の肩に手をかけたりして、二人はすっかり打ちとけていた。
二人とも、上着を脱ぎ、ネクタイをはずしして、くつろいだ格好になっていた。
「あ。そうそう、寝室をまだ見せてなかったな。隣の部屋がベッド・ルームになっている。ちょっとのぞいてこよう」
大場は思い出したように立ち上がって隣の部屋に続くドアを開けた。後に従った伸一は、久しぶりに、飲んだビールで足がもつれていた。
そこは寝室としては必要以上に広いと思われる十畳ほどの洋間だった。
部屋のすみにダブル・ベッドと三面鏡が置かれてあった。男だけが生活する部屋に、なぜそれらの物が必要なのか、酔いのためにすでに理性を失いかけていた伸一には、判断がつかなかった。しかし、すぐに大場がその説明をしてくれた。
彼に誘われるままに、ベッドの端に並んで腰を掛けた。
大場は抱くようにして、伸一の肩に手を回した。
スタンドのスイッチを入れると、部屋の中は青い照明に変わり、妖しいムードを造りだしていた。
伸一の耳もとで大場が優しくささやいた。
「君は女性との結婚生活に失敗したんだね。でも、昨日までの生活はきれいに忘れるんだよ。今夜からは、私が君を新しい世界に誘い、 優しく楽しい生活を過ごさせてあげるよ」
そう言うと大場は、伸一の唇に自分のそれを重ねた。
わずかなとまどいはあったが、そんな大場を、さからうこともなく受け入れている自分に、伸一は不自然さを感じていなかった。
酒の酔いがムードに酔い、大場のささやきが催眠術のように伸一の意志を自由に動かしていた。
実際の年齢より五つ六つ若くは見えるが、 伸一もすでに二十六歳になっていた。体験こそないが、これが世間でいう男同士の世界なのかと思いながら、大場の胸に抱かれていた。
小柄な伸一は、肩幅の広い大場に、すっぽりと包まれるような形になっていた。
大場の手が巧みに動き、伸一のYシャツの ボタンをはずし、ランニング・シャツの下から手を入れて肌に直接触れてきた。じっとり 汗ばんだ大場の手のひらの感触が、伸一に妖しい刺激を与えていた。生まれて初めての体験に、わずかな不安はあったが、不快感はなかった。
「なにも怖がることはないんだよ。静かにして、私の言うとおりにしていれば、すぐに夢のようなすばらしい世界に行けるからね」
耳もとでささやく大場の吐息が、寝室の青い照明とともに伸一を、この場のムードに陶酔させていた。
クッションの効いた柔らかいダブル・ベッドの上に伸一の体を押し倒し、大場の手が伸 一のズボンのジッパーに伸びて来た時には、 伸一も自然なしぐさで服を浮かし、大場の動きを助けていた。ブリーフの下で伸一のそれは硬直し、息づいていた。
従順な伸一の態度に気を楽にした大場は、一気にランニング・シャツを捨て、ブリーフをはぎ取った。
体毛の少ない伸一の体は、少年のようにたおやかで、その肌は女性のようにきめがこまかかった。
大場の手が伸一の太ももをはい、徐々に腹部に近づくと、怒張したそれに荒々しい愛撫を加えた。
「ウウ.......」
伸一はうめいた。全身に快感が駆け巡った。 それは、大場の巧妙な手くだの結果か、本 の気づかない伸一の中に秘められたホモ・セクシュアルの感覚のうずきなのか、彼自身わからなかった。ただ言えることは、大場のぺースで快楽のうずの中にひきこまれようとしていることだけだった。 続く
うすいカーテンを透かして見る横浜の夜景が美しかった。
身寄りのない伸一が、大場に対して肉親の 愛情のようなものを感じるのに、時間はさほどかからなかった。
何本目かのビールが伸一の心をすっかりほぐしていた。いつの間にか大場は伸一の隣にぴったりとすわり、軽く伸一の肩に手をかけたりして、二人はすっかり打ちとけていた。
二人とも、上着を脱ぎ、ネクタイをはずしして、くつろいだ格好になっていた。
「あ。そうそう、寝室をまだ見せてなかったな。隣の部屋がベッド・ルームになっている。ちょっとのぞいてこよう」
大場は思い出したように立ち上がって隣の部屋に続くドアを開けた。後に従った伸一は、久しぶりに、飲んだビールで足がもつれていた。
そこは寝室としては必要以上に広いと思われる十畳ほどの洋間だった。
部屋のすみにダブル・ベッドと三面鏡が置かれてあった。男だけが生活する部屋に、なぜそれらの物が必要なのか、酔いのためにすでに理性を失いかけていた伸一には、判断がつかなかった。しかし、すぐに大場がその説明をしてくれた。
彼に誘われるままに、ベッドの端に並んで腰を掛けた。
大場は抱くようにして、伸一の肩に手を回した。
スタンドのスイッチを入れると、部屋の中は青い照明に変わり、妖しいムードを造りだしていた。
伸一の耳もとで大場が優しくささやいた。
「君は女性との結婚生活に失敗したんだね。でも、昨日までの生活はきれいに忘れるんだよ。今夜からは、私が君を新しい世界に誘い、 優しく楽しい生活を過ごさせてあげるよ」
そう言うと大場は、伸一の唇に自分のそれを重ねた。
わずかなとまどいはあったが、そんな大場を、さからうこともなく受け入れている自分に、伸一は不自然さを感じていなかった。
酒の酔いがムードに酔い、大場のささやきが催眠術のように伸一の意志を自由に動かしていた。
実際の年齢より五つ六つ若くは見えるが、 伸一もすでに二十六歳になっていた。体験こそないが、これが世間でいう男同士の世界なのかと思いながら、大場の胸に抱かれていた。
小柄な伸一は、肩幅の広い大場に、すっぽりと包まれるような形になっていた。
大場の手が巧みに動き、伸一のYシャツの ボタンをはずし、ランニング・シャツの下から手を入れて肌に直接触れてきた。じっとり 汗ばんだ大場の手のひらの感触が、伸一に妖しい刺激を与えていた。生まれて初めての体験に、わずかな不安はあったが、不快感はなかった。
「なにも怖がることはないんだよ。静かにして、私の言うとおりにしていれば、すぐに夢のようなすばらしい世界に行けるからね」
耳もとでささやく大場の吐息が、寝室の青い照明とともに伸一を、この場のムードに陶酔させていた。
クッションの効いた柔らかいダブル・ベッドの上に伸一の体を押し倒し、大場の手が伸 一のズボンのジッパーに伸びて来た時には、 伸一も自然なしぐさで服を浮かし、大場の動きを助けていた。ブリーフの下で伸一のそれは硬直し、息づいていた。
従順な伸一の態度に気を楽にした大場は、一気にランニング・シャツを捨て、ブリーフをはぎ取った。
体毛の少ない伸一の体は、少年のようにたおやかで、その肌は女性のようにきめがこまかかった。
大場の手が伸一の太ももをはい、徐々に腹部に近づくと、怒張したそれに荒々しい愛撫を加えた。
「ウウ.......」
伸一はうめいた。全身に快感が駆け巡った。 それは、大場の巧妙な手くだの結果か、本 の気づかない伸一の中に秘められたホモ・セクシュアルの感覚のうずきなのか、彼自身わからなかった。ただ言えることは、大場のぺースで快楽のうずの中にひきこまれようとしていることだけだった。 続く
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