自分らしいお葬式やお墓を考えましょう。

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「捨てられる宗教」について

2020-10-18 09:19:42 | 日記
 島田裕巳著『捨てられる宗教ー葬式・墓・戒名を捨てた日本人の末路』(SB新書、2020年9月)を読みました。島田裕巳は、『葬式は、要らない』(BS新書)が2010年に刊行され、ベストセラーになった人です。今月の「朝日新聞」(10月10日朝刊)の書評欄に、わたしの尊敬する柄谷行人が『捨てられる宗教』の書評を書いていたせいもありますが、一度は読みたいと思っていました。こんな早い時期が来るとは思いませんでしたが、たまたま電車に乗るとき、いつも読む本を鞄に入れるのに、忘れていました。ちょっとした長距離の電車に乗るのが久しぶりだったということも影響しています。もちろんコロナのせいで、講座が延期や中止になったからです。
 何年ぶりという京阪丹波橋で乗ることで思い出したのが、構内にある書店です。時間があるので、書店に入り、新書コーナーで一番先に目についたのです。躊躇することなく買い、電車のなかで読み始めました。
 帰りの電車でも読みましたが、読み終えることはできず、明くる日には読んでしまいました。1冊の本を読んだ後の感想はそれぞれの本によって違いますが、わたしは書き手を知っていたら、必ず読後感を送ります。まして贈られた本は必ず読み送ります。今月は2冊の本の読後感を送りました。彦坂諦著『ある愛国少年の転生』(柘植書房新社)と菱木政晴著『平和と平等の浄土論』(白澤社)です。前者は大著です。400頁を超える彦坂さん自身の少年の大連残留を現在の自分からみて書いたものですから、「転生」が意味がある著でした。菱木さんの本は、教学を書いているのですが、伝統教学をひとくくりにするのではなく、近世のいわゆる伝統教学といわれたなかにもそうではない人がいとことを証明する内容でした。2冊とも手応えのある、読むのが楽しみという本でした。
 それに対して、『捨てられる宗教』は、島田節といいましょうか、売れる本を書く人はこういう書き方になるのだと思う書き方なのです。知識のひけらかしという意味が当たっていると思いますが、それはそれは、幅広くよく知っている人だと思います。柄谷行人が書評で書いていたことを紹介します。
 「死生観A」と「死生観B」を掲げるのです。前者は平均寿命が短い時代にいつまで生きられるかわからないから人は不安になり、死後に期待を持たせる死生観であるから宗教が求められたのです。後者は、現代のように平均寿命が長くなり、「人生100年」「人生110年」といわれるときには、共同体が強くなく他者に無関心になる時代には、定年後が長すぎる時代には宗教を求めない、という考え方を披瀝しています。宗教に代わるスピリチュアリズムや自己啓発がはやるが、これは宗教とはいえない個人主義的なものであるというのです。
 「死生観」が変わってしまった現代において、宗教は「捨てられる」という衰退度が非常に早い勢いであることを示しています。伝統宗教であれ、新宗教であれ、いずれにしろイスラム教を除いては衰退しているというのです。その証拠に挙げるのは、様々な宗教人口のパーセンテージを示していきます。 
 実際、島田の本の指摘通りだと了解します。葬式はなるべく簡素にしたいし、墓を要らないという人が増えたし、コロナのせいで、直葬でもかまわないとなれば、宗教による葬送を行わない人が増えていることは確かです。その根底に「死生観」の変化を指摘したのは、さすがです。新しい発見があると、すぐ日本に著すことができる人のすごさです。売れる本を書く人のすごさでもあるのでしょう。別の言い方をすれば、時流にちょっと先取りができる人です。
 実際に葬式をしなくてもかまわないという意識は、「死生観」の変化もいえるでしょうが、もう一つは、経済が大きいと思います。葬送に多くのお金をかけたくない現実主義が影響していると思います。「死生観」の変化も経済的な理由も、わたしは簡素化される、宗教が捨てられることには批判的ではありません。無駄だと思うお金は使わなければよいし、他に使うべきところを必要とする社会であれば、よいと思います。経済は、貧困と結びついているので、貧困がなくなる、貧困を是正する政策が行われなければならないと思います。貧困をなくすためにどうしたらよいかを政治家を始め、自分にできることを考えなければならないと思います。
 今朝の「朝日新聞」にキャンベルさんが語っていましたが、日本の子どもが貧困であるというが、目に見えない、もっと見えるようにしなければならないといっています。隠すのは、恥ずかしいと思うからです。それは、世間体とか日本社会がつくってきたのです。貧困が恥ずかしくないという意識をつくるにはどうしたらよいのでしょうか。
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「宅墓」について

2020-10-15 08:03:05 | 日記
 また、新しいことばを知りました。2020年10月14日(水)の「朝日新聞」の夕刊トップページに載っていた「宅墓」です。コロナ禍のなか、葬送のあり方が変わっていきますが、新しい考え方です。
 「宅墓」とは、自宅用の小さな「墓石」です。これまでの墓に疑問をもつ人は、最も大きな理由は高すぎるということです。その上、管理がむずかしく、後継者に悩むことが理由で、墓をつくることを躊躇していた人がこの「宅墓」を購入しているのです。この「宅墓」を購入するために、これまでもっていた墓を「墓終い」する人もいるそうです。
 「宅墓」は、高さ約14センチ、幅約12センチ、奥行き約12センチというのですから、家のどこにでも置くことができます。表面には購入する人の思いが彫られ、新聞に載っていた人は「感謝」と彫ってあるそうです。遺骨がどのようにして入っているかというと、直径6センチ、高さ7,5センチの骨壺が入る穴が開くとのことです。それだけの遺骨を拾うことになります。関西では遺骨を一部しか拾わないから、この「宅墓」が成立しますが、関東の全部収骨する場合の「宅墓」はいかなるものになるのでしょう。
 この「宅墓」は5年前頃から売り出されたようです。しかし、なかなか売れ行きは伸びなかったようですが、このコロナ禍のなか、都市部を中心に売れ行きが伸びているそうです。普通のお墓を建てるのに、100~200万円もするのに比べたら、約7万円という値段です。管理の手間がかからないし、遺骨を身近に置いておけるし、いろいろな面で「お得」感があります。そして、管理ができなくなった場合は、この「宅墓」をつくった会社が処分してくれるそうです。
 どう考えても、悪い意味というか、マイナスの考えは出てきません。よいことずくめです。これからますます増えていくと予想されます。
 それにしても、よく考える人がいることに感心します。これまでの墓石では困っている人を知り、墓石を売る側の商売が成り立っていかないなかで、考案されたものです。ニーズに応えることができるのが、考案者のすばらしい(?)ところでしょう。遺骨をそのまま手元に置いておくことには違和感やら、申し訳なさやらなどのいろいろな思惑があるでしょうが、「墓」となったら、そういう類いのものが払拭されます。新聞記事を読みながら、感心することしきりでした。

 しばらく経って、わたしが考えたのは、「宅墓」を管理できなくなったとき、会社が処分してくれるところです。どんな処分の仕方が書いてありませんでしたが、共同墓をつくるか、収骨されなかった遺骨の処分の仕方と同様処分される場所に納める、別のことばで言えば、「捨てる」ことになるのです。遺骨は管理する人がいる間は、大事なものとして扱われますが、所詮管理する人がいなくなれば、処分されるものなのです。管理したい間は大事なものと考えられるますが、管理されなくなれば、その遺骨がどのような扱いを受けるか、見届けることまでしないでしょう。
 結局、遺骨をどのように考えるかという堂々巡りの元に返っていきます。「遺骨」の意味をもう一度考え直すことが必要ではないでしょうか。
 
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遺骨の問題

2020-10-04 14:49:41 | 日記
 コロナ禍のなか、ほんとうに久しぶりに講座がありました。よくできたと思いますが、徹底した予防対策がとられるので、一つの机にひとりずつしか座れないようになっています。また、話すわたしの机の上にはクリアボードが置いてあり、受講される人と区切られている感じがします。透明であるけど、遮断感は強かったです。
 講座の内容は、「冠婚葬祭」を考えるという内容です。
 50代以上の人が多いので、「葬祭」の話が中心になります。しかし、結婚は時勢大の関係者の問題でもあるので、近代につくられた家制度の名残の問題を話しました。1時間30分の講座だったので、グループディスカッションはできなかったですが、最後に少し時間をとって質疑応答を行いました。みんなの前で質問できることはそんなにたいした問題ではないと思いました。
 講座が終わってわたしのところまで来て質問した人は、みんなの前ではいえなかったのです。自分のことではないけど、友人が夫の遺骨を手元にもち、困り果てている相談でした。遺骨は拾うことをあたりまえにしているし、その時はいろいろな思いがあるだろうから、一生懸命多くを拾ってしまいがちだとも思いました。たくさんの遺骨を拾ったため、それを納めるところがないとのことです。大阪にある一心寺も多くの遺骨を預かってはくれないそうです。だから、遺骨を手元にして困っているのです。
 相談されたわたしもよい案が浮かぶわけがありません。お金に困っていないなら、どんなことでもできるけど、しかし、お金があっても子どもがいないからあとをみてくれる人がいないとお墓をつくることも考えないのです。困った友人のことを必死で聞いてくる人の気持ちが痛いほど伝わってきました。大切な友人であることがわかりました。
 連絡先をもらって家で考えましたし、わたしの友人に相談もしましたが、よい案は出てきません。もっとも妥当と思われる案は、自分が住んでいる市町村がつくっている共同墓が最も安いお金で遺骨を納めることができるというぐらいです。
 その案を書いて送ったのですが、送ったあともすっきりしません。遺骨はほんとうに大変なものとして、ある意味でやっかいなものとして残るのです。わたしのように拾わない選択を知っていたら、その後がもっと変わっていただろうにと思っても詮ないことだと思いました。

 数日経って、担当者から講座の感想文が送られてきました。その中にも遺骨をどうしたらよいかで悩んでいる人がいました。わたしの話が参考になるかわかりませんが、すでに遺骨をもっていて悩んでいる人には、簡単な解決の道とはなりません。次に誰かの死を迎えるとき、自分の死のときには参考にしてほしいと思います。遺骨の問題は、まだまだ多くの人が悩んでいることがわかります。わたしが提起できるのはあるかなと思いました。

 コロナによって葬儀は大きく変わりつつあると感じました。「たいそうなことをしなくてよい」という意見が出たこと、感想文にも書いてありました。
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遺骨の問題

2020-10-04 14:49:41 | 日記
 コロナ禍のなか、ほんとうに久しぶりに講座がありました。よくできたと思いますが、徹底した予防対策がとられるので、一つの机にひとりずつしか座れないようになっています。また、話すわたしの机の上にはクリアボードが置いてあり、受講される人と区切られている感じがします。透明であるけど、遮断感は強かったです。
 講座の内容は、「冠婚葬祭」を考えるという内容です。
 50代以上の人が多いので、「葬祭」の話が中心になります。しかし、結婚は時勢大の関係者の問題でもあるので、近代につくられた家制度の名残の問題を話しました。1時間30分の講座だったので、グループディスカッションはできなかったですが、最後に少し時間をとって質疑応答を行いました。みんなの前で質問できることはそんなにたいした問題ではないと思いました。
 講座が終わってわたしのところまで来て質問した人は、みんなの前ではいえなかったのです。自分のことではないけど、友人が夫の遺骨を手元にもち、困り果てている相談でした。遺骨は拾うことをあたりまえにしているし、その時はいろいろな思いがあるだろうから、一生懸命多くを拾ってしまいがちだとも思いました。たくさんの遺骨を拾ったため、それを納めるところがないとのことです。大阪にある一心寺も多くの遺骨を預かってはくれないそうです。だから、遺骨を手元にして困っているのです。
 相談されたわたしもよい案が浮かぶわけがありません。お金に困っていないなら、どんなことでもできるけど、しかし、お金があっても子どもがいないからあとをみてくれる人がいないとお墓をつくることも考えないのです。困った友人のことを必死で聞いてくる人の気持ちが痛いほど伝わってきました。大切な友人であることがわかりました。
 連絡先をもらって家で考えましたし、わたしの友人に相談もしましたが、よい案は出てきません。もっとも妥当と思われる案は、自分が住んでいる市町村がつくっている共同墓が最も安いお金で遺骨を納めることができるというぐらいです。
 その案を書いて送ったのですが、送ったあともすっきりしません。遺骨はほんとうに大変なものとして、ある意味でやっかいなものとして残るのです。わたしのように拾わない選択を知っていたら、その後がもっと変わっていただろうにと思っても詮ないことだと思いました。

 数日経って、担当者から講座の感想文が送られてきました。その中にも遺骨をどうしたらよいかで悩んでいる人がいました。わたしの話が参考になるかわかりませんが、すでに遺骨をもっていて悩んでいる人には、簡単な解決の道とはなりません。次に誰かの死を迎えるとき、自分の死のときには参考にしてほしいと思います。遺骨の問題は、まだまだ多くの人が悩んでいることがわかります。わたしが提起できるのはあるかなと思いました。

 コロナによって葬儀は大きく変わりつつあると感じました。「たいそうなことをしなくてよい」という意見が出たこと、感想文にも書いてありました。
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