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2020年3月5日 横尾宣政氏(1954年生まれ)が書いた『野村証券第2事業法人部』を読み、「デリバティブ」という言葉を思い出した

2020-03-05 | 昼間のエッセー
200305_横尾宣政氏(1954年生まれ)が書いた『野村証券第2事業法人部』を読み、「デリバティブ」という言葉を思い出した

 横尾宣政 『野村証券第2事業法人部』 講談社 2019年
 
 横尾宣政氏:1954年生まれ
 
 この本の著者は、オリンパス(カメラの会社)という会社の粉飾決算(赤字を表に出さないこと)に加担したという理由で、実刑判決を受けた。

 その恨みかどうかは分からないが、同氏は1978年に野村証券に入社して以来の半生を洗いざらいこの本に書いた。
 
 この時代に生きた者として、当時は皆めちゃくちゃなことをしていたな、と思い出した。

 私が知っているエピソードを一つ。

 ある会社の決算書の「特別損失」の欄に、「為替差損」という項目があった。

 なぜ、為替差損が発生したのかと尋ねると、次のようなものであった。

 ・・・・

 ある銀行が、その会社に次のような「商品」を販売した。

 その商品とはわかりやすく言えば 「ばくち」 である。

 以下、説明すると、

 1.月末の円・ドルの為替レートが120円以上の円安の場合

  その会社は、1ドルを(たとえその時のレートが130円であろうと)120円で買うことができる「権利」を取得する。
  <注意>それはあくまで、「買うことができる」権利なのであって、買わないという選択もできる。

 2.為替レートが120円未満の場合

  こんどは逆に、たとえ1ドル=80円であろうとも(つまりこの契約がなければ、80円で1ドルが買えるのであるが)、1ドルを120円で買わなければならない。
  こちらの方は、買っても買わなくてもよいということではなく、必ず買わねばならない。
  つまり「義務」である。
 
 3.この取引は、毎月月末(つまり年間12回)の円・ドルのレートで清算する。
   期間は20年。
   途中解約はできない。
   元本は結構な額であった。

 上記のような、だれかが頭の中で考えたものに過ぎないことを、文章で表現し、いわゆる「さいころをころがす」ようなことを、あたかも「最先端」「数学的」「現代的」であるというふうに人を誤解させ、且つ、もうかりそうに誤解させ、数学に弱い人(ほとんどの人は弱い)を引き付けた。

 そんな「商品」がこの時代には山ほどあった。
 そしてそれを「デリバティブ」などといった。

 以上

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