あなたに会いたくて。
小さな愛らしい10才の坊やは、
「久しぶりだよね?」
「そうお?7月に会わなかった?」
「それだったら、やっぱり久しぶりだよ」
「ああ、そうね」
始めて会ったのは5年前。ミゲル君に日本語を教えていた頃はちょくちょく会っ
てたマリアさんの子どもたち。ン?そういえば長男のユタカ君とは会ってないわ。
去年は3カ月近くペルーへ遊びに行ってたユウキ君でしたから、7月に合った時
はビックリ。その大きくなっていた姿に。でも、愛くるしさと利発さは変わりません。
「最近どうお?楽しい?」
こんな切り口で話し掛けました。
「またね。行ってらっしゃい!」
弟のユウヤ君を連れて、スーパーのゲームコーナーへ。「ユウキ君!」
指で輪を作って、胸をトントン。ウィンク!彼はニッコリ。
にわかカウンセラーは、どうやら彼を希望の扉の前に連れて行って、開けるお手伝
いが出来たように感じられました。「大丈夫!大丈夫!」って。
彼の問題は、ああぁぁぁやっぱり親。
3人兄弟の真ん中は、難しいのです。女の子の場合もね。
親が思っている(思ってる?)以上に、傷つき悩みあがくのです。
父親と息子は、想像以上の葛藤があるのです。
親は、毅然と、好かれなくても、尊敬される存在でなければいけません。
父親と息子はシマ(縄張り)争いをするのです。オスの闘いです。
母親が父親をどう思っているか?敏感に反応します。一方的な理屈理論感情を
押し付けられることを嫌います。これは誰でもね。
けれど、親にとっても日々新たなのですから、大変です。(だから面白い!)
みんな一生懸命なのですから。
けれども、彼の父親に言うことよ。ユウキ君と話したなんて、これっぽちも、
おくびにも出しません。さりげなく買い物ついでにって感じでね。
「子どもがいるから親なのよ。勝手に親は産んでるのよ。そこを考えないとねぇ」
なんてね。そう、そうなのです。誰も長男に次男に三男になんて望んでないのよ。
親が勝手に産んどいて、何を偉そうにああだこうだ言うの?じゃありません?
子どもがいるお陰で、「親」って者になれているのです。
まあ、最近とみに思うのですが、本当にみんな自分が嫌いって。
ユウキ君に言いました。
「あなたのここ(胸を指して)に、もう一人の神様の貴方がいるのよ。神様はど
こかにいるんじゃないわ、罰を与えるそんな神様なんていないのよ。神様と貴方は
同じ、一緒なのよ。だから、悪口を言ったり、あいつは嫌いだ、こいつはああだ、
こうだって、貴方が思うじゃない?そうすると、心の中のユウキ君が涙を流すのよ。
あのね、毎朝鏡に向かって、レイコサンもしてるわ。ユウキは素晴らしい!出来な
いことなんかない!僕の今日にはいいことばっかり!って、言うのよ。信じてね。」
コックリ。
「貴方の思いは必ず帰ってくるから、いいことだけを思うのよ。今までは嫌いだった
あの人もこの人も、本当はいい人なんだって。声に出して、いい人ですってね。
そうなのです!って。なんで?」
コックリ。
「それは、貴方が思うから。貴方が決めたことだから。きっときっといいことが
起こるわ。次に会う時は、少し変わってきてるわ。お話してね。全部あなたが
起こす不思議なのよ。魔法使いみたいだって?」
コックリ。
「だって、魔法使いなんだもの!」
往復徒歩の私は、環状4号線を、いつも、混んでいる時間帯であっても、行きも
帰りも立ち止まることもなく渡ります。
天に向かって「ありがとうございます」。
作り話って、思う人は、いつまでたっても魔法使いにはなれないだけ。
自分を嫌っている人は悪口ばっかり、嘆きのセレナーデを歌い続けます。そして、
尚一層手繰り寄せます不幸を。だって、思いはそのままその人に戻るのですから。
そういう人とは縁を結びません。決して相槌はうちません。無視します。
だって、私が大事ですから。
ピックル液に漬けている豚バラ肉は、あと3~4日でベーコンに変身します。
毎朝容器の中のお肉をひっくり返します。均等に液が染み込むように。