人(家族)に何かを頼むことは極力しない私です。
「自分で出来ないことはしないこと」って、ウチの宇宙人に言われた事も
ありましたが、子どもの頃からあまり人に頼まない子でした。
「レイコはもう歩かない!おんぶして~~~!」
これは、よく覚えている風景です。長姉はそれが背が伸びなかった原因と
言います(真偽の程は定かではありませんが)。
例えば、時々狂ったように雪が降り積もることがあるここ横浜の田舎です。
「男はいないものね~」って。ハイ、せっせと雪かきをします。唯一女の
私が。
自発的に状況を察知して援助しようとする心遣いがない人に、頼みません。
厭々か、仕方ないから なんて気持ちで何かして貰うなんて、あまり気持
ちのいいものではないのです私には。心のこもらないことは、要らない!
目配り気配りがない人は、員数外です。
その私が思わず、
「お願い!知らん顔しないで。もう、私にはどうしようもないのよ」
ガサゴソガリガリゴソゴソ・・・「?」
このパソコンが置いてあるかなり大きな机の奥下壁際で、我が家の神秘的
生き物が、大暴れをしているようなのです。ジョディと言う名の猫。
アメリカン・ショートヘアのメス。その気性の激しさと言ったら、
愚息その①が知人から貰ってきたのに、
「俺、イヤだよ。おっかないよ」
って。私と、動物大好き馬専科だけです、触れるのは。野生の猫科の類の
野性的、慣れたくはない気位の高さ、気ままな行動。
最近、そう、かれこれ10年はなるでしょうか、ウチへ来てから。やっと
家族の一員になった彼女です。
やっと私には抱かれるようになりました。
オー怖!よく抱けるよって、言われるほど、凶暴な彼女。彼女の脇を通り
過ぎる時、彼女の気分によっては、瞬間猫パンチを受けます。
「痛!やめてよー、おー痛い」は、未だにままあるのです。
そのジョディが、パソコン・電話・ファクス・スタンドライト等のコード
が彼女の体をぐるぐる巻きにして、身動きが出来ずにいたのですが、
助けて~~~!なんて声はあげません。なんとか苦境から脱出しようと、
益々身体の自由が奪われて。にっちもさっちもいかなくなってました。
そんな切羽詰った状態の彼女に素手で迫ったら、こちらは血みどろになる
ことは、自明の理ですから、革の手袋をはめて、引っ張り出そうとしまし
た。案の定、噛み付く引っかくの大抵抗です。コードをはずそうと試みる
のですが、複雑に絡み合ったそれは、緩むどころか益々彼女の小さな細身
の身体を締め上げていきます。彼女の恐怖に引きつった顔は、可哀想で、
思わず、もう、横になっていたセニョール・ダンへSOS。
私が首輪と頭をしっかり抑えて、セニョールは素手で、・・・やっと抜け
ました。彼もやっぱり後ろ足で蹴りを入れられた傷から血が出ています。
私は深く噛まれた傷口をすぐ流水で洗い、エタノールで消毒。
動物、特に猫の傷は危険です。前にも噛まれて、病院へ駆け込んだことが
あります。
けれども今回は、アロエの葉っぱを患部に当てて、ぐるぐる巻きに包帯を
して、
「何てこともないのだからね、わかってるでしょうね!?明日の朝は痕跡
も残さない。い~い?」
みるみる腫れあがって、熱を持ってきました。噛まれた左手全体がど
よ-んと重たくうずきますが、私はひたすら言い聞かすだけです我が身に。
「大丈夫!なんてこともないのよ」
もちろん傷口はわかります私には。けれども私の身体はアロエの成分の
お陰もあったのでしょう。腫れも痛みも消えてました。
トコトン信じるって、難しいものかも知れません。けれども私は信じきる
ことから起こる様々な不思議な事を体感してきていますから、よしんば
誰かを疑うとしても(これはよくあることです、瞬時に)、自分自身の
可能性をトコトン信じてみようとしています。
ハッキリ言って、人なんか信じちゃいません。私に起こることは、私自身
で解決するのです、魔女って言われた女は。ですから、社会?そう、平た
く言えば世間の思惑なんて歯牙にもかけませんし、文句もありはしません。
ありがたいって思うだけです。こうして毎日お腹いっぱい食べられて、
手足を伸ばせて眠られる場所も寝具もあって。これは全て、お陰です。
そんな幸せの中で、せめて、いいえ、当たり前の事として、我が身に起こ
る不都合を、私自身で解決しなくてどうするのでしょうか。
人を頼みにする人は、いつも言いますが、不平不満の中で生きています。
与えられるのが当たり前って、傲慢な世界で息をしているので苦しいの
です。人のために何かをしなくてはいけない?いいえ、自分自身を愛す
ること!それに尽きます。未解決なことは、自身を愛して、信じ続ける
ことによって、解決されていきます。
ありがとう!のない人、言えない人に幸せなんか来ないのです。
いっつも不平不満だらけの人生を送るのです。これは当たり前のことな
のです。自分で招き入れている事に気付かない大馬鹿者です。
そして、そんな人には近づかないように!
悪口文句嘆きから素晴らしいものは誕生しません。
病気の話を、とくとくとして言う人は、病気になっている自分が好きなの
です。病院・銀行へ勤める人が好きではありません。不幸と強欲の巣窟。
ですから、そこへいそいそ出掛ける人も、他所の星の住人です私にとって。
暑い暑い夏も、秋にバトンを渡そうとしています。
猫がいつものように、置物のような姿で箪笥の上で寝ています。
猫
熱烈な恋人も きびしい学者も、
円熟した年ともなれば 同じように、
彼らに似て 寒がりで 引き篭もりがちな、
家の誇りの、 強くて、やさしい猫を愛する。
学問と 逸楽の 友である猫は
沈黙と 闇黒の恐怖を 捜し求める。
冥府の王は 猫が誇りを捨てて 仕えるならば
柩車の馬のかわりにするだろう。
夢想にふけるとき 猫は 孤独の底に
横たわって はてしない夢のなかに眠る
巨大なスフィンクスの 気高い姿となる。
豊かな腰に 魔法の火花がみちみちて
細かい砂のような 金色の粉末が
神秘な瞳に かすかに星ときらめく。
le Chat
ボードレール:佐藤朔 訳