お~い、土く~ん、あたたかい土く~ん、遊ぼうよ。
あれ、返事が無いや。お~い、土く~ん、遊ぼうよ。
あっ、遠くから土君の声がする、どっしりした声だ。
こっちの土君は小さな声だね、そうか、植木鉢の土君だ、小さな植木鉢の土君だ。
山の土君は大きな木を支えている。
強い風や大雨の時も、大きな木や小さな草を大事に支えている。
あれっ、カエルくんが土君の中で寝ている、暖かそうだね。
だけど、大きな都会には土君がいないや。
全部全部アスファルトになってしまったから、花も草も生えていない大きなビルばかりで、有るのは、植木鉢に入った小さな土君ばかりだ。
みんなみんな、大きな土君に会うために遠くへ遠くへ、電車や車に乗って遠くへ遠くへ、旅行や遠足で遠くへ遠くへ。
お~い、土君、僕もこんど会いに行くからね。
みんなでみんなで、会いに行くからね。
その時に、いっぱい、いっぱい遊ぼうね。