川は水のかけっこ (3)

2013-11-03 16:25:47 | 童話
僕たちも、あの桟橋でかけっこをおしまいにしよう。
みんな仲良くかけっこをしてきたが、海ではかけっこができないからね。

海ではゆっくりと大きくゆられるね。
みんなで手をつないで、ゆっくりと、大きくゆられて、川でかけっこしてきた疲れをほぐしている。

だけど、また雨になって山に降り、川でかけっこする時がくるからね。
そのときはみんなに負けないよ。
今回は負けたから、次は絶対勝つよ。

早くこの海から雨にならないかなあ。
暑い暑い、お日様が笑っている。
あれ、ふわふわと身体が浮いてきた。
どんどん高くなってきた、雲だ雲になったのだ。

ぶるっぶるっ、寒くなってきた、そうか、空高くなると寒いのだ。
寒いよ、寒いよ、みんなで集まろうよ、そうすれば少しあたたかくなるかもしれない。

みんなおいでよ。
あっ、少しずつ下がりはじめたよ。
どんどん、どんどん、下がっていく、みんなで集まったから重くなったのだ。

雨だ、雨になったのだ。
それ、山へ急げ、山で雨になって川に行き、またみんなでかけっこをしよう。

岩にぶつかって痛かったけれど、今度はうまく岩をよけてみせるよ。
しかし、あの滝はよけられないね。

また、みんなで手をつないでかけっこだ。

みんなが、みんなが一等賞だ。

そして、何度も何度も、海から雲になり、雨になり、川でかけっこだ。
何度も何度も、みんなでかけっこだ。